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朝の鍛錬

 美少女の作ってくれる料理は上手い。

 冒険者でありながら、料理は出来るし、一人暮らしの筈のこの家は掃除が行き届いている。

 家庭的な女性に男性は惹かれると言うが。

 全くその通りだ。


 「そういえばメリカちゃん今日の予定は?」


 「そうですね、お昼にセツナさんの素材報酬とギルドカードが用意出来ますので、それを受け取ったらパーティー登録をしようかと」


 「じゃあ昼までは暇だね」


 街を散策して装備とかも見てみたいけど、金は無いしなあ。

 

 「では、それまで鍛錬に付き合ってくれませんか?」

 

 「ああ良いよ」


 「では着替えてきますね」


 メリカちゃんが部屋に向かったので俺もまた外に出る。

 まだ日は登りきっていない。

 朝の涼しい風が実に心地良い。

 そんな中でメリカちゃんの戦闘スタイルを思い出す。

 メリカちゃんの剣技はどことなく力任せな感があるんだよなあ。

 まあ対魔物に対人間用の細やかな剣技は不要、とまでは言わないが、実際魔物相手なら十分だ。

 とは言えそれはBランクまでの話し。

 Bランクから上のクエストはダンジョン含めて文字通りレベルが違う。

 最もAランクに近い、そう言われていたけど、負けた俺に鍛錬を頼む辺り、メリカちゃん自身は気付いていたのかもなあ。

 今の自分の限界に。


 「お待たせしました、よろしくおねがいします」

 

 「良し、じゃあウォーミングアップしたら、

ちょっと立ち合ってみようか。

 俺は手を出さないから、全力で切りかかってきてくれ。

 魔力纏いでダメージは軽減させるから遠慮なくね?」


 「はい、分かりました」


 というわけで、俺は柔軟体操、メリカちゃんは素振りをしている。

 冒険者稼業の傍ら剣技を習うことも出来るだろうが、メリカちゃんは我流だろうか。

 これといった型のようなものは見受けられない。

 だとすればやはり才能には恵まれているようだ。

 

 「よしじゃあそろそろ、やろうか」


 「はい」


 ピリっとしたこの立合いの空気。

 嫌いじゃないんだよなあ。

 今回は昨日とは立場が逆だ。

 メリカちゃんが俺に一撃当てれば勝ちだ。


 「行きます!」

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