森での遭遇
「ふあああぁ」
眠い、ああ転生したんだ、とりあえず起きないとなあ。
開けた目がボヤける、光が眩しい。
「森の中にでもとは言ったけど、ここはどの辺りだろうか」
マップ開けるかな。
おっ開いた、良かったこれなら彷徨わずに済むな。
念じただけで開くこのシステム、便利だ。
「南に道があるか」
じゃあその道を沿って行くと~、あった、街だ。
今日はとりあえずこの街まで行くか。
若い身体に戻ったわけだし、また冒険者として生きていくかあ。
ん? そういえば、以前死んでから何年たったんだ?
死んだのが確か星暦1330年頃だったはず。
今は――
「星暦1540年、随分未来に転生したな」
マップの端に表示された表記が示す1540の文字。200年か。
とはいえ、この世界は文明の発展速度は緩やかなものだファンタジー世界らしく城があって城下町があって。
魔物がいれば精霊もいる。
いくら未来に転生しても、魔法がある世界だ、地球のように科学が発展しているわけではなし。
まあそれでも200年だ、俺の知ってる場所なんてもう無いかもなあ。
「グオオオ!!」
おおい、もうちょいで道なんだが?
魔物だ、こいつらは昔とたいして変化が無い。
まあそりゃそうか、生き物の進化が200年位で急激に起こるはずもない。
しかし、デカい猪型だな。
「ステータスは随分落ちたが、まあ久々の若い身体だ、ちょっと慣らし運転に付き合ってくれ」
ちょいちょい人差し指を動かして挑発してみる。
魔物はやはり頭が良い、コレを挑発と理解している。
だが、所詮は獣型。
思考は短絡的だ。
「ブモオオオオ!!」
人の背丈を有に超える猪が一直線に突っ込んでくる。
俺は武器を持ってないし、魔法で仕留めちゃ味気ない。
何よりこの身体を試したい。
なら、とりあえずは。
「拳で相手してやるよ」
腰を深く落とし拳を引く、猪の体当たりが迫ってくる。
トラック程もある猪の体当たり、普通なら間違いなく大怪我、いや、死ぬな。
スキル発動“武芸の極み”身体強化の最上級スキルだ。
握った拳をただ真っ直ぐに付き出す。
本来なら吹き飛ぶのは俺。
しかし吹き飛んだのは、猪の頭だった。
「スキルもちゃんと発動するな、良し」
あっ、わざと当たって不死を試すのもありだったか。
まあ良いや、痛いの嫌だし。
さて、残った猪肉はインベントリに格納しておこう。
相変わらず便利だ、血すら残らんとは。
さあ気を改めて、街に行きますかねえ。