就寝前の攻防
食事を済ませ、沸かしてもらったお湯で体を拭き終わった頃には夜も更けていた。
年頃の少女との共通の話題など持ってるはずもない。
「そろそろ寝るかなぁ」
「あ、でしたらこちらにどうぞ」
客間がある程広い家ではない。
案内されるままに入った部屋には、メリカちゃんが装備していた軽装が置かれている。
机の上にはぬいぐるみも置いているし、何よりもメリカちゃんも一緒に部屋に入って扉を閉めた事から導かれる答えは1つ。
「ここってメリカちゃんの部屋?」
「そうです、この家は私が一人暮らしするために購入した家なので」
「つまり?」
「ベッドはこの部屋にしかありません、一緒に寝ましょう」
……ど、同衾しろと!?
出会ったばかりの美少女と同衾しろと!?
「いや、同衾はまずいだろ。
俺はソファとか床で寝るからベッドはメリカちゃんが使ってよ」
「この家にソファはありません。
お客人を床に寝かせるなど言語道断です。
一緒に寝ましょう」
迫ってくるメリカちゃんの顔は真剣そのものだ。
俺の手を取ってグイグイ押してくるこの力。
流石はBランク冒険者。
いや、竜人族の先祖返りであるメリカちゃんの力か。
「私の事、嫌いですか?」
「いや、嫌いじゃないけど」
涙目は反則だろお。
女神様、純粋な少女になにやらせてんだよ。
ええい、仕方ない。
「分かった、分かったから一緒に寝よう」
「はい、ありがとうございます!」




