ジョイン
「貴公がヤブサワ・エイチャか。自分はウラキア兄弟会のジョインだ。よろしく頼む」
上半身と長い脚のすべてを板金鎧でおおった金髪の男は、そう言って右手をさしだした。
俺は桶を置いて、その手を握りかえした。
金属製の籠手をはめた相手と握手をするのは初めてだ。
ジョイン。
ウラキアとネオイーサの間を何度も往復し、情報の送受信を人力と馬力だけで遂行している男。
よく見ると、青い眼の下にはクマができているようにも見える。
「よろしく、ジョイン」
「うむ。貴公のことは今、ジャッジから聞いた。ウラキアのために力を貸してくれたこと、心より感謝する」
「あー、まあ、たいしたことはしてないけど」
斧とレンガを壊しただけだ。
そして食事と寝床を提供してもらい、まだ使い道もありそうな材木の切れ端などを粉砕している。
どちらかといえば、この町から投資を受けている立場だ。借りがあるのは俺のほうだろう。
「謙遜無用」ジョインはさわやかな笑顔を見せた。「精霊の加護を受けた男に会うのは初めてだ。そんな男がウラキアのために尽力してくれるという。これほど心強いことはない」
「あ、ああ。がんばるよ」
——なんかジョイン、激しくいい人っぽいな。
ラグーの善良感とは少しちがう。強い圧のある善性だ。裏切ったら容赦なくひどい目にあわされそうな気がする。
このまえジャッジから聞いた話によると、ジョインは北の騎士団に混じって生活しているそうだ。たしかに騎士っぽい感じなのかもしれない。俺は騎士に会うのは初めてだし、たぶん1周目の世界で騎兵に会ったこともないのだが。
——やっぱり、戦闘機のパイロットとは資質がちょっとちがうんだろうな。
かなり背が高い。190センチを超えている。
全身を鎧で固めているため体重はわからないが、バランスの良さは見てとれる。ハッピーのような異常筋肉者ではなさそうだ。
打撃系格闘技のリングが似合いそうな体格。
上にいた大きな馬は、この体と鎧を乗せて走る馬だったのか。
「よし。場所を変えよう」
とジャッジが言った。
「灯油がもったいない。あとはおれの部屋で話そう。ヒデオの件だ。サラリーはどうする?」
「当然ファックだ。ジョインジャッジとお部屋でお話とかこの世の地獄そのものだろ。エイチャ、しっかり地獄を学んどけ」
「押忍」
サラリーに指を突きつけられた俺は、反射的に両腕で押忍十字を切ってしまった。1周目の世界では、最上級の敬意と拝承をあらわす動作だ。
「……貴公ら、どういう間柄になっておるのだ?」
ジョインは、いぶかしげな顔をした。




