最初の街への道中
トウシロウはファースタへ向かう道中、親切なシラサギに矢継ぎ早に質問をぶつけていた。
まずは何故トウシロウを見つける事が出来たのか。
シラサギ「それは、よくある探知魔法です。」
シラサギの前に半透明な地図が浮かび上がる。
曰く、転移されるとマップにマーカーが出てくるイメージで反映されて、トウシロウも、今いる平原にポーンと出て来たとの事だった。
シラサギ「この地に転移が起こる前には必ず兆候が現れるんです。
転移が起こる場所の上空に、黒い渦状の兆候が…
あなたが来た時も、黒い渦状の低気圧が渦巻いたんですよ。」
トーシロ「なるほど…低気圧が…」
シラサギ「えぇ、かなりの低気圧が。」
トーシロ「かなりの…」
上空にその渦が現れると、シラサギの属する組織が動き、探知魔法で転移したモノを探すのだという。
シラサギ「なので、転移者の所には僕のような者が現れるんです」
トーシロ「つまり転移した人は俺のように事情を説明してもらえている、と言うことですか」
シラサギ「そうです。その為の組織が大抵の街にあります。私もその一員というわけです。」
その組織も少し気になったが街に行けば詳しく分かるだろうと一旦話を切り上げた。
それよりもトウシロウが気になっていたのは、やはり魔法だ。
シラサギ「ここでは魔法については、ほとんどの人が使えますよ。」
その一言にトウシロウは胸踊った。
トーシロ(使える可能性を示唆されて喜ばない者のあるものぞ。(いやない))
更には、もし魔法の適正がない場合、魔法以外の能力に適性がある事が多いようだ。超能力や気のようなものも確認されていた。
さらに、修練で身につく技能もあるため、魔法が使えなくとも問題ないそうだ。
シラサギ「街まで行けば魔力測定や潜在能力の判別も行えますよ。その測定までずっとドッキリだと疑ってくる人もいました。」
トーシロ「その人どんだけ疑り深いんですか。
…魔法か、使いたいです。なんか、こう、凄い…凄いやつを…」
トウシロウの語彙力は転移で死んだのかもしれない、元からかもしれない。
だか、これまでマンガの中で見てきたでかい爆発や周囲を埋め尽くす雷鳴、空を飛んだり跳ねたりが出来るかもしれないのだ。
ココロオドル未来が、いまこの手に入る…かもしれないのだ。
その興奮から、彼の語彙力の低下もイナメナイ。
その後、この世界はいわゆるファンタジー世界の世界様式(中世な感じ)だが、数多の転移者により、幾らかの現代味が広まっており、いろいろごちゃまぜなのだと教えてもらった。
シラサギ「街を見てもらえればある程度は把握してもらえると思います。
では、門の前まで飛翔魔法で飛んでいきましょうか。」
俺「お願いします!」
直後、シラサギとトウシロウの周りを光る薄膜のようなものが包み込み、フワリと浮かび上がった。体感的には地面に立っていた時と変わらないのだが、周りの景色だけ動いている感じだ。
トーシロ(なるほど、これは良くできた立体映像と言われても納得出来そうだ。疑い深い人は信じないな。)
シラサギ「さぁ、ここが東門です。」
こうして只野統士楼はファースタへ到着した。