新しい仲間
「本来なら1人辺り金貨10枚は貰うんだけどねえ」
店員のお姉さんが一階の受付カウンターで書類を書きながら口を開いた。
メリカやユイリ、リリル達3人は右腕のない少女に自己紹介をしているようだ。
「あんな状態だからねえ。
あの子が身請けされるとは思ってなかったから、そうさねえ……半額、金貨5枚でどうだい?」
「いや、適正額の金貨10枚払うよ」
「良いのかい?」
「ああ、あの娘は俺達にとって金貨10枚でも足りない価値があるからね」
「そうかい、もうちょっと吹っ掛けとくべきだったかねえ」
ニヤリと笑いながら店員が契約書を渡してきた。
それを受け取りインベントリに入れ、金貨10枚を渡す。
「まいど。
あんたがどんな目的であの娘を身請けするのかは聞かないよ、マナー違反だからね。
でも大事にしてやっておくれ、頼んだよ」
「もちろん、家族同然に扱う事を女神様に誓うよ」
「変わった男だねアンタ。
スミレ、これで今日からアンタの主人はこの人だ。
大事にしてもらうんだよ?」
「はい、今迄ありがとうございました、店主様」
店員のお姉さんじゃなくて店主のお姉さんだった。
奴隷に慕われているあたり、良い人なんだろうなあ。
「服はまけとくよ、じゃあね。
2度と戻ってくるんじゃないよ」
言葉はキツイが、店主さん若干涙目だな。
長居は無用か。
「よし皆、帰ろうか」
店主さんに会釈をし、店を出た俺達は転移でメリカの家へと戻ってきた。
さあ、これからが俺の見せ場だな。
「改めて自己紹介だ、今日から君の主人になる、セツナだ。
よろしく、スミレちゃん」
「私のような奴隷の身に敬称は不要です主様。
これからお世話になります、スミレと申します。
このような身で何かお役に立てるとも思えませんが、どうか見捨てないで下さい」
流石、元お侍、受け答えがしっかり出来てる。
「よし、じゃあその腕と顔の火傷、治しちゃおうか」
「え?」
スミレが無事な方の目を丸くして驚いた様な表情をしている。
無理もないね、治癒魔法でも本来腕の再生は高位の神官でもないとできないからね。
スミレだけじゃなくてリリルも目を丸くしているなあ。
「手を出して、目を閉じて集中して。
大丈夫、絶対に治してあげるから」
「は、はい」
うむ!素直でよろしい。
差し出された手を握り、俺も目を閉じた。
魔力をスミレに流していく。
大事なのはイメージだ、肩から先、欠損部を再生する。
骨、神経、筋肉、皮膚。
腕が再生していくさまは傍から見るとちょっとグロテスクかも知れない。
「さあどうだ、動くかい?」
これは治癒魔法ではない。
いつぞやの騎士に使った復元魔法だ。
「手がある、そんな、無くなった手が。
ああ、神様」
再生した腕を触り、感触を確かめ、腕がある事を実感したのかスミレは右腕を抱くようにしてしゃがみ込んで泣き出した。
そこにメリカが寄り添う。
「復元、魔法って……そんなの神の領域――」
リリルが膝から崩れ落ちた。
やはりグロテスクだったか、先に言っておくべきだったな。
「次は顔の火傷だ、完璧に治すから心配しないでね」




