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最強の呪いを解除せよ

「クリフォードさん、僕のスキルで何とかなるかも」

「え!?」


 驚愕(きょうがく)するクリフォード。

 そうだよね、驚くよね。

 僕も驚いた。


 ヨークから貰った力が、いつの間にかこんな強くなっていただなんて……。ぜんぜんスキル情報とか見ていなかったから、知らなかったよ。


「実は、僕には特別な力があるんだ。だから、リーゼさんを治せると思う」

「わ、分かった。頼む」



 僕は、まずは【状態異常解除】を選択してみた。リーゼに手を向け――発動。しかし、不発に終わった。つまり、普通の状態異常ではないということ。


 次に【超状態異常】だ。

 これも不発。


 となると、最後に残された【破滅の呪い】だ。その名の通り、やばい呪いを解除するスキル。つまり、これに該当する可能性があるんだ。


 改めて手を向けてみた。

 赤い光がリーゼを包み始め、赤いドクロが出現。(おぞ)ましい雄叫びをあげて消滅した。……な、なんだったんだ今の!



「リーゼ! 大丈夫か!」

「は、はい……兄様。あれ……わたし、手と足が動かせる」


 ベッドの上に立つリーゼ。

 クリフォードは信じられないと歓喜(かんき)の声を上げた。僕もこんなあっさり治せるとは思わなかったよ。


 リーゼは久々に手足を動かせて感動したのか、涙を流して喜んでいた。



「嬉しいです……! ぜんぜん動かなかったのに、うそ……夢みたい!」

「良かった、リーゼ!! 本当に!」



 クリフォードは、妹を優しく抱きしめた。リーゼは、ベッドの上であんなグッタリしていたのに、今は元気よく手足をブンブン動かしていた。


 あれは【破滅の呪い】だったんだ。


 そりゃ普通じゃないわけだよ。

 こんな状態異常、ギルド職員だった僕でも知らない。なんだこれは。



「よかったですね、ヘンリーさん」

「まて、ヨーク。破滅の呪いってなんだ?」

「さあ? わたくしも存じ上げません」



 そうか、ヨークも知らないのか。

 いったい、なんなんだ呪いって。

 そんな時、今度はスイカが耳打ちしてきた。



「あの、ヘンリーさん」

「どうした、スイカ」

「その【破滅の呪い】って、ダークエルフの国・ヘッジレイに伝わる“究極の呪い”ですよ。ダークエルフにしか扱えないそうです」


「マ、マジかよ。そりゃ解除困難なわけだよ」


 スイカは、ダークエルフの国出身だから詳しいんだろうな。おかげで謎が解けた。まさか、ダークエルフの秘術とはな。でも、それを解除できる『金貨増殖バグ』って、いったい……。


 チラッとヨークを見ると、頭を撫でて欲しそうにしていた。……えぇ。まあいいか、今回はヨークのおかげで治療方法に気づけたし。


 僕は、そっとヨークの頭を撫でた。



「ありがとう、ヨーク」

「い、いえいえ! わたくしとしても、リーゼちゃんを治してあげたかったですし、それに、聖女として人助けは絶対です」


「ああ、そうだな」



 その後、クリフォードは何度も礼を言ってきた、リーゼも何度も頭を下げてお礼を繰り返した。そんなに感謝されると照れる。


 それにしても、本当に良かった。


 おかげで宿屋ではなく、最高の屋敷で泊まれることになった。ずっと、クリフォードのお屋敷を使っていいことになった。


 やった!

 これはつまり、活動拠点を得たと同義。これで動きやすくなるなあ!

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