朝の鍛錬を終えて
メリカちゃんの攻撃速度は昨日の比では無かった。
なんだかんだで試験だし、手加減していたんだろうなあ。
「うぅ、当たらない」
落ち込む姿も可愛い。
ああ「そんな事無いよ〜今のは危なかったよお〜」とか言いながら撫でくりまわしたい。
「メリカちゃん今回の木剣は昨日の刃引きした剣と長さは一緒だよね」
「はい、基本的に……はぁはぁ、ソロでしか活動しませんから……はぁ、無難にショートソードと……バックラーを使ってます」
「ふむふむ」
休憩と立合いを繰り返してどれくらい経ったのか。
流石に剣を振り続けたメリカちゃんはバテバテだ。
「メリカちゃんの踏み込みのクセ、距離の取り方、剣の振り方から見るに、俺が思った事なんだけど、武器があってないね」
「私には剣はあわないと、言う事、ですか?」
「いや、メリカちゃんの武器適性は間違いなく剣だと思うよ。
だけどバスターソードとかの大剣向きだと感じたんだ」
「取り回しが悪くて、ソロには向かないと思って使った事は無いのですが」
確かに、ソロだと大剣ってのは選びにくい武器かもねえ。
狭所では使い辛い武器だ。
森の中や洞窟内、何が出てくるか分からないダンジョンでは特に取り回しが難しくなる。
「まあ騙されたと思って、試しに武器を変えてみない?」
「いえ――」
うーん、やっぱりそうだよねえ。
使い慣れた武器の方が良いよなあ。
「騙されたとは思いません。
セツナさんがそう言うなら、挑戦してみます」
素直だあ。
もう我慢ならん、撫でよ。
「はわわ」
生で「はわわ」って初めて聞いたな。
え? 何? 俺を殺すつもりなのか?
死因、可愛いの過剰摂取になるが。
いや、死なない体だったな、何よりも、もっと可愛がりたいので死ねない。
「あっあの、あの、セツナさん。
そろそろお昼を食べてギルドに向かいませんか?
その後一緒に武器を見に行きたいんですが」
「あ、ああそうだね。
そうしよう。
あっ、ちょっと待って。
『洗浄』使ってあげるよ」
「ありがとうございますセツナさん」
その後、昼食を食べ終えたメリカちゃんが私服に着替えるのを待って、俺達は一路ギルドへと向かった。
最初は何をやってんだ女神様! とか、思っていたが。
正直に言うよ。
ありがとう女神様、あんた最高だよ。
今俺の目の前には天使がいます。




