ウェイクフィールドへ行く方法
広い部屋を貸して貰えた。
一人一人に個室を与えられ、各々部屋へ向かった。――だけど、ヨークは僕にについてきた。
「ヨーク、なんでついてくるの!?」
「だ、だって……ひとりぼっちは寂しいんですもん」
「どこかで聞いたような。まあいいか、今更か」
ここはランカスター帝国。
あのガヘリスが奴隷売買をしているんだ。もし、ヨークが連れ去られたら僕は自分を許せない。なら、傍に置いておく方が合理的だ。
仕方ないので了承した。
「わーい! ヘンリーさんと一緒の部屋です!」
僕に抱きついて喜ぶヨーク。
こんなに嬉しがってくれるなら、いっか。さて、少しゆっくりして――あれ。
気づけば、ベッドの上にスイカもいた。
「ス、スイカ……どうして僕の部屋に」
「部屋が広すぎて一人では寂しいです!!」
「君もか!!」
結局、みんな集まってくるんだな。仕方ないといえば、仕方ない。もう諦めて、二人を迎えることにした。
……のだが。
「ヘンリー、偵察から戻った。ちなみに、私もここで寝るぞ!」
「ア、アサシンさん!? いつの間に戻っていたの!」
びっくりした。
背後からいきなり声がして、振り向いたらアサシンさんがいたんだ。もう帰ってきたんだな。
ということは、ガヘリスの情報を得て来たのかも。
「驚かしてすまない。いやぁ、予想以上に早く情報が入ったのでね」
「そうなんだ? ガヘリスの居場所とか特定できたの? ウェイクフィールドは、ランダムテレポートで場所が分からないって聞いたけど」
「さすがヘンリー。そこまで情報を掴んでいたのか。だけど、ウェイクフィールドへ行く方法はそれだけではないみたいだ」
「マジ? どんな方法があるんだ?」
アサシンさんによれば『酒場・ボンボヤージュ』の地下に唯一の転送があるらしい。――って、僕も知ってるあの酒場に地下があったのか。でも、ガース、エルヴィスは知らされてなかったのか。もしかして、あの二人は利用されていただけなんだろうな。
だから、ランダムテレポートとだけしか知らされてなかったとか。多分だけど。
「ただ、酒場の地下へ行くには番人に通行料を払わなければならないようだ。金貨五枚も払うんだとさ」
「たった五枚か、余裕だな」
「ヘンリーなら、そう言うと思った。明日にでもウェイクフィールドへ向かう?」
「そうだね、さっさとガヘリスを倒して終わらせよう。こっちの問題も片付いたし」
クリフォードの妹リーゼの病気も治療した。あれから、クリフォードも協力してくれると断言してくれたし、今後は協力な味方となってくれる。
「そうなんだ。分かった、明日に備えよう」