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親の顔より見た女神様

 はてさて、今回で何度目の転生だろうか。

 確か、最初の転生は……100年前や200年前では無いんだよなあ。

 何百年前だったかなあ?

 いや、もっと前かな。

 地球から今俺が暮らしている世界に来た時は、病死だったか事故死だったか……いや、普通に寿命だったか?


 「最初は寿命ですよ」


 おや、女神さま、80年ぶりですな。


 「お久しぶりです、今回も楔としての役割ありがとうございました。

 あの、しかしですね、すみません、ちょっとその」


 美人な女神様が眉間に皺を寄せてえらく悩んでいる、理由は分かっている。

 何度か同じ理由でここに呼ばれては、同じ世界に転生しているからだ。

 そうか、また、俺の後任の転生者が早々に死んでしまったのか。


 「お察しの通りです、人間の魂とは本来輪廻する物ですから別に悪い事ではないのですが。

 しかし私の運が悪いのかなんなのか、地球から楔として選んだ転生者の多くは、異世界への転生と聞いて嬉々として役目に就いてくれるのですが、力を手にして油断するのでしょうか、アナタ程長生きはしてくださらなくて」


 地球には無い魔法がある世界だ、そこで冒険者として生きれば、まあ職業柄冒険したくなる気持ちは分からんでもない。

 色々特典貰って早々に死んじまうのはそいつの運が悪かっただけだ。

 

 「しかし、あまりにもスパンが短くて、そろそろ地球の神達に怒られそうなんですよねえ」


 それで、地球に縁のある元地球人の俺を楔としてこの世界に再び打ち込もうと。

 なあ女神様、俺の寿命が尽きる度に呼び出して、早死にした後任の代わりに、また俺をこの世界に転生させるなら、俺をこの世界で不死にするってのはどうだ?

 もう何回も同じ世界に転生してるし、女神様に恩もある、悪い話じゃないと思うがね?  

 

 「不死ですと色々面倒ですよ?」


 否定しない辺り出来るのか、スゲエな。

 てか俺がこの提案するのは女神様の予想通りかな?


 「まあよくも数十回も転生と死を繰り返せたなと、呆れはしました、もっと早くにこの提案をしてくるかと。

 というかですね、貴方がもっと子孫を残してくれれば万々歳だったんですよ。

 初めての転生でこの世界最高の魔術師になり、4回目で初めて賢者の石を造った錬金術師として名を残し、15回目には世界最強の武芸者として名を馳せた。

 にも関わらず、アナタは子孫を残さず何回も何回も孤独死を繰り返して」


 いやあ変に凝り性で何かをやり始めると極めたくなるんだよなあ。

 まあ良いじゃねえか、この話は。


 「駄目です、今度の転生では出会いも用意しますのでそのつもりで」


 いや、別にそこまでしてくれなくて良いですって。

 自分の嫁くらい自分で――


 「その台詞はもう何回か前にも聞きました。

 よって却下です。

 それと不死の件ですが、条件付きにしましょう」


 条件付き? 


 「基本は不老不死ですが、あなたから私に心から死にたいと願えば、その時はちゃんと魂を天界に迎えます。

 どうでしょう」


 まあ確かに星が無くなっても生きてるのは嫌だしなあ。 

 了解した、その条件をのむよ。


 「生まれはどうします? 貴族でも王族でもなんでも良いですよ?

 特に目的がある訳でもありませんし、長く人生を楽しんで頂ければ幸いですから」


 不老不死を誤魔化さにぁならんですからねえ。

 貴族や王族は堅苦しいので無しで良いです。

 赤ん坊からもう一回成長するのも面倒なんで、ハーフエルフの青年の姿で森の中にでも放り出してくれません?

 ハーフエルフなら見た目人間ぽくても長寿も武力も誤魔化せますし。


 「分かりました、ではそのように。

 見た目などで何か要望は?」


 男なら良いや、優男も過ぎるとやっかみに会うし普通の見た目で良いよ普通で。

 

 「ハーフエルフで見た目普通はまあ無理ですけどね。

 では今回も楔役、お願いします。

 アナタの次の転生に加護を」 


 いや、加護ももう重複しまくって訳わからん事になってるから要らんよ。

 じゃあまた、今度会うときは本当に天に召される時に。

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― 新着の感想 ―
[一言] どうもはじめまして。 作品拝見しました。 とても面白かったです。 (*^▽^*)
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