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アイテムボックスから食料を!

 ランカスター帝国を目指して歩いていけば、夜になっていた。もう少しで到着だったが、これまでか。


 どのみち、僕は追放の呪いで入れない。

 どこか別の入り口を探さないとだ。



「今日は、この森をキャンプ地とする。……ん、ヨーク、不安そうな顔をしてどうした?」

「の、野宿は初めてなんです。オバケとか出そうで怖いんですよぉ」


 びくびくするヨーク。

 そうか、オバケが苦手なんだな。


 確かにこの森は暗くて不気味だ。

 今はアサシンさんが作ってくれた焚火のおかげで明るいけど。


「油断するな、ヘンリー」

「え?」

「この森には、危険なモンスターがいる。だから、見張りを交代しながら寝ないとな」


 聞くと、どうやら斧を持った『アックスコボルト』が出現するらしい。


「分かった。いざとなったら戦うか逃げよう」

「了解だ」



 バチバチと焚火が音を立てる。


 その中で『ぐぅ』と音がなった。


 ヨークがお腹を押さえていた。


「ヨークは食いしん坊なんだな」

「……はぅ。は、恥ずかしいです」

「いや、僕もお腹が空いたよ。ああ、そうだ! スコットで食糧を調達しておいたんだよ。アイテムボックスにイノシシ肉があったはず」


 串も取り出して、イノシシ肉を刺す。

 それを焚火の付近の地面に突き刺した。


 じゅぅ……と、肉が焼けていく。


 うぅ~ん、良い音だなあ。


「おぉ、ヘンリー、そんな良い食材を持っていたのか。では、私も特別大サービスだ!」

 アサシンさんもアイテムボックスから、野菜を取り出した。なんと、キャベツやニンジン、ピーマンやらタマネギまであった。


 すごい種類だ。


「わぁ、アサシンさん、すごいです!」

「ふふーん。ヨークちゃん、暗殺者稼業をしていると重要なのは食糧だからね。腹が減っては戦はできないから」


「なるほどです!」



 野菜も串に刺していく。

 すると、色彩豊かになった。これはもうバーベキューだ! なんだか贅沢だな。こんな星の綺麗な夜の下で。



 肉と野菜は、じゅうじゅう音を立てて焦げ始めていた。そろそろいいな。


 串を地面から抜き、ヨークとアサシンさんに手渡す。



「どうぞ、ヨーク」

「ありがとうございます。わぁ! お肉とお野菜がいい焼き加減ですっ」


 まさに目を星のようにキラキラ輝かせる。どっちが星だか分からないほどにまぶしいな。


「ヘンリー、実は酒もあるんだが」

「マジか!」


 アサシンさんは、アイテムボックスから“シャンポン”という結構値段のする酒を出した。それってパーティとかで出す酒だぞ。

 確か、一本10万セントとかしたはず。すげえな。


「今日は、友好を深めるためにも酒は必要だ」

「僕は飲めますけど、ヨークは歳が」


「そうなのか。ヨークちゃん」


 ヨークに問うアサシンさんだが、もぐもぐ肉を頬張ってそれどころではないな。可愛いけど。



「もぎゅもぎゅもぎゅ!」

「何言ってるかわからねええええ!! 飲み込んでら話しなさい、ヨーク」


「んぐっ……! ご、ごめんなさい。つい」


「で、ヨークは歳、いくつだっけ」

「わたくしは“十六歳”ですけど」


「あー、じゃあ、お酒はダメだね」


「え、ええええええええええ! わたくしはダメなんですか!?」


「うん、ダメ。帝国も中立地帯もお酒はニ十歳からだってさ」

「そ、そんなぁ……。共和国では“十六歳”から飲めますけど」



 そうか、共和国は十六から――って、まて! 今、ヨークはなんて言った?


 共和国では(・・・・・)


 つまりそれって……。



「ヨーク、やっぱり共和国の人間なんだな。ていうか、ヨーク共和国なんだから、お前の国なんだろ」

「もぎゅ、もぎゅもぎゅ!?」


 肝心なところで野菜を頬張るし!!

 くそう、これでは聞き出せない。


「そんなことより、ヘンリー! 酒飲むぞー!!」

「うわ、アサシンさん近いですって! って、しかも酒臭ぁ!!」


 アサシンさんは、すでにシャンポンの蓋を開け飲んでいた。顔が真っ赤じゃないか。もう、ヨークの事を聞こうと思ったんだけど、絡み酒されてそれどころじゃない。


「いいから飲めぇ~~~」

「はぁ……分かりました。付き合うよ」



 バーベキューとお酒。

 そして、美女。


 なんだか最高の夜を迎えてしまった。

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