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SSS級魔剣・ヘルシャフト

 犯罪者二人を縛り上げ、僕はいったん門番のところへ。帝国騎士へ引き渡した。


「あれ、ヘンリーくん。その二人はなんだい」

「コイツ等は人さらいだ。犯罪者だよ」

「……ああ、最近、ランカスター帝国のどこかに犯罪集団がいるという噂を耳にしたな」

「それだよ! 主犯はガヘリスという男だ。元ギルド職員だよ」


 帝国騎士の青年は、なるほどと理解を示してくれた。


「あの悪い顔した中年の人か。冒険者ギルドにいたよね。そうか、ヘンリーくんもあのギルドで勤務していたな。何度か顔を見た事がある」

「それだよ、騎士さん。ガヘリスは、この帝国のどこかにある地下に潜伏して、奴隷売買をしているようなんだ。僕はそれを止めに来た」


「そうだったのか。分かった、金貨をくれたお礼だ。この俺も手伝おう」

「ありがとう。ひとまず、この二人を頼むよ」


 服も体もボロボロになったガースとエルヴィス。白目を剥いて泡を吹いていた。すっかり気絶している。


「分かった。こいつらは牢に入れておく」

「ありがとう。それじゃ、僕達は行く」


 門番の騎士さんと別れ、僕はヨークたちの元へ戻った。


「ヘンリーさん、大丈夫でした?」

「うん、あの馬鹿二人を引き渡した。これで少しは犯罪者を減らせたかな」

「さっきはカッコ良かったですよ」

「いや、僕は当然のことをしただけ。それに、職場には不満もあったし……それ以前の問題だ。ガヘリスと一部の部下は、犯罪に手を染めてやりたい放題。こんなの許せないよ」


 ギルドの受付嬢にまで手を出すとか、もう見境ないな。あそこまで落ちるとは、もう救いようがない。


 とにかく、もう日が沈む。

 そろそろ宿屋を探さないとな。



「ヨーク、スイカ。今日はもうどこかで泊まろう」


「宿屋ですね!」

「おぉー、やっとゆっくりできるんですねぇ」


 二人ともわくわくしていた。

 せっかくのランカスター帝国だしな。

 どこかで体を休めて明日に備えよう。


 しかし、どこにしようかな。


 自分が使っていた寮は、もう使えないだろうし――う~ん、と悩んでいると背後から声がした。



「そこのキミ」

「え? 僕?」



 振り返ると、そこには白い髪の少年がいた。僕と同い年くらいかな。あ、剣を腰に携えているから騎士か。なんだか明らかにレアリティの高い剣だな。それに、鎧もS級以上だろう。なんだ、ステータスもやたら高そうだ。


 強い視線。

 強いオーラ。

 堂々した姿勢。


 この人……何者だ。



「はい? なんでしょう?」

「さっき暴漢を倒して、門番に引き渡していたね」

「はい、それは僕ですけど」


「そうか、やっぱりな」

「やっぱり?」



 聞き返すと、少年騎士は剣を抜いた。えっ、いきなり……! 僕は『S級ツヴァイヘンダー』を取り出した。



「ほう、S級ツヴァイヘンダーか。それは中々手に入らない上物。しかも、中立地帯スコットのある店(・・・)でないと買えない代物だ」



「そこまで分かるのか。いったい、何者?」

「それは剣を交えれば分かるさ。我がSSS級魔剣・ヘルシャフトを味わってみるといい」

「え、SSS級!?」


 やっべ、そんなレアリティ魔剣と衝突すれば、僕の剣が破壊されてしまう。なら、剣で戦う必要なんてないよな。僕は騎士ではないし。騎士道精神とかないし。



 ぷちテイマー(・・・・・・)なので!!



「スイカ、ダークサイクロンで吹き飛ばせ!」

「了解です、ヘンリーさん!!」



 ドラゴンに変身し、スイカは口から闇属性魔法『ダークサイクロン』を放った。黒い渦が少年騎士を吹き飛ばす。


 ――いや、避けられた!?



「甘いっ! いやしかし、ドラゴンのペットがいるとはね」



 空高くジャンプする少年騎士。マジか! すごいジャンプ力だ。屋根より高いぞ。というか、屋根に飛び乗った。



「君は騎士だよね、いきなり僕を狙うとか何の目的?」

「……ここまでか。俺はクリフォードだ。ネヴィルのフクロウが家にやってきて手紙が届いたんだ。君がランカスター帝国に来るって聞いたから、門からずっと見守っていた」


「え、マジ!? ずっと見られていたのか……」


「そうだ。本当に君が信用に値するかどうか監視させもらった。けど、大丈夫そうだね。あの犯罪者共を見事に捕らえた。その実力を認めよう。俺の家に招待する。来てくれ」


 そ、そうだったのか!

 ネヴィルのヤツ、いつの間に連絡を入れていたんだ。そうなら、そうと言ってくれれば良かったのになあ。


 でも、家に招待してくれるみたいだし、そういえば、病弱な妹さんがいるとも聞いた。なんとかしてやりたいな。

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