ギルドは良いとこ一度はおいで。
ギルドへと近付けば近づく程、往来に冒険者が増えていく。
武器を担ぐ者、杖を持つ者。
装いは様々だが、一見して冒険者と分かるのはいつの時代も変わらないなあ。
そんな冒険者達が、俺の前を歩くメリカちゃんとすれ違うたび、驚くようにメリカちゃんに振り返っていた。
普段は、昨日のシンプルな服の上に装備していたライトアーマーと手甲のみの軽装備で出歩いているんだろう。
だが、今着ているのは白いワンピースだ、裾にはフリルもあしらわれている。
「この服、似合いませんかね」
「いやそれは無い」
似合ってるよ、可愛いよ!
もし似合わないとか言うやつがいたら全力で殴るが?
ギルドに到着して扉を開くとまずウエイトレスさんが近寄ってくるが。
一言目がいらっしゃいませじゃなくて「ええ! メリカちゃん!? 私服初めて見たあ! 似合ってる~可愛いい!」だった。
だよなあ、可愛いよなあ。
どう返答すれば良いのか困って、照れているメリカちゃんがこちらに振り返りあわあわしている、和む。
「は、早く行きましょう」
結局メリカちゃんはその場からの緊急離脱の為、俺の手を引いた。
「おや、昨日一緒に出て行ったと思ったら、もう手を繋ぐほどの仲になったのかい?」
昨日の受付けに座っている好青年、確かメリカちゃんがヴィゼルさんて言ってたな。
そのヴィゼルさんの一言でメリカちゃんが我に返ったようだ。
俺の手を離してモジモジと手遊びしている。
「ええと、ヴィゼルさん、ギルドカードの件なんですけど」
「ヴィゼルで良いですよセツナさん。
ギルドカードでしたら完成していますので、お持ちしますので、少々お待ち下さい」
まあ見た目は俺と同じ歳くらいに見えるけど、まあ良いか、本人が呼び捨てで良いって言うんならそうさせて貰おう、堅苦しいのは嫌いだしなあ。
早くこのギルドを気楽に利用出来るようになりたいものだ。
で、ヴィゼルはと言うと、俺の返事を待つでなく、俺と後ろにいるメリカちゃんに微笑んで席を外した。
昨日の営業スマイルとは何か違うような気がするな。
何か嬉しい事でもあったんだろうか。
待っている間、メリカちゃんは何故か俺の服の裾を摘んでいる。
なんというか、迷子になった子供みたいだ。
そしてこの受付けは食事処からもよく見えるわけだが、俺とメリカちゃんの様子を見てか、冒険者達からの殺気がヤバい。
特に男性陣。
しかし、あえて俺はこう思う事にした。
羨ましいだろう皆の衆。
「ッチ、なんで新入りなんかをメリカちゃんは」
「顔か、やはり顔なのか」
「ああ、良いなあ、俺も可愛い女の子と冒険してえなあ」
「ああ! 美男子ハーフエルフと幼気な美少女のカップリング!? 超推せます!!」
やっかみばっかりかと思ったら、最後なんかノイズ混じったな。
異世界人の知識持った奴いないか?
冒険者の数が多くて特定は無理だが。
早く帰ってきてくれヴィゼルー。
照れくさくなってきたってえ。




