排泄極期期間中
剱を立てた子守唄
もう誰も聞いていない
季節に咲いた傷膿を抉れば
その芯、その哲、枯れ果てた
逝去った趾、原子菌の開闢、鬼子母の面
吐き嘔された愛は凍花に成り変わる
砥ぎ澄まされた刀身の耀きの
裂けびの失楽、解体恐怖からしてみても
それは倦み疲れた果実、もしくは一種の詩稿
地下室に埋葬された臨終の種
そこから樹つ一粒の夜の春が
いくつもの生き残りと死に残りを
卍印を切るための神殺しへいざなう
目蓋を切り裂いて、錆を取り入れて
虚明、虚題、虚墓、さらなる虚に落ちて
大時計に錄されたアカシアの少女は
強烈な呼息、生に足掻いて
それでも手を離してしまえば
土台磔刑の真空へ氾がって
もはや人ではなくなった
誰がために殺めるか、誰がために匐うか
蒼鉛の闇、毒雪に満ちて
濛々たる異常源に晦ませて
はやく思想の負圧力を下吐さないと
存在の一切れの消褪、消滅したあとの存在の一切れ
妄想の滲んだ世界に排斥されてただ漏れて
問われるだけ、心を神に問われるだけ
わが身に純粋栓を塞いで、自閉するヒューマニズム
思考の抑止地獄、脳髄・脳線を切れと
排泄極の囁きが聞こえる
表層に雕まれた禍々しい葦の華
灌いだ腐水は肉芽に沁み渡る
供物の意味は打ち消され
取り入れられるは飢餓と分裂
投影しただけの心獣の棲み家
ただ背後から出獄するだけ
地面が割れている、塔も支えきれない
それは明瞭りと捉え難い空ごとの作り物
遠隔実験の涯てに
大機械の動き続ける
二人だけの國で
自分の躰から自己が排泄されていく
融ける魂、融ける幻想
無の音楽が鼓膜を狂わせて
視界の彼方に混沌球が見える
廃れてしまった感受性
もうこれだけなのか
隅に残った塵芥を拾ってみて
懸命に祈り続ける
自分の姿はまるで
世界の喉が
咳き込むような
薄気味悪い
排泄物だ