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ちょっと!面白がっていませんか?

私の後ろは壁になっており、ユーレンの表情は今は私にしか見えていない状況だ。


「だから、ね?こんな茶番はもう終わらせよう」


パンっと、ユーレンは両手を叩いて渇いた音をだした。同時に、教室には近衛の制服を着た騎士が多く入ってきた。あ、お兄様がいる。然り気無く私にウインクした。


近衛騎士たちは、ユフィーとそれを取り巻いていた高位貴族子息たちを捕らえていく。ユフィーは茫然としているが、子息たちは抵抗している。それでも、プロである近衛たちに敵うはずもなく、どんどん捕縛されていき、教室から連れ出されていく。


ここから近衛騎士に連れ出されていくのは、私一人だったはずなのに。

最後に連れ出されてたのはユフィーだった。蒼白い顔して、事態が把握できていないのだろう。私たちの方に視線を向けることもなく連れていかれた。


教室には、静寂が戻る。

みんな、今あったことに対応できていない。私も対応できていない。ここで、いつも通りの表情をしているのはユーレンのみだった。


「とりあえず、事後処理があるから僕たちも行こうか」


優しい言葉に優しい表情。ただ、わたしをエスコートする手だけは有無を言わさない強さがあり、私はユーレンと共に教室を出た。







学園を出て連れてこられたのは、王城内の王太子の部屋だった。

何度も訪ねていたここはいつも通り生活感のない家具だけが並んでいる。


「さぁ、どこから話そうかな」


同じソファーに腰掛け、ユーレンはわたしと向き合った。

二度と来ることはないと思っていた、この部屋。座ることはないと思っていたソファー。首もとのボタンをいくつか外し、ユーレンは寛ぐ体勢でそう切り出した。


「まぁ、そうは言っても教室で話したことが全てだ。僕は王命であの男爵令嬢に近付いた」


ただそれだけだよ、とユーレンは言いきった。

学園から王城まで馬車で考える時間はあったはずなのに、聞きたいことはまとまらない。

この世界はゲームの世界ではなかったのか。私は、何故あの場で断罪されなかったのか。しかしこれらは、ユーレンに聞いても仕方のないことだ。


「…まぁ、それよりも僕はミリーにこそ聞きたいことがあるんだけどね?」


優しかった表情がなくなり、エメラルドの瞳が怪しく光る。剣呑な雰囲気を感じて、つい身を縮めた。


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