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ブランドリア戦記  作者: 夏見静
アレクサンドラ救国篇
9/82

第五機甲師団

3人は、倒した兵たちが使っていた馬を奪い、第五機甲師団の本拠地のある皇都の南に位置する

ブルームエールという町にむかった。


ブルームエールは皇国軍の兵器研究部隊の研究施設や試作品工場の為に、

元々あった小さい町を整備し利用している、町というよりは基地である。

民間人は、軍相手のサービス業か軍施設の雇用労働者とその家族が全てだ。

少し南に行くと、すぐに険しい山岳地帯に入り、冬になると雪に閉ざされる、

周囲に美しい湖が点在した風光明媚な地域である。


ラインハルトがアレクサンドラを前にのせ、馬二頭で走り、

途中、仮眠を取りながら、3日程で到着した。


第五機甲師団本部は、町の北側、つまり3人が来た方角にあるため、

町に入ることなく、本部入り口の警備門に着いた。


「わたしは、皇都近衛大隊所属、第6衛士長デュディアーヌ・ベルンだ。

師団長にお取次ぎ願いたい。」

警備兵に名乗りる。


しばらく待つと、案内の兵士が迎えに来て、本部建屋に案内された。

そこで、兵装一式を受付に預けたあと、応接室に通してくれた。


「おう、デュディじゃないか!久しぶりだな。どうしたこんなところまで?

それにラインハルト!なんだ、うちの連中に稽古をつけに来てくれたのか?」


応接室に通され少し待つと背が高くがっしりした、優し気な表情の男がドアを開き入ってきた。

年は30半ばくらいか、師団長というにはずいぶん若い。

顔はどことなくデュディアーヌに似ており兄妹と言っても通用するだろう。


「って、そんな雰囲気ではないな。どうかしたか?そちらのお嬢さんは?」 

二人のだたならぬ様子を察し、表情を引き締めた。


「こちらは、第二皇女アレクサンドラ殿下です。叔父上。」


アレクサンドラは帽子を取り、髪を下ろして素顔をさらした。


「これは! お初にお目にかかります殿下。第五機甲師団師団長レオンハルト・ベルンと申します。

お目汚しすることをお許しください。」


「許します。ベルン将軍、どうか私の力になってください。」


「よろこんで。」

レオンハルトは騎士の習わしにしたがい、跪いてアレクサンドラの手を取り、甲に唇を軽く触れた。



「。。。。となると、皇都で何かあったな。皇女殿下をお連れした様子からして謀反か?皇城が落ちたな?」

レオンハルトはデュディアーヌに向き直り言った。



「はい。ノイマン提督の謀反です。近衛大隊は壊滅し、すでに落城していると思われます。

我々は、偶々市中に視察に出ており、難を逃れました。」


「ノイマン提督か。。となると第一から第四機甲師団までは共謀していると考えた方がいいな。」


「アレクシス!」レオンハルトは副官を呼んだ。


「なんでしょう?閣下。」続き間から出てきた副官も若い。30前後と思われる優男だ。


「こちらは第二皇女アレクサンドラ殿下だ。皇都守護師団が謀反を起こし皇城が落城した。

ノイマン提督の謀反である以上、第一から第四機甲師団は敵側にまわる可能性が高い。

まずは出撃体制を整えよ。重実戦装備でだ。」


アレクシスはレオンハルト同様にアレクサンドラに挨拶したあと

「出撃準備、了解いたしました。」と言い、指示を出すために部屋を出て行った。


しばらくして副官のアレクシスと師団上層部の将校と思われる面々が集まってきた。

皆、アレクサンドラをみるとその美しさに一瞬固まるがすぐに取り直してそれぞれ挨拶する。


それらをまってレオンハルトは口を開いた。


「ノイマン提督の考えは、おそらく皇国の分割だ。

機甲師団を使い、皇都周辺の直轄領を制圧して、辺境各諸侯と交渉するつもりだろう。

各諸侯としては、反乱軍に抵抗しても特にメリットはないだろうから、様子見するはずだ。

その間に直轄領を新しい国として打ち立てるつもりだろう。」


「すでに各機甲師団は周辺直轄領に向かっているだろう。

しかし我々に一切の勧誘がなかったということは、

何れかの機甲師団が我々の制圧に向かって来ているという事だ。」


「向かってきているのは、、、一番近い第四機甲師団か。

公表している兵力からいえばこちらの倍以上、しかも奇襲。

楽勝ムードだろう、あちらは。」


「第三特殊大隊で対応可能でしょう。第四機甲師団を殲滅したらそのままここの防衛に入らせて、

残りの部隊は速やかに皇都を奪還するために出発するのが上策では?」

アレクシス副官が意見述べる。


「うむ、それでいくか。皇都を奪還したのちは、第一特殊大隊で防衛にあたらせ、

残りで各機甲師団を殲滅してまわるか。投降する部隊があればこちらに引き込むとして。。。」


師団長と将校たちは、あっというまに作戦概要を策定していく。


「叔父上、いえ、ベルン閣下、口をはさんで申し訳ないのですが、、、」 

デュディアーヌが不安げに口を開く。


「なんだい?大隊レベルの兵力で機甲師団を相手にできるのかってことかな?」


「そうです。」


「ふふ、問題ない。我々は実験部隊でね。変人科学者のこしらえた、

いかれた装備をたんまり持ってるんだ。なんとかなるだろう。」

レオンハルトは自身たっぷりに言った。



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