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十万枚の金貨

 金貨を増殖させればさせるほど、金貨投げのダメージは増幅する。アイテムボックスがぶっ潰れるくらい、どんどん増殖させていく。


 これがぶっ壊れのバグ能力の真の力だ。


 アイテムボックス内が金貨で満たされていく、100、200、300、1000、3000、5000、10000、30000、50000、100000と……!


 そう、僕は十万枚の金貨を作り上げた。


 これでトドメを刺す。



「な、何をする気だ、ヘンリー!! その右手に掴んでいる金貨はなんだ!? 物凄い魔力だぞ!!」



 ビビるガヘリス。だがもう泣いても謝っても遅い。土下座しても許さない。これであの憎たらしい顔を見るのは最後だ。



「ヘンリーさん、グロリアの支援を受け取ってください!」



 ナイス、ヨーク!

 支援スキルでステータスが倍増した。これで更なる火力アップが望める。僕は駆けだして、ガヘリスの前にいく。



「く、くそぉぉぉ、こうなったらゾンビになってやる!!」

「なに!?」



 ガヘリスは、全呪いを自分に掛けて『ゾンビ化』した。嘘だろ……あの呪いを自分に掛けるだなんて……愚かな真似を!


 ヤツの皮膚はドロドロに溶け、全身が肌色から灰色へに変色していった。やばいぞ、バケモノだ。



『グハハハ! ヘンリー、これで貴様は終わりだ』



 目の前にはゾンビとなったガヘリスが現れた。もう人間じゃない。これはモンスターだ。こんなものが外に出たら、ランカスター帝国は感染が広まり、消滅するぞ。


 ゾンビの姿で襲い掛かってくるガヘリス。しかし、それほど身体能力が上がっているわけではなかった。



「遅いッ! お前の動きはもう見切っているんだよ、ガヘリス!!」



 姿勢を低くして、僕はガヘリスの腹部に目掛けて『金貨投げ』を穿(うが)つ。見事に命中した金貨の塊。金の閃光。


 恐ろしい魔力が放出し、ガヘリスの身を打ち砕く。



「な……ぬわああああああああああああああああああああああ…………!!!」



 上へ殴り込むようにボディブローを入れたので、ガヘリスは天井を突き破っていく。どんどん宙へ上がっていき、空高く打ち上がった。自分で放っておいて、どこまで飛んでいくのか気になった。


 やがてお星さまになってしまった。


 あれだけの威力を与えたんだ、無事では済まないはず。



「お、終わったんですか? ヘンリーさん」

「うん、邪悪な気配はなくなった。終わったんだ」

「お、終わったんですね」


 へにょへにょと脱力するヨーク。

 奴隷解放や支援魔法で疲れたんだろうな。スイカもへたれこんでいた。


「ヘンリー、私は元奴隷の女性を地上へ戻す。それとお別れだ」

「え……アサシンさん? なんで?」

「私の役目は終わった。お前達を血みどろのオークの戦いに巻き込むわけにはいかないし、だから、いいんだ」


「けど……でも」


「私のことは気にするな。ああ、そうだ……名前がまだだったな。ヘンリー、お前にだけは教えておく」



 アサシンさんは、耳元で本当の名前を囁いた。……それ(・・)がアサシンさんの名前。華のように美しい。綺麗だ。でも、ナイショにしてくれと言われた。


 そうだな、アサシンさんはアサシンさんだ。



「また会える?」

「いつか会えるよ。スコットへ向かうさ」

「うん。いつでも歓迎するよ、アサシンさん」

「ヘンリー、お前のことは好きだよ。じゃあね」


 しゅたっと姿を消すアサシンさん。行ってしまった……良い女性(ひと)だったのになあ。ちょっと肩を落としているとクリフォードが笑う。


「なんだ、ヘンリー。あの人が気になっていたのか」

「ち、ちが……うぅ」


 照れていると、ヨークが詰め寄ってきた。


「ヘ、ヘンリーさん! どういうことです! アサシンさんが好きなんですか!?」

「ちょ、ちょっと、ヨーク、顔が近いって!」

「わ、わたしは……わたしのことは!?」


 もちろん、ヨークのことは好きだ。

 でも、まだ知らないことも多い。

 やるべきことも多い。


「ヨーク、君がいないと困る」

「……っ!」


 なぜかヨークは顔を真っ赤にしていた。……あれ、なんか言ったっけ。

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