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ある寒い日の朝

 寒冷期の朝の寒さも厳しくなってきた。

 こうなって来ると、もう布団から出たくなくなってくる。

 今俺は横を向いてメリカを抱き締めながら寝ているのだが、後ろからは俺がリリルに抱き締められている状況だ。


 暖かい。起きたくない、しかし腹も減ってきた。

 二人を起こすのは忍びないし、短距離転移でベッドから降りる。


 1番外側で寝ていたスミレは俺より早く起床したようだ。布団に姿がない。

 そっと部屋を出てキッチンに向かうと、トーストの焼ける良い匂いと、ベーコンの焼ける香ばしくて食欲を誘う匂いが漂ってきた。


 「おはようございます主様。朝食出来てます、召し上がりますか?」


 「うん、食べる」


 すっかりメイドさんが板についたなあスミレ。

 愛しい嫁のうちの一人。

 スミレに近づき、俺はスミレの唇に自分の唇を重ねた。


 「ん。どうしたんですか主様。

 今日は甘えん坊ですね」


 「う〜ん。スミレが可愛いからかなあ」


 「ふふ。ありがとうございます。嬉しいです。

 朝食お持ちしますので、ご一緒しましょう」


 「うん」


 スミレが朝食の乗ったトレイを運び始めたので、俺はティーセットの乗ったトレイを運ぶ。

 キッチンは火を使うから暖かかったが、廊下はほんと寒い。

 

 「おお、積もったなあ雪」


 窓から見た外の景色に寒冷期の到来を感じる。

 普段青々と広がる草の絨毯が真っ白な雪に覆われて、朝日に照らされキラキラ輝いていた。


 雪国に暮らす人ならウンザリする光景だろうなあ。

 でもやっぱり、雪景色は綺麗だ。


 スミレと食事を終え、リビングに向かう。

 暖炉に火を入れソファに座ると、普段ソファの後ろに立つスミレが隣に座った。

 皆が起き出す前のスミレと俺、二人だけの時間だ。


 皆と過ごす時間も楽しいけど、たまにはこうやって嫁達一人一人と過ごす時間も作らないといけないなあ。

 何か良い方法は無いだろうか。

 くじ引きか、じゃんけんか。

 これに関しては家族会議が必要な議題だな。


 「主様、耳掻きはいかがですか?」


 「お、良いね。よろしく頼むよ」


 まあ今はスミレとの時間を楽しませてもらうか。

 普段メリカにしてもらってるので、耳垢は無い。

 故にやってもらうのはどちらかと言うと耳マッサージみたいなモノだ。

 嫁に膝枕をしてもらって耳の内を耳掻きでカリカリ擦ってもらう。それが気持ちよくて堪らなく好き。

 人によって強さもリズムも違うもんだから、面白いものだ。


 朝食で腹も適度に満たされ、暖炉の暖かさと耳掻きの気持ち良さでうとうとし始めた頃。

 寝室の扉を開閉する音の後、バタバタと廊下を走る音が聞こえた。 

 さらにその足音は階段を駆け降り、玄関の方へ行くと玄関の扉すら勢いよく開けて外に飛び出していった。


 「雪だあ!積もってるう!」


 ユイリだった。

 犬が雪の中を駆け回るのは、地球もこちらの世界も共通らしい。


 「では主様、耳掻きはここまでですね。

 皆さんの朝食を用意してきます」


 「うん、ありがとう。よろしく頼むよ」

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