↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブランドリア戦記  作者: 夏見静
マリーローズ放浪篇1 -アルジェントの神-
36/82

思惑

グーテンベルク少将は、マリーローズが出奔しようとしていることは、かなり早い段階から気付いていた。


ミューラー大尉から、異形の兵器や兵装のことを聞いてから、それらを手に入れるために、アレクサンドラ様にねだってベルン総長に準備させ、それらの使用訓練を始めたり、ブランドリア国内外の情勢を調べ始めたり、それも諜報部があつかうようなかなり際どい情報を欲しがったり、諜報部員の持つ道具を欲しがったり、極めつけは、研究所でも皇城でも、全く不要な貨幣を準備させたり。

どう考えても、どこかに行こうとしているようにしか思えなかった。


もちろん感付いた時点で、ベルン総長には報告してある。

だが、ベルン総長も自分と同意見だった。つまり見て見ぬふりをして、自ら出奔していただこうという事だ。


アレクサンドラ様は、マリーローズ様がいらっしゃる限りは、皇位継承しないだろう。

たとえ、その身に何が起こっていたとしても、自分が全力で補佐するから問題ないなどと言い出しかねない。

なにせ、どんなにしっかりしていても、そういう面ではまだ子供だ。

マリーローズ様の身に起きたことが、特に、臣下の忠誠心にどのように影響するかなど全く想像できないだろう。

それが理解できるようになるまでは、皇位継承を待てない。


我々が、例えばマリーローズ様を暗殺したり、どこかに軟禁して出奔を偽っても、アレクサンドラ様はすぐに陰謀に気付くだろう。

すべがうまく行く条件は、マリーローズ様の自発的な出奔だ。


しかし、マリーローズ様が出奔すると、アレクサンドラ様は、必ず連れ戻そうとする。

まずは、ここを出ても身の安全は保障できていることを、納得していただかなければならない。

ミューラー大尉を同行させよう。

彼の剣技は、アレクサンドラ様の護衛であるシュタイナー少佐に次ぐと聞いている。

持ち出そうとしている装備を考えれば、ミューラー大尉を同行させれば、中隊規模の戦闘であれば問題ない。


アレクサンドラ様が最も気にされるのは、おそらく御体の回復具合がどうかということだろう。

現時点では、日常生活に問題ない。退院して皇城に戻られても問題なかった。

しかし、出奔されて、外部の環境に晒されるのは想定外だ。

その点に関しては、飛行兵の戦闘補助装置に期待するしかない。

とりあえず考えられる状態に対応できるだけの薬剤を、マリーローズ様の機体の応急治療セットに追加しておく。


あとは、できればマリーローズ様から直接、出奔の真意を説明していただければ一番だ。

マリーローズ様はアレクサンドラ様の性格をよく御存じのはずだから、中途半端なことをすれば、連れ戻そうとすることも予想できるだろう。

となると何か手を打たれるはずだ。例えば手紙とかだ。

一か八かだが、そこはマリーローズ様の御聡明さに期待しておこう。


まずは、ミューラー大尉に本件の指示を出さなければならない。

これが思惑通りにいけば、新女帝の誕生も近いはずだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。