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とある依頼物

作者: 木戸 知成

私はかなり古い人間の女性をかたどったぬいぐるみを調べるように知人の主婦から頼まれた。


どうもこの人形かなり精巧な作りをしているようだ。


私は彼女に訊いた。

「これ。かなり昔からあったんですよね? 何で今更調べようと思ったんです?」

彼女は答えた。

「最近息子が妙なことを口走るようになったんです」


どういうことだろうか。

妙なこと。どうも聞いたところで理解できる物ではないらしい。


私はその「精巧な」ぬいぐるみに妙な仕掛けがあることに気づいた。


下腹部から…音が聞こえる…

そう。籠もったような感じがする音だが、「規則正しい」音が聞こえるのである。


私は彼女にぬいぐるみを返し言った。

「そのぬいぐるみの下腹部…子宮のあたりから、規則正しい音が聞こえました。 おそらく胎児の心音だと思います」

彼女は言った。

「ああ…やっぱり…」

私は訊く。

「お気づきだったんですか? なら、私に頼みたかったことって……」

彼女は言った。

「ええ。 息子のことは話したと思うんですが、たぶんこのぬいぐるみは息子の母親…つまり私をかたどった物なのだろうと思ったんです… あなたに本当にしていただきたかったことは、これの処分です。 息子があからさまにおかしなことを言うので…その…呪いの類なのかと思ってしまいまして…」


なるほど。そういうことか。

私は答えた。


「捨てないほうがいいと思いますよ」





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