小波 魔王に会う
[よくここまできたなぁ、俺様は魔王親衛隊長、ブンゲ!…
グァァ!!]
[私はブンゲのようには行きませんよお嬢さん この遊撃隊長クザスがお相手致しましょう
グァァ!!ガハァ!]
[特攻隊長 コツアビ
お相手いたす!!!
ムゥ…無念]
[俺が魔王様 までの最後の砦
ウユリイセだ
よくここまで来た
そしてここで果てるがいい!!!
ウアアアァ!!]
小波は魔王の部屋の扉を開けた
すると、大男が転がっていた
[あー、誰だお前はこの魔王になんのようだかしらんが
今日は帰ってくれ]
小波は転がって菓子のようなものに手を伸ばした大男に言った
[あなた魔王よね?私 あなたを魔界の民を苦しめるあなたを倒しに来たんだけど]
[ブフゥッ!!!]
[ちょ 汚いわね!何よあなた!!死んで!!!]
魔王は食べていた菓子を吹き出した
小波は怒って叫んでいる
大男は泣きながら言った
[人間よ、ワシは民を苦しめてなどいない!ただ、何もしてないだけなのだ]
[あなた王さまなんでしょう?何かにつけて民の不利になる法や税とかを押し付けてたりするんじゃないの?なんか民が暴政だとか言ってたけど]
小波は魔王を問い詰めた
[誤解じゃ
ワシは本当になにもしとらん
というよりなにもする気が起きんのじゃよ だから大抵この部屋でごろごろと日々を過ごしておる
外は略奪をするもの
弱者をいたぶるものなど様々な者共が好き勝手生きておるが
ワシはなにも関与しておらん
ワシのせいにされては不愉快だ]
魔王は人間界でいうところの軽度の鬱だった
[まあ
全て貴方のせいではないようね
政を取り仕切るものがいなくなっても誰かのせいにせず
自制心や慈悲の心をもって生きていかなきゃあならないもの
それが出来ないこの世界の荒くれものや、強くならずになれずにむしりとられるものたち、国が荒れているから魔王を倒してくれとお門違いの頼みをするものたち、こんなしょうもないことだと気付かずにまんまと勇者気分で乗せられた私
全てに腹がたってきたわ
そして…
今
菓子を食べながらごろごろしている貴方]