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2回戦へ向けて

 1回戦が終わり、休憩の為に控室に戻る途中で、先程の対戦相手ブレイブハートの面々とバッタリ出会ってしまった。

 気まずい。


 「いやあ負けましたよ。

 パーティ内では1番強い俺が最初に出て勝ち抜きを狙ったのに、まさか同じようにそちらさんの1番強い選手をぶつけられるとはなあ」


 スミレに最初に負けた剣士が豪快に笑いながら言った。

 落ち込んでいるわけではないようだ。

 まあ本業は冒険者であって剣闘士ではないからなあ。

 

 「勘違いですよ。

 私はステラの中では末席に位置します。

 つまり1番の雑魚です」


 スミレ、自分の事卑下しすぎでは?

 

 「まさか、冗談だろ?」


 「私では主様が逆立ちしていても勝てませんよ」


 いや、流石に無理だろ。

 逆立ちしながら今のスミレと戦ったら間違いなく怪我する。


 唖然としているブレイブハートの面々と別れ、控室に戻った俺達はテーブルに座り用意されたお茶を飲んでいた。


 「次は誰が出る?」


 「主様、私はまだ戦えます」


 「駄目です。

 せっかくなんだ、皆が戦ってるとこ見てもらいたいじゃないか。

 独り占めは駄目だぞスミレ」


 「くじ引きしよ!くじ引き!」


 「ふむ、そうするか」


 ユイリの提案に乗り、適当な紙の端に数字を書いただけのくじを作り、皆で一斉に引いた。

 結果ユイリが2、リリルが3、メリカが4、残った俺のくじには5と書かれていた。


 「やった次私だ!」


 「私が3回戦ね、どんなパーティと当たるかしら」


 「準決勝は私ですか、頑張ります」


 「やったぜ決勝。

 残り物には福があるってやつだな」


 皆勝ち抜く気だし、パーティメンバーが勝ち抜くのを信じて疑ってないあたりが俺達らしいな。

 そういえばアースラ君のパーティは勝ち残っているだろうか。

 

 しばらく待っているが、流石に20組もいると次の順番までが長い。

 そういえば俺達トーナメント表で見れば1回戦だったから次の相手ってシード枠のパーティだな。

 前回だか、前々回だかの準優勝パーティをユイリは相手にするわけだ。


 ユイリは大丈夫だろうか。

 相手を怪我させないだろうか。

 不安だ、ユイリは手加減とか苦手だからなあ。


 「ステラの皆様、準備おねがいします」 


 係の人が呼びに来たね。

 じゃあ2回戦目だ。

 Aランクまで後4つ。

 負けてはヴィゼルに申し訳ないからユイリには頑張れとだけ言っておくか。


 「ユイリ、次の試合頑張れよ」


 「セツナ君が応援してくるって事は、次の相手ってそんなに強いんだね!

 分かった、最初から全力で行くね!」


 あっ、いや違います。

 まずいこのままでは相手が大怪我しかねん!


 「ユイリ、相手は俺達と同じ冒険者だからな?」

 

 「つまり、セツナ君を相手にするくらい本気でやれって事!?」


 言葉が足りなかったようだ。

 その勢いで行くと、相手が死ぬ!


 「手加減、手加減するんだユイリ分かったな?」


 「やだ、それは相手を侮辱することになるから出来ないよ!」


 なんでそういう所は武人みたいな思考するのかね君は!

 はあ、もうしょうがないか。

 相手が無事でいることを祈ろう。

 


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