リヴァイアサンを成敗しました
「おいアルティナ。焼け残ってるぞ?」
「セツナの魔力で凍った波が壁の役割をしましたからね。
大体、辺り一面の海を凍らせるほどセツナの魔力が込められているのですよ?
寧ろそれを撃ち抜いた私の攻撃力を褒めて頂きたいですね」
「ぐぬぬ。さ、流石アルティナ良い攻撃だったよ」
言うとアルティナは嬉しそうに胸を張って微笑んだ。
さて、焼け残ってしまったのは想定外だな。
あのリヴァイアサン、生体反応は消えていない。
その証拠に治癒魔法で徐々に傷を治していってる。
「なんだ!どうした!?」
「なんだあの化け物!海が凍ってる?アイツがやったのか!?」
宴会をしていた街の住人達も騒ぎを聞きつけたか、野次馬が集まってきた。
すみません、海を凍らせたのは俺です。
いかんな。これ以上人が集まると街の住人に被害が出かねん。
「さっさと仕留めるか、行くぞ皆、捕まれ!」
皆で手を繋ぎ、リヴァイアサンの元まで転移で移動する。
強敵を相手にすることに、皆怯む様子もなく武器を構えるとそれぞれ攻撃を開始した。
「硬いなあコイツう!」
ユイリのハルバードの一撃はリヴァイアサンの装甲鱗を傷つける事は出来なかった。
しかし攻撃が効いていないわけではない。
ユイリの攻撃もシャオの魔力を纏わせた手甲の一撃も、衝撃となってリヴァイアサンを蝕んでいる。
苦しそうに身を捩らせているのがその証拠だ。
リヴァイアサンの傷の治癒も中途半端で止まった。
スミレの遠距離斬撃やリリルの各種魔法を波状に受ければ再生も間に合わないのは道理だ。
リヴァイアサンは未だ焼き爛れ瀕死の重症。
それでも此方に向かって口を開き、ブレスを撃とうとしてくるのは流石は海龍種最強。
だがそれを撃つのをみすみす容認することは無い。
竜人化したメリカと身体強化系最上位スキル“武芸の極み”を発動した俺は、同時にリヴァイアサンの顔目掛けて飛び、メリカがリヴァイアサンの頭上から大剣2刀による一撃を、俺はリヴァイアサンの顎を蹴り上げる。
ほぼ同時に繰り出された一撃はリヴァイアサンの口を塞ぎ、撃ち掛けていたブレスをリヴァイアサンの口内で暴発させるに至る。
「仕留めろアルティナ!」
「魔力は取り込み終わっています、お任せ下さい」
リヴァイアサンの下からアルティナが口を開き、再びブレスを放つ。
今度は障害物もない、しかもほぼゼロ距離だ。
外す懸念もない。
「全員後退!衝撃に備えて!」
放たれるアルティナのブレス。
闇夜を照らす光の柱がリヴァイアサンの巨体を溶かし消していく。
……素材が無くなっちゃう。
ああ、海面下は無事か。
素材はそっちから貰おう、良い装備が出来そうだ。
「流石伝説のドラゴン。威力が桁違いですね」
「アルティナも随分強くなったもんだよ。
子龍の頃はろくにブレス撃てなかったのになあ」
「何千年前の話しをしているんですかアナタは」
こうして招かれざる客を討伐し終わった俺達は、凍りついた海から再び街へと転移で帰った。
問題はここからだ。
この凍った海どうしよう。
うーん、地道に溶かすかなあ。
はぁ、今夜は嫁達とイチャイチャしたかったんだけどなあ。
まあ仕方無い、頑張りますかね。




