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バナナの葉の屋根、馬糞に草を混ぜたコバットと呼ばれる土壁、若干の手狭ではあるが、アジスアベバ郊外に建設された白鳥と金子の新居は、朝から多くの参列者で賑わっていた。

その中には、遥々、日本から訪れた白鳥の両親の姿もあったが、その表情は複雑であった。

「自分で決めた道だから―」と白鳥の両親は言ったが、手塩に育てた娘が、二十歳も年の離れた、バツイチ子持ち、しかも精神疾患の歴がある上司と結婚とは…。

世間体を考えれば、絶対に阻止したい結婚であったが、しかし、ここはアジスアベバである。

日本のような煩わしい世間体は皆無なのである。

男性は二十歳、女性は十五歳で結婚するエチオピアで、五十歳と三十歳の結婚は些か珍しいが、幸せに年齢は関係ない。

エチオピアの結婚式は世界的に見ても派手である。カメラ隊やDJを雇い、装飾した車で市街を走り回り、大音量の音楽を鳴らして踊り狂う。

人生最大の催事。結婚式のために、一ヶ月も仕事を休むこともザラにある。

結婚初夜は、妻が処女であったことを証明するため、経血の付いたシーツを外に出すことが風習となっている。

しかし、それも昔の話で、現代は婚前交合も珍しくないため、金子、白鳥夫妻は、鶏首を刈って噴き出た血をシーツに付着させ、初経の証として玄関先に血塗りのシーツを掲げておくのだった。

郷に入れば郷に従えではないが、白鳥は片乳を惜しげもなく曝け出すと、対する金子も逸物を葉で隠しただけの恰好になった。

「私は背伸びをしていた、人よりよく見られたいという気持ちが優先して、人よりいい場所に住み、良い収入を得ることが幸せであると感じていたが、今は違う」

堅苦しいものを全て捨て、異郷に住む二人の男女の表情は、誰よりも満ち足りて見えた。

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