登録試験
「ようこそ、冒険者ギルドアルタ支部へ。
こちらは登録受付カウンターです。
ご依頼受付は隣のカウンターですが、本日はどういったご要件でしょうか」
「冒険者登録に来ました」
「かしこまりました、登録について説明いたしますね。
登録に関しましては試験形式を取らせて頂いており、試験費として銀貨一枚をお支払いいただいた後、試験用クエストをクリアして貰う方法と、登録料をいただかない代わりに、ギルド専属の指導員との模擬戦を行っていただく方法があります。
前者はクエストクリアで合格。
後者は指導員があなたの能力を認めれば合格となります。
どちらの方法で登録試験を行いますか?」
良かったあ、選択式だったあ。
試験費って聞いて冷や汗出た。
インベントリを確認した時に分かってたけど、俺今文無しだからなあ。
「模擬戦を希望します」
「かしこまりました、本日の正午から試験が行われますので、あちらから裏手の試験会場にお願いします。
こちら受付番号札になります」
受付のお姉さんが差し出してきた番号札の番号は13番。
そこそこ人数がいるな。
「親切にどうも」
そうお礼を言うと、受付のお姉さんは笑顔で手を振って見送ってくれた。
さて、これで試験に合格出来ればインベントリ内の猪を買い取ってもらえる筈だ。
買い取ってもらったお金で宿の確保はしたいなあ。
「なんだ、随分細っこい兄ちゃんだなあ」
筋骨隆々、厳つい顔面。
試験会場に到着して早々にいかにもな男に絡まれてしまった。
「そんな華奢な体で試験を受けるつもりかあ?
大人しくクエスト受けときゃあ怪我もしねえってのに物好きな奴だぜ」
ん? 絡んできてるわけじゃないなコレ。
普通に心配してくれてるだけだ。
優しい世界だなあ。
「ご忠告どうも、ちょっと急ぎでね。
出来れば今日中に冒険者登録をしたくて」
「訳ありかい? だとしたら運が悪いな兄ちゃん。
今日の指導員はこの街で1番Aランクに近いと言われているBランク冒険者なんだぜ?」
冒険者ランク。
スペリオルを示すSランクを最上位として、エースを示すAランク、その下のベター、Bランク。
さらに下にカジュアル、Cランクがあって試験に合格したらまずはCランクよりもう1つ下の見習い冒険者になるんだったか。
まあ昔と同じならだけど。
「まあ精々頑張んな」
そう言って筋骨隆々の大男は手をひらひら振って仲間だろうか? 二人の男の方へと歩いていった。