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公爵令嬢の婚約者  作者: よしの
第一話 アリクレット男爵家
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第三話 エルレイの実験

ヴァルト兄さんを見送った後、昼食を摂り再び訓練場へ向かう。

ルリアとリリーは少し遅れてきた、動きやすい服装に着替えてきた様だ。

「ルリア、その服も可愛くとても似合っているよ」

ヴァルト兄さんとのやり取りで機嫌良く無かったので褒めておく。

「ふんっ!」

どうやら失敗した様だ、腕を組みそっぽを向かれてしまった。

これからルリアに魔法の教える予定だが、怒らせないで上手く教える様にするにはどうしたものか・・・。

それと訓練の内容はあまり他人に広めたくない、リリーを見てみる、リリーはバスケットを片手に持ちルリアの後ろで待機している。

「これからルリアに魔法を教えて行く訳だが、無詠唱とか普通ではない事をやるが他人に広めたくない、そこでリリーは信用できるのだろうか?」

「リリーは信用できるから構わないわ」

「リリー、ここで見聞きした事は他言無用にしてもらいたい、お願いできるだろうか?」

「はい、決して他人に漏らさないと誓います」

「そうか、リリーは魔法は使えるのか?」

「いいえ、使えません」

「魔法を試したことは?」

「ございません」

「そうか、ならば後で一度試してもらおう」

リリーには俺の実験に付き合ってもらおう、ルリアが信用しているのだから大丈夫だろう。

「ルリア、訓練を始める前に使える魔法を教えて貰えないか?」

「火の魔法の中級までと、風の魔法を少し使えるわ」

「地、水とかは使えないのか?」

「使えないわ、相性が悪いのよ」

相性?俺にはそんなことは無く使えるが、他の人は使えない種類の魔法があったりするのだろうか?

「ルリア質問だ、他の魔法使いも相性とかで使えない魔法がある物なのか?」

「そんなの当然だわ、エルレイには苦手な魔法が無いの?」

「あぁ、魔法書に書いてある魔法はすべて使える」

「そんなのずるいわ」

ずるいと言われても使えるのだからしょうがない。

そうか他の魔法使いには相性があるのか・・・。

「分かった、では魔法の訓練を始めよう、的の前に立ってくれ」

「こうかしら?」

ルリアは的の前に立ち、彼女に触れて魔力を見るために、俺はその背後に立った。

そこでちょっと殴られた仕返しに悪戯を思いついた。

「ルリア、今から魔法を使ってもらう訳だが、その時にルリアの魔力が見たいので後ろから抱きつくが、構わないか?」

「だ、抱きつくですって!!」

「あぁ、魔力を見るために必要な事なんだ」

本当は肩に手を触れるくらいで構わないんだが、殴られた分は取り返さないとな!

「そう・・・エルレイとは婚約者なわけですし、構わないわ」

ルリアは若干震えているように見える、後ろに立っている為ルリアの表情を伺う事は出来ない、多少の罪悪感が生まれるが、今更嘘だとは言えないな・・・。

「じゃぁ抱きつくよ」

「えぇ・・・」

ルリアの後ろからゆっくりとお腹の辺りに手を回し抱きついた、ルリアの髪からはいい匂いと、柔らかい背中から温かい体温を感じる。

そんなことより真面目に魔力を見ないと・・・思ってた以上にルリアは魔力を持っている様だ。

「ルリアの魔力量はとても多いね、驚いたよ」

「そう、当然よ!」

俺がそう言うと、ルリアの震えは収まり落ち着きを取り戻したようだ。

「このまま目を瞑って、自分の中の魔力を感じながらファイヤーボールを撃ってくれ」

「目を瞑ったままで撃つの?」

「目を開いた状態で魔力を感じられれば、開けていてもいいけど」

「出来ないわ」

「なら目を瞑って魔力を感じながら撃ってくれ、的に当てる必要はない、魔力を感じる事が重要だ」

「分かったわ、ではやるわね」

「全てを焼き尽くす炎よ、我が魔力を糧として火の玉を作り敵を焼き払え、ファイヤーボール」

飛んで行ったファイヤーボールは、俺が被害出ないように障壁を出し打ち消した。

「魔力が自分から出て行くのがわかったかい?」

「えぇ分かったわ、最初の方と、最後にも魔力が出て行くのが分かったわ」

「凄いじゃないか、一回でそれが分かるとは、俺がそれをわかるまで結構かかったのに・・・」

「ふふん、当然よ」

ルリアは勝ち誇ってとても上機嫌だ、なるほどこうやって褒めて行けばいいんだな、ルリアは褒めて伸ばしていこう。

「では無詠唱について説明する前に呪文の説明をしよう、今のファイヤーボールで説明する。

全てを焼き尽くす炎よ、の所で火の属性に決めて、

我が魔力を糧として、の所で自分の魔力を出して、

火の玉を作り敵を焼き払え、の所で出した魔力を元に形を作り、

ファイヤーボール、の所でまた魔力を使い撃ち出す。

分かった?」

「分かったわ、魔法ってそうやって出来ていたのね」

「うん、それを踏まえて、もう一度魔力を感じながら撃ってみて」

「やってみるわ」

「全てを焼き尽くす炎よ、我が魔力を糧として火の玉を作り敵を焼き払え、ファイヤーボール」

「凄い!説明の通りだったわ」

「それが分かったのなら無詠唱は簡単に出来る、今のを言葉に出さないで魔力を出して、火の玉を作り、撃ち出すイメージをしっかり持つ事」

「分かったわ、火の玉をイメージね」

・・・ルリアは暫く考えた後頷き、無詠唱でファイヤーボールを撃ち出すことが出来た。

「エルレイ出来たわ!」

とても嬉しそうだ。

「ルリアはとても呑み込みが早い、びっくりしたよ、今のを忘れないために何回か練習してくれ」

そう言って少し残念だが抱きついていたルリアから離れた、ルリアが振り向き何か言いたそうな感じだったが、何も言わず練習のため前を向いた。

「ルリア、ちょっとリリーの魔法を見てみるよ」

「えぇお願いするわ、あっ、リリーは私たちが結婚した後、貴方の妾にするから大事にしなさいよ」

「えっ?」

驚きに声を出せないでいた。

「決定事項だから拒否はさせないわ!」

ルリアはそう言うと練習に戻って行った、リリーの事は驚いたが、それ以上にルリアの口から結婚と言う言葉が出てきたことに驚いた、多少は認めてくれたという事だろうか。

リリーの方に近づいていくと彼女は俯いていた、先程の事が聞こえていたのだろう。

「リリー、改めてよろしく」

「はい、よろしくお願いします」

リリーは顔が真っ赤だ、ルリアもこれくらい可愛かったら良かったのだろうけど、しかしルリアの気が強くなかったら俺との婚約は無かったか・・・。

「リリーの魔力を見るから手を出してくれないか?」

俺がそう言うと、リリーは頭を傾げてから手を差し出してきた。

「あの、抱きつかなくてよろしいのですか?」

あっ、しまった、ここでリリーに抱きつかないとルリアに何をされるか分からないな。

「あぁそうだった、すまないが抱きつかせてもらうよ」

リリーの後ろに回り込みそっとリリーを抱きしめる、ルリアとはまた違ったいい匂いがする。

リリーが若干ジト目で見てきていて、抱きつく必要が無い事がバレているみたいだが、仕方がないこれで押し通す。

リリーの魔力を見ると、初級魔法を使うのに若干魔力が足りていない様だ。

ここからリリーを使っての実験だ、と言って危険な事をする訳では無い・・・多分。

「これからリリーの魔力に少し干渉する、気分が悪くなったり痛みが生じたら言ってくれ」

「分かりました」

俺の魔力をリリーに少し流す、どうやらうまく行ったようだ、リリーの魔力が増えている。

「リリー、気分が悪くなったりしていないか?」

「大丈夫です」

「リリー、目を瞑り自分の魔力を感じる事が出来るか試してくれ」

「分かりました」

リリーは目を瞑り眉間にしわを寄せ唸っている・・・魔力を感じる事が出来ないのかな。

「リリー、そのまま続けていてくれ」

「はい」

また少しだけ魔力をリリーに少し流すが魔力は増えない様だった、今のリリーの魔力量の限界か・・・しかし初級魔法を使えるくらいはある。

「リリー、今から水の初級魔法を教えるのでそれを唱えてくれ」

「分かりました」

リリーにウォーターボールの呪文を教え、リリーに唱えさせる。

「大地を潤す恵みの水よ、我が魔力を糧として水球を作り給え、ウォーターボール」

見事にテニスボール大の水球が出来て地面に落ちた、そして彼女は魔力切れで力が抜けたが、後ろから抱いていたのが幸いしてリリーを倒れない様支える事が出来た。

また俺の魔力を少しリリーへと流す、流した分だけリリーの魔力が回復している、その事が効してかリリーは早く魔力切れの状態から回復した。

「リリー、魔法が使えたぞ」

「はい、エルレイ様ありがとうございます」

リリーは涙を流して喜んでいる、魔法使いに成れたという事は殊の外大きかった様だ。

ルリアも近づいて来て、リリーが魔法を使えた事をとても喜んでいる。

「リリーおめでとう、これで貴方も私と同じ魔法使いよ」

「はい、お嬢様ありがとうございます」

「ところでエルレイ、いつまでリリーを抱きしめているのかしら?」

ルリアは怒っているようだ、自分のメイドを取られたとでも思っているのか?

「あぁ、リリーもう立てるかい?」

「はい、エルレイ様大丈夫です、ありがとうございました」

リリーを離すと恥ずかしそうに離れて行った、その仕草がとても可愛らしく思わずにやけてしまう。

そうしていると、ルリアが睨んできて話しかけてきた。

「エルレイ、リリーは本当に魔法が使えたのよね?」

「本当だ、しかし今の様に一回の魔法で魔力切れを起こしてしまう、だから決して俺との練習以外で使わない事」

「リリーの魔力は増えるのかしら?」

「それは分からない、これから毎日使い続けて見ない事には何とも言えない」

「そう、なら大丈夫ね、リリーの事任せたわよ」

「分かった、ルリアはこの後魔力が切れるギリギリまで魔法を使い続けてくれ、俺も一緒に付きあう」

「分かったわ」

「リリーは魔力切れを起こしたばかりだからそこに座って休んでいてくれ、どうしても無理そうならベッドに運ぶが大丈夫か?」

「はい大丈夫です、すみませんが座って休ませて頂きます」

「そうしてくれ、ルリア始めよう」

リリーの実験、魔力の他人への譲渡は上手く行った、残るは魔力がリリーより少ない者への実験だ、しかし信用できない人にはやりたくは無い、アルティナ姉さんなら条件は当てはまるが、魔法が使える様になり戦場へ出て行くような事に成りかねないからやってはいない。

暫くは、ルリアとリリーの魔力を増やす事だけにしよう。


夕食時、皆が食堂に揃うと父上より話があった。

「皆すでに知っているは思うが、エルレイの婚約者、ラノフェリア公爵家の四女ルリア・ヴァン・ラノフェリアさんが当家に滞在することになった、皆よろしくしてやってくれ」

ルリアはすっと立ち優雅に挨拶をした。

「ルリア・ヴァン・ラノフェリアです、皆様よろしくお願いします」

こういった表向きの顔は公爵令嬢なんだがな・・・。

「「パチパチパチパチ」」

皆から拍手が送られた。

「では頂こうか」

「「頂きます」」

夕食はいつも通り、和やかな雰囲気で進んでいった。

食事が終わり廊下に出ると、アルティナ姉さんとルリアが睨み合っていた。

「エルレイを傷つけると公爵令嬢と言えど、私が許しませんからね」

「ふんっ!」

アルティナ姉さんとルリアが喧嘩するとどちらが勝つかは目に見えているので、アルティナ姉さんの前に回り慌てて止めに入った。

「アルティナ姉さん止めてください、私は大丈夫ですから」

そう言うとアルティナ姉さんは僕を抱きしめて来た。

「エルレイは私が守ってあげるからね、心配しなくていいのよ」

「アルティナ姉さん、そうではなく・・・」

どうやらアルティナ姉さんに話は通じ無い様だ・・・。

「ふんっ!」

ルリアはアルティナ姉さんの事は気にもしない様に振り向き、自室へと消えて行った。

「アルティナ姉さん、ルリアとは出来れば仲良くしてもらいたいんだけど」

「それはあの女次第よ、エルレイを殴る様な人は私が許しません!」

玄関でのやり取り見られていたのか、どうしたものか・・・

「あの後勝負して仲直りしましたから・・・」

「そう、やっぱりエルレイは勝ったのね、さすが私の可愛い弟だわ」

アルティナ姉さんはそう言うと更に強く抱きしめてきた、アルティナ姉さんの柔らかく温かい感触はとても安心出来る感じがする。

俺はその後、しばらくの間アルティナ姉さんの抱擁から抜け出せなかった・・・。


次の日から剣の訓練にはルリアも一緒に参加するようになった、ルリアの剣は習った師匠が良かったのだろう、美しい剣捌きをしている。

俺のは勇者時の独学だから変な癖があったりして、アンジェリカには直すよう言われてはいるが、体に馴染んだ物だから直らないでいる。

午後からは実験・・・ではなく魔法の訓練だ。

「ルリア、無詠唱は習得出来た様だから次の段階に行こうと思う」

「上級でも覚えるのかしら?」

「そうではない、魔法の変化、強化、圧縮だ」

「そんな事出来るの聞いたこと無いわ」

ルリアはそんな事が出来る訳が無いと思っているのか、疑いの眼差して見て来た。

「当然だろう、無詠唱でないと出来ないからな」

「そうなの」

「簡単なのを見せるから今日からはそれの練習になる、まず変化から」

手の平の上に火を灯す、それを大きくしたり小さくしたり縦や横に広げたりして見せた。

「これは火をイメージ通りに変形させている」

「凄いわね」

先程とは違い、ルリアは目を輝かせて変化する火を見つめていた。

「次は強化」

同じように火を灯し、今度は火の温度を上げて行き、青白い炎になるまで強めた。

「これは出来た火にさらに魔力を追加して火の温度を上げている、当然使用する魔力量と威力も上がる」

「なるほどね」

「最後に圧縮」

バレーボール大ファイヤーボールを出し、それをビー玉大まで一気に圧縮。

「これは単に小さくしたのではなく、威力をそのままにファイヤーボールを更なる魔力で押し固める」

「それは何か意味があるのかしら?」

「ちゃんと意味があるぞ、実際にやって見せよう、まず普通のファイヤーボールを的に当てる」

ファイヤーボールは的に当たると燃え上がった。

「次に圧縮したファイヤーボールを当てるぞ」

「ドゴーン」

ビー玉ほどに圧縮したファイヤーボールは、的に当たると激しい音と共に爆発炎上した。

「とまぁこんな感じで威力が上がる」

「信じられない、今の火の上級魔法エクスプロージョンじゃないの!!」

「威力は若干落ちるが同じようなもので、使う魔力は少なくて済む」

「凄い、凄いわエルレイ、私にも出来る様になるのかしら」

ルリアは興奮してすごい勢いで僕につかみかかって来た、それと同時にルリアのいい匂いもしてくる、どうせなら抱きついて欲しかったが・・・。

「あぁ、努力すれば出来る様になる」

「頑張るわ」

「今日は火を変化させる練習をしてくれ、やり方はイメージ通りに魔力を動かす」

「分かったわ」

「分からなかったら遠慮なく聞いてくれ、俺はリリーの練習を見ているから」

「ええ、リリーの事お願いね」

ルリアはやる気満々だ、彼女なら問題なくできるだろうと思うが、出来なかったら他のやり方を考えないといけないな。

ルリアの事だ、出来ないと殴りかかってくる恐れがある・・・。

少し離れた場所にいるリリーの元へ向かい、ルリアに聞こえないよう小さな声で言った。

「リリー、昨日と同じ様に魔力を見せて貰う、気が付いていると思うから言うが魔力を見るのは触れるだけで構わない、しかし魔力切れで倒れられると危ないから後ろから抱きつくがいいか?」

「はい、エルレイ様お願致します」

リリーはそう言うと若干俯いた、リリーはちょっとした仕草がとても可愛いい。

そっと後ろからリリーに抱きつく、ルリアとは違ったいい匂いと暖かな体温が伝わってきて幸せな気分になる。

「本音を言うと、ルリアに怒られるのが怖いんだ」

「フフッ、存じております」

後ろからそっと囁くと、リリーは笑ってそう言ってくれた。

リリーの魔力を見ると昨日より増えている、やはり使う事によって筋肉と同じように魔力量も増える様だ。

しかし初級魔法二回は使えないな。

「リリー、昨日の魔法覚えているか?」

「はい、覚えております」

「では一度だけやってみてくれ」

「大地を潤す恵みの水よ、我が魔力を糧として水球を作り給え、ウォーターボール」

テニスボール大の水球が出来て地面に落ちた、問題なく出来る様だな。

「凄いぞリリー、立派な魔法使いだ」

「ありがとうございます」

「昨日の様にリリーの魔力に干渉する、気分が悪くなったり痛くなったら教えてくれ」

「はい、分かりました」

リリーに魔力を流していく、先程の量までは回復した、それが限界の様だ。

「もう一度魔法を使ってくれ」

その繰り返しを五回ほど繰り返したところで、リリーが肩で息をするようになった。

「リリー、辛そうだな」

「はぁ、はぁ、申し訳ありません、体が怠くなってきました」

「いや俺が悪かった、ちょっと無理をさせ過ぎた様だ」

リリーを抱き上げる、お姫様抱っこってやつだ。

「エルレイ様何を!」

急に抱き上げられたリリーは驚き顔を赤くしていた、この可愛い表情をずっと見ていたいと思えて来る。

「今日は無理をさせ過ぎた、リリーには休んで貰おうと思ってね、ルリアちょっと来てくれ」

ルリアは振り返り、こちらの状況を確認すると走って近づいてきた。

「エルレイ、リリーに何をやっているのかしら?返答によっては殴るわよ」

ルリアはリリーを抱えている俺を凄い勢いで睨んできている、とても怖いが今はリリーを抱えているから逃げることも出来ない。

「あぁ、リリー魔法を使わせ過ぎて無理をさせてしまった、申し訳ない、それで部屋のベッドで休ませたいから付いて来てくれないか?」

「そうなの、分かったわ、付いて来てちょうだい」

どうやら殴られないで済む様だ、ルリアの後に付いて行き、部屋のベッドにリリーを寝かせた。

「リリー、ゆっくり休んでいなさい」

「はい、お嬢様申し訳ありません」

「貴方は悪くないのよ、悪いのはエルレイなのだから、エルレイ行くわよ」

ルリアは俺の手を取ると、力任せに引っ張り部屋から引きずり出された。

家の外まで来るとルリアは振り返り殴ってきた、避ける事は簡単だが今回は俺が悪かったので素直に殴られた。

「それでリリーに何をしたの?」

ルリアは相当怒っている様だ。

「リリーに少し無理をさせ過ぎた、本当に申し訳ない」

「で?」

内容を言えとルリアの目が語っている・・・。

「リリーの魔力が昨日より若干増えていた、正確に言うと初級魔法を一回半撃てるだけの量だ、昨日は一回分ギリギリだった」

「そう、それで?」

「リリーの魔力を使った分だけ、俺の魔力で補填して、六回魔法を使った所であの状況になった」

「魔力の補填ですって?そんなことも出来るのね・・・」

ルリアは少し驚いた表情を見せたが、すぐに怒りの表情に戻ってしまった。

「あぁ、そのせいでリリーが体調を崩すことになってしまった」

「それでリリーの魔力が増えるのね?」

「それは明日になってみないと分からない・・・」

「分からない事をリリーにやったの!!」

「申し訳ない」

俺は頭を下げ、また殴られることを覚悟した。

「・・・今日の所はここまでにするわ、明日リリーの魔力が増えてなかったらその時また殴るわ」

「あぁ、遠慮なく殴ってくれ」

「さぁ練習に戻るわよ、付き合いなさい」

「分かった」

今回の事で、ルリアがリリーの事をとても大切にしている事がよく分かった。

そして次の日、リリーの魔力が増えていた事によって殴られなかった事を報告しておこう。

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