4 パンク修理 パッチで直す
4 パンク修理 パッチ修理の場合
4-1パッチ修理
では、単純な穴が有ったと言う仮定で進めます。
チューブ交換・タイヤ交換は後に触れます。
また、穴の原因についての各論も、「5パンク修理 原因」で説明します。
皆様も、パッチ修理程度は大丈夫だよ、と仰るかもしれません。
問題なのは、パッチ修理そのものではなく、どれ程の症状でチューブ若しくはタイヤ交換にするかの見極め方なのだと思われます。
それでも改めて一通り行きましょう。
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穴に印をつけます。
ボールペンで、穴を中心に三センチ四方程度に囲んで書きます。
ボールペンなのは、水に濡れていても書ける事と、顔料系のペンだとゴムノリの接着を邪魔するからです。
白いペンは見やすいので気持ちはわかります。
しかし、少なくとも穴の上にマーキングすると、必ず空気漏れを引き起こしますのでやめましょう。
更に、穴を中心に離れた場所にも線を引きます。
線を延長してゆくと、十字に交わる地点に穴があるように印をつけるのです。
これなら、白いペンを使っても問題はなくなります。
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サンドペーパーでパッチを貼る周辺を荒らします。
サンドペーパーは、パッチのおまけについてくる奴は使わないでください。
あれは目が粗すぎて逆にパンクの原因になります。
もっと目の細かいペーパーを用意してください。
荒らす理由は、チューブの接着面の表面積を増やすことと、チューブ表面に塗布されている「剥離剤」を除去することです。
もしチューブにある段差のすぐ横に穴がある場合には、その段差を均す必要が有ります。
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次にゴムノリを使います。
トルエン入りとそうで無いものが有りますが、そんなに差を感じた事はないので、毒性の弱い後者を使いましょう。
ワタクシなどは直接指で塗っているのですが、真似はしない様にしてください。
有機溶剤は神経や脳みそに毒性が有ります。
ワタクシの頭が悪いのは、多分このせいです()。
そうそう、有機溶剤の毒性については「蒸気」が一番危険です。覚えておいてください。
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ここでワタクシの場合は、「剥離剤」を除去するために、一旦広めにゴムノリを塗ります。
サンドペーパーだけでは落ち切らないのです。
ブリヂストンのチューブには殆ど剥離剤はついていないので不要な作業です。
表面がてかっている安いチューブが特に該当します。
「パッチを貼っても剥がれてしまう」のは、剥離剤が邪魔をしているのです。
さてゴムノリを塗りました。
そしてこれを除去してしまうのです。
手でこすると、ゴムノリが黒い塊になって落ちるでしょう。
こうする事によって、きちんとパッチが定着する素地ができるのです。
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改めてゴムノリを塗ります。
余り広く塗らない様にしましょう。
塗りすぎでタイヤとくっついてしまうのは余り宜しくありません。
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乾かします。
自然乾燥なら10分。冬季であれば15分以上かかります。
仕事ではそんなに待っていられませんので、ドライヤーを使用します。
ただ、ドライヤーは意外と高温になるので、気を付けなければいけません。
下手すると溶けます。
また、ゴムノリを厚く塗った場合には、表面だけ乾燥したといるケースもあるようです。
ワタクシは白熱球ランプを使います。
手元ライトにもなりますが、火事の原因にもなったりしがちなので、あまりお勧めしません。
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乾いたら、パッチを貼ります。
そしてグリグリと……押しません。
ローラーも使いません。
丈夫で平らな物の上に対象を置いて、何かドライバーのお尻の様な滑らかで丸い物を使ってコンコンと叩きます。
当たり前ですが、強すぎてもだめです。
真ん中から叩き、パッチとチューブの間にある空気を叩き出す事を意識します。
ワタクシの場合は『鉄道のレールのきれっぱし』を叩き台に『ボックスれドライバーの尻』で作業しています。
ちなみに木製の作業ボックスをお持ちの場合、それを叩いていると、そのうちバラバラになりますのでやめましょう。(経験済み)
グリグリではなく叩くのは、チューブとパッチ間の距離を縮めたいからです。
分子単位での話になると思いますが、叩いた方が近くなると考えています。
最後に、ようやく指でグリグリと押します。
これで完成。
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念のために、水調べをします。
もしここで、まだまだ穴が開いているようなら、あきらめてチューブ交換しましょう。
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チューブを戻す前に。
タイヤにパンクの原因が残っていないか目視と触診でチェック。
チューブの穴の形を見れば原因は大体わかります。(第五話六話参照)
分かれば無駄な作業はしなくて済みます。
タイヤの表面を灯りで照らすと、結構色々刺さっているのがわかると思います。
『ケガキやピック』などを使って除去しておきましょう。
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もし「原因が小さなガラス化金属片と思われるのだが、どうしても該当するものが見つからない」
そんな時には、一旦チューブをタイヤの中に戻し、その際にタイヤの内部に「水」を少量入れてください。
そしてセットして空気を入れるのです。
そうする事によって、水がタイヤに開いている穴から圧力によって押し出され、排出されます。
そこをペンでマーキングをし、改めてチューブを取り出してタイヤの内側の該当部を点検します。
これでほぼ除去できるでしょう。
それでもわからないなら、もうタイヤにパンクチャーが埋まってしまっているので、タイヤを交換せざるを得ないでしょう。稀にあることです。
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まだもう一つ、リムフラップも点検します。
切れていなければOK。
バルブ口そばで切れていたら、両面テープを使用してリムに貼り付けてください。
通常のビニールテープは、圧力と摩擦に対応していないので、すぐに劣化してパンクの原因その物になる事が多いのです。
他に手段がなければ止むをえませんが。無いよりはましです。
リムフラップ無しでセットしても、あっという間にニップルの頭で穴が開きます。
リムフラップも表面に剥離剤か滑り止めが塗布されていますので、これを除去しないと両面テープがきちんとつかないでしょう。
圧力と摩擦と言えば、タイヤ側の内部に紙片やビニール片・ビニールテープがある場合、除去対象です。摩擦係数が周囲と違う部位は、チューブに細かな負荷を掛け、パンクを引き起こします。
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チューブを戻します。
チューブをタイヤの中に押し込んだら、一度軽く空気を入れてそして抜きます。
これをすることにより、戻す際のトラブルが減るはずです。
特に細いチューブや伸びかかったチューブを戻す時には必須の作業となります。
焦らずに戻しましょう。ペグでグリグリと強引にやると、結構簡単に穴が開きます。
特に700C×28以下はできうる限りの時間をかけて作業してください。
さあチューブを戻しました。
空気を入れました。
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それだけではまだ終わっておりません。
タイヤがきちんとリムに均等にハマっているかのチェックが有ります。
コレができていないと、車輪が一周まわるごとにゴトンゴトン言ったり、自転車が跳ねるなどと言う現象が起きます。
軽く車輪を回してみると分かると思います。
上手くハマっていない場所は、リムに噛みこんでいるように見えます。
噛みこんでいたら、一旦空気を抜き、タイヤ全周を手で押し揉んで、軽く空気を入れます。
車輪を回し、手で均等になるように押したり引っ張ったりします。
完了したら空気を入れ、仕上げをして終わりです。
ロード用の細いタイヤや、安くて癖のあるタイヤですと、これだけで十分以上時間がかかってしまう事が有ります。しかし出来ていないとクレームになりますので、やるしかありません。
あとは軽く点検して完成です。