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高校の文化祭で、婚約破棄をする浮気者の王子役をやったら、お味噌汁が原因で、本当に婚約破棄をしたがっていると思われた俺の話

作者: りすこ
掲載日:2021/12/01

『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』参加作なので、千文字以内の超短編です。


「君との婚約を破棄する!」


 舞台の上で、俺の声が響いた。

 観客はひそひそ話をやめて、俺を見上げる。

 つかみはOKだ。


 俺は主役を指さしたまま、静かに息を飲んだ。

 次は彼女の台詞。

 しかし彼女は、悲しそうな顔をして口をつぐんだ。


 どうした?

 俺の役は浮気したクズ王子。

 罵ってくれていいんだ。


 祈るように見ても、彼女は何も言わない。


 なぜ?

 密室に閉じ込められたみたいに息苦しくなる。

 計画が狂い、俺は呆然とした。



 彼女は幼なじみで、初恋の人。

 交差点沿いの豪邸に住む令嬢で、俺とは違う世界の人だ。

 だけど母親同士が友達で、昔は彼女とよく遊んだんだ。


 サイコロをふって双六をしたり、

 雪だるまを作ったり、

 こたつでお菓子を食べたり。


 同じサッカーチームにも入ってたな。

 結婚の約束もしたっけ。

 車の助手席に彼女を乗せるのが夢だった。


 でも中学の時。

 彼女のお味噌汁がすごくて、ギャグ映画のように吹き出してしまった。

 謝ったけど、俺たちの関係は元に戻らなかった。


 今や彼女は女子サッカークラブのエース。

 俺は家の都合でサッカーを諦め、演劇部に入りバイト三昧だ。

 彼女との差は縮めようがない。


 もういっそ盛大にフラれたくて。

 部員不足を建前に、俺を罵る役を彼女に懇願した。


 役は了承したはずだろ?

 なぜ台詞を言わない。

 時計の針の音だけが、舞台に響く。

 静寂に焦って、俺は懐からカセットテープを出した。


「君には愛想がつきた。ここに記録された悪事を見れ──」

「異議あり!」


 ヒーロー役のサーファー君が舞台に出る。


「それはオーパーツだな。

 異界人の知識で作られた物。

 君は異界人(マダム)と通じているな!」


 台詞が違う。

 アドリブか?

 狼狽えてると、背後から人影が。


「出番かぇ」


 学食のマダム(72)。

 当て馬役を了承してくれた優しい人だ。


「彼は私のお味噌汁に浮気していただけよ」


 ん? お味噌汁に浮気?


鏡太(きょうた)


 それ俺の本名。


「私のお味噌汁がまずいから、婚約破棄したいのよね?」


 は?


「学食で貴方とマダムを見て、負けたと思ったの。

 私たちの結婚は口約束だったし……

 でも私は、鏡太(きょうた)が好きで好きで好きなの!」


 愛のハットトリックが俺に決まる。

 さすがエース。


「マダムにお味噌汁を習うから、見捨てないで」


 彼女が泣き出した。

 まるで、お味噌汁の不一致で別れ話をしているみたいだな。


 んなバカな!


「婚約破棄、撤回!」


 叫ぶと、彼女が俺に飛びつく。

 俺は彼女を抱きしめたまま、すっころんだ。


 最後までキマらない。

 けど、幸せな幕引きだった。





とある方に影響されてお題全部入れにチャレンジしました。そこそこ、まとまっているとよいのですが。


ツッコミ、感想を聞かせてもらえると嬉しいです。第3回なろラジ大賞始まりましたね。


盛り上がりますよーに!


りすこ


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― 新着の感想 ―
[一言] 全部載せしているとは感じさせないところが良かったです! 家の都合でサッカーを辞めて演劇部に入ったのは、サッカーの遠征費にお金がかかったのかな? でも、演劇部も衣裳代でお金かかりそうだな? と…
[一言] 全部載せ! 面白かったです♡ ハッピーエンド良きかな!
2021/12/04 15:52 退会済み
管理
[良い点] なろうラジオ大賞3から拝読させていただきました。 全部のせ、お疲れさまでした。 しかも、ストーリーの流れがスムーズで読みやすく、とても楽しかったのです。
感想一覧
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