マリネスを楽しみました
次の日、異様な暑さに目を覚ました俺達夫婦は氷魔法と風魔法を併用した結界を使い一旦暑さを凌いでから行動を開始。
海では既にギルドの職員や冒険者達がリヴァイアサンの亡骸を魔法でサルベージ作業を開始していた。
その作業の手伝いと、その後の解体作業を手伝っていると、その日は日が暮れてしまい遊ぶ時間はなくなってしまう。
うーん、なかなか予定通りにいかないなあ。
まあでも、だからこそ人生は面白いし楽しいんだけどね。
マリネスの街は連日お祭り騒ぎだった。
問題になっていたニードルフィッシュ討伐の情報がギルドや行商人から発信されたからか、明らかに街の住人ではない、恐らくは観光客の流入を見ることができた。。
「賑やかになってきたなあ」
「これが本来のマリネスの姿なんですねえ」
夜になっても街の明かりは消えない。
流石に昼間のように音楽隊による軽快な音楽は流れていないが、何処からかハープの音色が流れてきて波の音とハーモニーを奏でていた。
「セツナさんがいなければこの街は今頃――」
「皆がいなければ、だよ。
どんなに強くなっても、結局一人で出来る事なんてたかが知れてるんだから」
マリネスリゾートに帰り妻達と果樹酒片手にバルコニーのプールサイドに置かれた椅子に座る。
俺達の頭上。
空一面に広がる星の絨毯はキラキラ輝いて命を燃やしていた。
更に次の日の事。
念願叶って俺達はマリネスリゾートの海を満喫した。
ユイリやシャオと泳ぎ回ったり、魔法で作った空気入りの泡に入って皆で海底を歩いて散歩したり。
砂浜に帰ってきてはその泡を圧縮強化してボールの代わりにしてビーチバレーを楽しんだ。
メリカの気合の入ったアタックで砂浜にクレーターが出来た所は修復してから帰りました。
他の観光客の方お騒がせしました、申し訳ない。
街で土産を漁り、マリネス自慢の海産物を味わい、リゾート地を堪能したこの日。
日も暮れたのでマリネスリゾートに帰った俺達に、マリネスリゾートの職員が近付いて来て一通の手紙を渡してきた。
「先程冒険者ギルドの職員の方からステラの皆様に渡すよう言付けられまして、アルタのギルドマスターからだそうです」
「ヴィゼルから?
分かりました、ありがとうございます」
職員から手紙を受け取り、部屋に戻ってから手紙の封を解く。
もう一日くらいは遊ぶ予定だったんだがなあ。
何かあったんだろうか。
「えーなになに?」
手紙に書いていたのは要約すると「女王陛下から城への招待状が来たから帰ってきてくれ。次の建国祭の事でステラの皆にお願いがあるらしい」というのもだった。
「王都へ招集ですか?」
「うーん、そういう事だなあ。バカンスは今日までみたいだ」
「残念!でも、楽しかったから良し!」
「確かに、たった数日の間に色々あったしね」
明日からまた数日掛けて旅を楽しみながら帰ろうと思っていたが仕方無い。
リュータを連れてグラニトから帰った時みたいに転移で帰るかな。
とはいえ今夜はもう一晩ゆっくりさせてもらうとしよう。
嫁達とイチャイチャしたいし。
「セツナ、私は別室で眠りますのでお構いなく」
「アルティナ、思考読むの止めて」
「あら、気を遣ったのですけどご迷惑でしたか」
「いえ、ありがとうございます」
というわけで、この日の晩は久々に全員でベッドの上でイチャイチャした後、ふかふかの布団に包まれて俺達は眠った。
……が、結局翌朝。
蒸し暑い朝を迎え、俺達は全員汗だくで目を覚ます事になるのだった。




