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017 最高峰のパフェっ娘と契約する方法

「パフェっ娘……パフェっ娘と契約したいな。ヴィクトリアさんのパフェみたいなのが毎日食べられたら、楽しそうだなぁ……」


たまたま食べさせてもらえた彼女のパフェを思い出す。人生でパフェを食べたことなどほとんどなかったが、あれは素晴らしい体験だった。


パフェっ娘......いいよなぁ......


「パフェっ娘と契約なんてそう簡単にはできませんよ」


「やっぱり?」


「パフェっ娘と契約したい人がこの王都だけでも何人いると思ってるんですか?パフェっ娘側もボランティアじゃないんですから、自分にメリットがないと契約しませんよ?」


「......そうだよねぇ、って待った。さっきの契約更新の時は、契約できるみたいなニュアンスで言ってなかった?」


お前、パフェっ娘との契約を逃す手はないって言ってただろ!?


「パフェっ娘と契約できないって分かったら、有り金まるまる払ってまで家賃支払う必要なくなっちゃうじゃないですか」


「あー、そういうこと……」


パフェっ娘を餌に契約させるつもりだっただけらしい。


「もう一つ理由があって、レーヤさんが謎の収入源を持っていたことが理由です。手段はわかりませんでしたがわずか4日で毎月5万Gの定期収入を確保していました。」


「ふむ」


「数日様子を見て、このペースで収入源が増えていたら、コネがあるパフェっ娘を紹介する可能性もありました」


「そうだったの!?」


「パフェっ娘って何のために王都にまで来るか知ってます?」


「あ〜……知りません」


サーヤがやれやれという顔をしてくる。はよ説明しろ。


「修行と就職のためなんですよ。パフェっ娘はバフが使えるので騎士団や貴族の私兵、冒険者なんかが喉から手が出るほど欲しがるんです」


この世界、騎士団とかいるのか。はえ〜


「その一方でバフの効果があるフルーツってめちゃくちゃ高価なんですよ。バフの効果を上げていくためには相当数のフルーツが必要ですが、高価なので数をこなすことができません」


「修行のために、莫大なフルーツ代を負担してくれるオーナーを見つけて、お礼にその商売を助ける。王都で名を挙げれば就職先も簡単に見つかります」


すげぇ仕組みだな。


「私は顔が広いので、パフェっ娘の仲介なんかの話もちらほら入ってくるわけです」


パフェっ娘は契約金のうち、いくらかをサーヤに渡して、かわりにサーヤが良い相手を紹介するということか。


……ということは俺でも契約できちゃうんじゃないですかね?


俺は少し期待のこもった目線をサーヤに向けた。


そういう話をしたっていうことは、そういうことなんでしょう?


「残念ながら、ヴィクトリアさんレベルの方と契約したいとなると話が全然違います。」


「もう、契約金だけでも家1軒2軒じゃ到底すまない金額です。城です、城。城買えるレベルの契約金です。フトシさんでも正直厳しいレベルだと思います」


「今の契約できるって流れだったじゃん!」


こんな薄汚いテナントじゃとてもとてもと彼女は首を振った。


おい、てめぇが貸してるテナントだよ。


「ひとつだけ方法があります」


くっそぉ……あるんじゃねぇか。もったいぶりやがって……


「聞きたいです?こんな狭小テナントに住んでいるレーヤさんでも超一流のパフェっ娘と契約できる方法聞きたい?」


サーヤがすげぇ得意げな顔でこちらを見てくる。


はよ聞かせろやと言ったら、聞こえないなぁという反応をされる。


ぐぬぬ……この流れは......


俺は観念してへりくだってお願いする。


「サーヤさん、どうかわたくしめに超優秀なパフェっ娘と契約する方法をお聞か『しょうがないですねぇ、教えてあげましょう』」


遮ってきたよ。この女。


「私のコネを使って、王国全土の企業にこのシートを売りさばきます」


彼女は俺のスプシの画面を指差した。


「営業先のリストアップ、提案、交渉、面倒なことは全部私がやりましょう。あなたはシートを作るだけでいいです。来週パフェっ娘が来てから契約先を決めてしまうまで、まだ時間があります」


サーヤが一呼吸置いた。


「その間に、我々の名を王国全土に知らしめてやりましょう。王国最高の急成長企業の創業者として。」


話のスケールのデカさに俺は渇いた咳がでた。


このシートを、売りまくると?


そんなに簡単に客が見つかるのか?


自分の生活費すらギリギリな俺が、パフェっ娘を育てられるほど稼げるのか?


そもそも王国の色んな企業が欲しがるシートなんて作れるのか?


そんな名が轟くほどの事業になるのか?


色々な疑問が頭をぐるぐる回った。


「ちなみにみかえりは何をご希望で?」


「利益の5割〜♡♡♡」


サーヤの目からコインが溢れ出していた。


サーヤさん、なんか……もう、すげぇっすね……


自分の事業の利益の大部分がふっとばされた数十分後に彼女は完全に立ち直っていた。


それどころか俺のスキルを聞き出して、事業としてゴリゴリ成長させようとしている。


メンタルの強さが半端じゃない。


ボッタクリで数千万Gは儲けていたわけですよ?


それが0になってしまった数分後に、今度は俺を脅して魅力的な共同事業の提案までしてみせているわけだ。


この娘......メンタルが強いだけじゃなく、ビジネスパーソンとしても飛び抜けて優秀だな。


とはいえ交渉の余地はある。


「別に俺は別のパートナーを探すこともできるんだよな」


利益の5割は取りすぎだ。


「うぅ……お腹減ったなぁ……お金がないよぅ……」


「本当にそんなことができるかね?」


「何もしないよりは遥かにいいでしょう?」


「……3割」


「乗った!」


目の前でサーヤがガッツポーズしている。あ〜……。


まんまとしてやられたような気がするぞ……


まぁ、まぁいいか……


目の前で両手を振り上げて雄叫びをあげているサーヤを見るとどうでもよくなった。


「いいですか!片っ端から営業しますからね!忙しくなりますよ!」


「はいはい」


「そういえば大した自己紹介もしてなかったですね」


サーヤがこちらを向き直る。


データだけで彼女を知った気になっていたかもしれない。


プレイヤー相手にぼったくりをしているクソNPC。


父の残した莫大な借金を数年で完済した敏腕起業家。


そう思ってサーヤを見ていた。


こちらを向い笑顔を浮かべる彼女は、顔にまだ幼さすら感じさせる1人の女の子だった。


「サーヤ・テレーゼ。テレーゼ家の一人娘にして当主。趣味は貯金と散財……特技は金儲けです」


やっぱりお金が好きなのね。


「レーヤ、プレイヤーだ。趣味は……データ分析で、特技は……暗記と計算……かなぁ」


「よろしく」「よろしくお願いします」


お互い差し出して手を握りあった。


俺とサーヤのビジネスはここから始まったのだった。


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