プロローグ
プロローグ
溶けてしまいたい。吸い込まれるような深い青の底まで、どこまでもどこまでも落ちていきたい。
こんな場所まで、僕は死ににきているのだろか。たしかに僕は子供のころからずっと海は好きだった。海無し県に生まれたからなのかはわからないけど、海に対して強い憧れがあったし、将来は海に関係する仕事に就きたいなんて思っていた。
でもそれは、遠い昔のこと。今となっては夢とか将来とか、そんな希望みたいなものは僕の中にはなくて。ただ、先の見えない完全な暗闇が僕の眼前に広がっているだけだ。
僕はこれからどうすればいいんだろう。苦しくなるほどに繰り返してきた問いの答えを、ついに僕は見つけることができなかった。
だから諦めるのか?と言われれば、それは違うと言う。諦めたくはないし、諦めたつもりなんてない。
でもなら、どうして死ににきた、なんて考えが浮かんだのだろう。逃げるなと言い聞かせて、諦めるなと言い聞かせて、死にたくなるような思いも堪えて、鉛のような重りを引きずってまで進んできたと言うのに。
あぁ、結局私は変われなかったんだな。だからこうしてまた、逃げてしまった。
ここでまた、僕を苦しめた問いを私に投げかける。
「僕はどうすればいいんだろうね」
そんな独り言は波が騒めくせいで消された。