二日目の朝
メリカちゃんの家からあまり離れないようにしてっと。
昨日はグレートボアとメリカちゃんとの戦いで、魔力纏いは問題なく発動出来たから大丈夫だとは思うけど。
火魔法、水魔法、光魔法、闇魔法、土魔法も大丈夫、風魔法との親和性が良くなってるのは種族値の関係だな。
はは、まるでお手玉だな。
よしよし、全属性問題無く使えるな。
空間魔法、転移は地理が200年前と同じなら使えそうだが、今は……数メートルしか移動できないけど短距離転移が使えるだけでも良しだな。
「セツナさん?」
「あ、ごめんメリカちゃん、起こしちゃったか」
「いえ、気にしないでください。
すごい物を見せて貰えましたから」
「全属性の事?」
「はい、これまでに数人、全属性持ちは見たことがありますが、ここまで使いこなせている人は初めて見ました」
この世界、魔法を全属性使用出来る者は少ないがいない訳ではない。
ただ、魔力の量や、適性を鑑みれば一種類から二種類を極めた方が効率が良い。
が、俺はこの世界で魔法を極めた事もある。
初めてこの世界に転生した時は娯楽が皆無だった為、暇だったのだ。
「魔法が好きでね、かなり研究したからね。
そうだ、ちょっと良い物を見せてあげるよ。
昨日泊めてくれたお礼も兼ねてね」
光魔法と火魔法を組み合わせて、日本で見た蛍を再現する魔法を発動してメリカちゃんに見せてみる。
気にいってくれると良いけど。
「綺麗」
「はは、良かった気に入ってもらえて」
「あの、セツナさん」
「ん?」
「お願いばかりですいませんが、私を鍛えてくれませんか?
昨日の試験、セツナさんは全く本気を出していませんでしたよね。
お願いです、私、強くなりたいんです」
「良いよ?」
「迷惑なのは分かっています、それでも私は――
良いのですか?」
断る理由ないしねえ。
好意を向けてくれる女の子に頼られる。
男冥利に尽きるってもんだよなあ。
「こうして出会ったんだ、特に急いで何処かに行きたい訳でもない。
良いよ、パーティーの件も鍛錬の件も任せてよ」
「……結婚の件は」
「待ちな? お互いの事はちょっとずつ知っていこうよ。
俺は、メリカちゃんの全部を好きになりたいんだ。
だからさ、一緒に冒険しながら色々教えてよメリカちゃんの事」
「私も、セツナさんの全部が好きになりたいです。
教えて下さい、セツナさんの事」
「うん、もちろん」
あ〜、可愛い〜。
真っ直ぐで正直で素直。
はあぁ最高かよ、ちょっと衝動的に抱きしめたくなるわあ。
落ち着け、落ち着くんだセツナ。
焦るな、嫌われるぞ。
「セツナさん、朝食一緒に食べませんか?」
「うん、頂くよ。
ごめんね、何から何まで」
「いえ、私が好きでやってる事ですから」




