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癒しの時間

 「ありがとう、心地よかったよ」


 「本当ですか? 初めてだったので緊張しました」


 「じゃあ約束通り、今度は俺がメリカちゃんに耳掻きする番だね」


 「は、はい、お願いします」


 メリカちゃんから耳掻きを預かり、ベッドに座り直すと、間髪入れずにメリカちゃんが膝に頭を預けてきた。

 

 「ちょっと暗いな」


 魔光灯の明かりではもう見えにくい時間だ、光魔法の光弾を空中で待機させて、光量を確保するか。


 「ちょっと、恥ずかしいですね」

 

 「恥ずかしがる事ないよ、綺麗なもんだよ」


 実際、何も無い、耳は綺麗だ。

 洗浄使った後だしな。

 だが、俺が思うに耳掻きの神髄とは音にあると確信している。

 掃除だけが耳掻きの目的ではない、音による癒やし効果こそ耳掻きの真骨頂ではないだろうか。

 地球にいる時は良くASMRの動画とか見ながら寝たなあ。

 

 よし、やるか。

 まずは優しく、傷付けないように慎重に。


 「ん、あっ」


 メリカちゃん、声が艶っぽいよ。

 耳掻きしてるだけなのにいけない事してる気分になってくる。


 「あっ、そこ、良い、です」


 見下ろすメリカちゃんの頬から耳にかけてが紅くなっているのが分かる。

 こうなると、イタズラしたくなる。

 いったん耳掻きを抜いて、耳に息を吹きかける。


 「ん、ああ」


 続いて耳を摘んで撫でる。

 

 「あ、セツナさん」


 「次、反対側やるよ」


 「……はい」


 メリカちゃんが体勢を変えて顔がこちらを向く。

 若干目が潤んでいる様に見えて、それが俺の嗜虐心を刺激する。

 さあ耳掻き再開だ、ちょっと強めにやってみるか。


 「あ、ん、んん」


 エロい、そういう事一切してないのにエロい。

 メリカちゃん耳敏感なんだなあ。

 なんか楽しくなってきたぞ。


 「ん、んん、あ」


 「大丈夫?痛くない?」


 「ひゃい、ら、らいじょうぶれす」


 呂律が回ってない。

 これは弱点を見つけたな。

 強弱をつけて、更には速度も変えてみる。

 まさか昔ASMR動画を見ていた経験が役に立つ時がこようとは。


 「気持ち良い、あ、ん、んん」


 エロ〜い!

 何度も言うが、耳掻きをしているだけである。

 いかん、このままではイケナイ気分になりかねん。

 このあたりで止めるか。


 「はい、そろそろ止めて、今日はもう寝ようか」


 「は、はい、ありがとうございました。

 セツナさん耳掻き凄く上手ですね。

 また、お願いしても良いですか?」


 はい、よろこんで〜。


 「ああ、もちろん」


 魔光灯と光弾を消し、暗闇に包まれる寝室。

 その日もメリカちゃんは俺に抱き着いて眠ったが、昨日よりもなんだか嬉しそうな寝顔だった。

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