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金貨1枚で買えた黒いドラゴン

 店には、子供のドラゴンが売られていた。どうやら、この店は幼獣のみ取り扱っているようだな。


「お客さん、いらっしゃい! この黒いドラゴンが気になるんですかい?」

「ああ。これでもモンスターテイマーなんだ」

「ほぉ! そうですかい。この黒いのは、ほとんど動かないので売れて残っているんですよ」


 ほとんど動かない?

 というか、衰弱しているとしか思えなかった。この店は、ペットの扱いが雑だな。可哀想に、僕が買ってやろう。


「そいつを売ってくれ」

「こりゃ驚いた! こんな貧弱でいいんですかい? こちらとしては、処分できてありがたいですけねえ」


「構わん、売ってくれ」


「お買い上げありがとうございます! そいつなら特別大サービスで金貨1枚で構いませんよ」



 マジかよ、安すぎだろ。他のドラゴンは金貨10枚、30枚、50枚とかなのに。なんだか本当に可哀想になってきた。この僕が面倒を見てやろう。


 金貨1枚を支払い、ドラゴンを買った。



「わぁ、可愛いドラゴンですね! 撫でてもいいですか!?」

「大人しいから噛まないとは思うけど」


 肩に乗せたドラゴンをヨークに撫でさせようとすると――



『シャー!!』



 威嚇していた。



「ひゃ! 怖いですっ……」



 ヨークは驚いて涙目になっていた。なんてこった、ヨークを警戒しまくっている。僕には懐いているけどな。


 しかし、弱々しくもあった。腹が減っているようだし、ペット専用のエサも購入。食べさせるとドラゴンは元気になった。


 しばらく、こいつを連れ歩くか。



 * * *



 ラドロー城へ辿り着き――奥の部屋へ。


「やあ、ヘンリーにヨークじゃないか。屋敷はどうかな」

「あー…、ネヴィル。その件なんだが、屋敷は吹き飛んでしまった」


「――は?」


 状況を飲み込めないネヴィルは、何事かと目を白黒させていた。当然の反応だわな。昨日、あった屋敷が吹き飛んだとか意味不明すぎる。だが、事実跡形もなく消滅したんだ。嘘ではない。


 僕は、あの後起きた出来事をネヴィルに説明した。



「……というわけなんだ」

「そうか、ランカスター帝国にいる元上司・ガヘリスという男に命を狙われているんだな。それで屋敷を……酷い話だな」


「だから、もっと僻地にしてくれるとありがたい」

「辺境の地を望むか。まあ、ない事はないのだが……」


 そう机をゴソゴソと漁るネヴィルは、なにかを取り出した。スクロール?


「この紙は?」

「テレポートスクロールさ。使えば秘密の屋敷(・・・・・)へ移動できる。今回は特別だぞ」

「マジか! 良いのか?」


「なあに、ゴロツキの件では世話になった。今回は特別だ」



 しかも、金貨も100枚でいいという。ネヴィル良い奴だなぁ! それから、僕はテレポートスクロールを受け取った。



「ところで、そのドラゴンはどうした?」

「ああ、コイツはここへ来る前にペットショップで買った。僕は一応、ぷちテイマーなんでね。身を守れればいいかな~と」


「そうか。なんだか不思議なドラゴンだな……カオスドラゴンではなさそうだが」


 そう、カオスではない。

 だから興味がそそられた。

 今のところどんなドラゴンが未知数だけど、近い内に判明するだろう。今は大事に育てる、それでいい。


「じゃあ、僕とヨークは行く」

「また何かあったら相談してくれ」



 僕はテレポートスクロールを使用した。



 視界が真っ黒になって、一瞬で別の場所へテレポート。視界が開けると、そこには屋敷があった。なんだか魔女の屋敷か幽霊屋敷っぽいな。


 あんまり良い外観はしていなかった。なんだか周囲も寒々しいし……怖いな。



「あ、あの……ヘンリーさん。オバケがでそうです……」

「なんだ、ヨークはオバケが苦手か?」

「は、はい、そうなんです! 多分、漏らします!!」


 若干涙目。怖いのは本当らしい。だけど、僕もどちらかと言えば苦手。入るか悩んでいると、大きな扉が重苦しい音を立てて勝手に開いた。



「「……!!」」



 僕もヨークも警戒する。

 まて、中から人が出てくるぞ……無人ではないのか!

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