高級宿屋で贅沢三昧!!
ちょっと複雑ではあるけど、ゴロツキを全員買収した。
「もう悪いことは絶対にするなよ。した場合、相応の罰があると思ってくれ」
「分かった。で、俺たちは何をすればいい?」
「ランカスター帝国へ向かい、ガヘリスの行動を調べて欲しい」
「そういう事ですかい。分かりました、ガヘリスについては俺たちも、ちょっといけすかねぇ部分もあったんですわ。それじゃ、失礼しやす」
ゴロツキは、ランカスター帝国へ向かった。これで中立地帯の治安は良くなったし、ガヘリスの動向も知れる。一石二鳥だったな。
金貨は減ったけど、足せばいいから楽だ。
「で、でも……お屋敷が」
「……あ、しまったあああああああああ!!」
そうだった。
あのゴロツキ共が屋敷を破壊しちゃったんだ。これじゃあ、住む場所に困るな。せっかく高い金を払ったのに……仕方ない。今日はもう日も沈むし、宿屋を借りよう。
近くにいたお婆さんに宿屋の場所を聞いた。ここから歩いて直ぐらしい。本当にあった。
「ここが一番高い宿屋らしい」
「花ランタンがたくさん! 綺麗なところですね」
確かに、なんだか飾り付けが凄かった。ずらっと並ぶ花型ランタン。周囲を照らしていた。冒険者も多く行き交っていた。
受付へ向かい、美人のお姉さんに迎えられた。
「いらっしゃいませ。宿泊ですか?」
「ええ、部屋って空いてます?」
「はい。最高級のスイートルームでしたら、直ぐにご案内できますが……お客さん、お金あります?」
「金貨でいいかな」
「はい、金貨の場合でしたら2枚です。お二人なので4枚ですね」
「はい、4枚ね」
テーブルに置くとお姉さんは変な汗を掻いていた。大丈夫かな?
「た、確かに……。では、お部屋は奥になりますので」
料金を支払い、僕とヨークはスイートルームへ入った。中は舞踏会の会場のような広さで圧倒された。なんだこの空間……いくらなんでも広すぎる。
ベッドは十台くらい?
本棚がずらり。あれは魔導書セットかな。すげえな。お風呂もふたつ。通常のバスルームと露天風呂があった。サウナもあるのか。トイレは男女別。
「わああああ〜〜〜〜っ!!」
目を星のようにキラキラ輝かせるヨーク。今日一番のテンションだな。――とはいえ、これは凄い豪華だ。さすがスイートルームだな。
「よーし、今日は贅沢するぞー!」
「おぉー!!」
* * *
気づけばもう深夜になっていた。……やっべ、贅沢三昧で楽しみ過ぎた。料理はステーキだったし、風呂では何時間も居座ってしまった。そりゃ、記憶もぶっ飛ぶくらい楽しい。
ヨークはすっかり疲れて、ぐったりしていた。もう寝ているな。僕も寝よっと。
――そして、朝を迎えた。
「おはようございます……ヘンリーしゃん」
「しゃんって……朝弱すぎだろう、ヨーク」
髪がぼさぼさだし、口元にヨダレもついてるし、へろへろだな。昨日の疲労もあるだろうけど、まさかヨークがこんな姿になってしまうとは。
「あの、ヘンリーしゃん。楽しすぎてひとつ言い忘れていました」
「ん? 言い忘れていた?」
「はい。わたくし、一年前に家族を殺されたんです。お父様もお母さまも……お爺様もお婆様も……そして、姉妹たちも」
な、なんだって……ていうか、朝から重すぎる。けど、これは聞いた方が良さそうだな。
「誰に殺されたんだ?」
「わたくしは今、その犯人を捜しているんです。どうにかして……罪を償わせたいんです」
「なるほどな、ヨークにそんな事情があったとはな。なにか犯人の特徴とかないのか?」
「ええ、唯一の情報は、男であり……鼻の下にホクロがあり、腕にはカオスドラゴンのタトゥーがるという事でしょうか」
男、鼻の下のホクロ、腕のカオスドラゴンのタトゥーだって? そんなヤツに覚えは……?
「あああああああああああああああああああああああああ!!」
「さ、叫んでどうしたんですか、ヘンリーしゃん!!」
それ、ガヘリスじゃん!
あの元上司、もしかして極悪人なのか。……嘘だろ? 僕は、そんなヤツの部下だったのかよ。道理で性格がアレだなとは思っていたけどさ。
そういえば、ガヘリスは度々部下の女性にドラゴンタトゥーを自慢していた。たまに僕にも力の誇示なのか、見せつけていたな。
そうか、ガヘリスが犯人だ。
やっぱり……ヤツを徹底的に調べる必要がありそうだな。
「ヨーク、君の追っている犯人に心当たりがある」
「え……ええええええええええええええええ!!」
なんかスゲェ驚いているし。
意外すぎたのか。
「ただ、もう少し調査が必要だ」
「わ、分かりました。もし、見つけ出せたら……捕えたいです」
「ああ、約束しよう。僕に最強の力をくれたお礼がしたいし」
というか、俺としてもガヘリスと決着をつけたかった。ヤツには、いろいろ世話になったしな。一発金貨でぶん殴るくらいしておきたい。
そんな話をしていると、扉がノックされた。
『あの~、すみません。お荷物が届いております』
「ん、荷物?」」
扉を開けてみると、そこには女性がいた。だが、その時だった。その女性はSSS級のブラッドアックスを手にしていた。それを振り回し、襲ってきた。
「死ねえええええええええええ!!」
「うああああああああああああ!!」
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