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ダンジョン攻略開始

 俺もあの後メリカちゃんに耳掻きをしてもらい、その日は俺とメリカちゃん、ユイリちゃんとリリルちゃんでテントに分かれて一夜を明かした。

 大丈夫です一線は越えてません。


 そして迎えた翌朝。


 「おはよう! さあダンジョンに突入だよ!」


 「朝から元気だなあ」


 「まだ、眠いです」


 水魔法で宙に水球を作り出し、それで顔を洗ってさっぱりしたあと、朝食を食べ、装備を整えた俺達はついにダンジョンに足を踏み入れる。

 人が1人優に通れる洞窟を進んでいくと、開けた場所に足元に魔法陣が描かれている場所に出た。


 「転送型の入口か」


 「さあ、どんなダンジョンに繋がってるかしらね」


 「乗って転移した先でパーティーが逸れる類のトラップは無さそうだね」


 「分かるんですか?」


 「うん、分かるよ。

 この魔法陣は単純に移動用だ、トラップ用の文字や紋章は刻まれていないからね」


 「そうなの? リリル」


 「いや、普通分かるわけないわよ。

 良いユイリ。

 既存の魔法陣ならともかく、ダンジョンに現れる魔法陣って基本的には古代文字で書かれているの、それも創世記……ユイリにも分かりやすく言うと星暦より以前、精霊暦よりもさらに前の時代の文字よ?

 そんな時代の文字、考古学者の偉い人だって解読できてないわよ。

 なんで分かるの?」


 なんで分かるのか、その時代に生きてたからなんだけど、言えるわけ無いしなあ。

 

 「いや〜まあ、勉強したから、かな?」


 「勉強って……まあ良いわ。

 今日はダンジョンに潜りに来たんだし、難しい話は無し。

 でも、いつか聞かせて貰うわよ」

 

 「ああ、うん、分かった」


 忘れろビーム。

 無理かな?

 いや、勉強したで押し通そう。

 俺はこの世界の文字や言語の変化も身を持って体験してるんだし。

 イケるだろ、多分、きっと……恐らく。

 

 「よし!じゃあ行くか!」


 俺の言葉に3人が頷き、先行した俺の後に続いて魔法陣に乗った。


 放たれる眩い光に目が眩む。


 意識はハッキリしているが、ふと地面の感触がなくなった。

 そして、光が収まったのか瞼の向こうが暗くなり、再び地面に足を付けている感触が伝わってきた。


 「お〜、遺跡型だ!」


 「でも屋外ですね、お城、とは違うみたいです」


 石の壁に石の床、確かに一見すれば城の中に見えなくもないが、屋根や2階等は見当たらなかった。

 広がる青空には雲が流れて、風は爽やかな空気を運んで……来ない。

 雰囲気とは裏腹に鼻をついたのは腐臭。

 それに気付いたのは俺よりも鼻の良いユイリちゃんが先だった。 


 「うう、綺麗な場所なのに」


 「あ〜馬車の中で散々言いまくったせいかなあ」


 転移した俺達の視界に最初に入った魔物は骨の兵士とゾンビ達、アンデッド系の魔物だった。


 「帰ろう!」


 「だ、駄目ですよ。

 まだ来たばかりですし」


 「やだやだやだ! 怖い臭い汚い!」


 分かります、とても良く分かります。

 でもクエストは調査だからね、奥に行かないとね。

 

 「ユイリちゃん、頑張ろうな」


 「やだぁ~」


 「ユイリちゃん武器持ってるけど、俺なんて素手だよ?」

 

 「セツナ君は魔法も使えるじゃん!」


 確かに、それはそう。

 困ったな何かやる気を出させる方法は無いだろうか。

 などと考えていると、メリカちゃんがユイリちゃんに近づいていった。

 何か秘策があるのだろうか。


 「ユイリさん、ここで一緒に頑張って良いところ見せて、セツナさんに私とユイリさん、一緒にデートしてもらいましょう」


 なんだその条件は。

 そんな条件でやる気が出るわけ――。


 「何それ楽しそう、良し頑張る!」


 なぜなのか。


 「あら、私は混ぜてくれないのかしら?」


 「いえ、リリルさんも、一緒にデートしましょう!」


 「ありがと、じゃあ私も気合い入れなくちゃね」

 

 な、ぜ、な、の、か。

 それで頑張ってくれるなら良いんだけど。

 良いんだけどねえ。

 良いのか?

 まあやる気出してくれたから良いか。 

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