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ストーカー規制法


「ストーカー規制法に基づき、被害者に最低10年間接近する事を禁ずる」


俺は昨日、最寄りの警察署の署長にあの女に近づく事を禁じられた。


ま、そんな事言われても近づくけどな。


何時ものようにあの女のゴミを漁ろうと塒のアパートを後にする。


女の住むマンションの近くまで自転車で移動。


マンションのゴミ捨て場に近寄ろうとした俺を見た道行く通行人の大半が、俺を指差して周りの人たちと何やらヒソヒソと話しを始めたり、スマホを取り出して何処かに電話をしたりする。


首を傾げながらマンションに近づいてその理由を知った。


マンションのゴミ捨て場の近くにあるチラシなどを貼る看板に、俺の顔がデッカク印刷されたポスターが貼られていたからだ。


「え、な、何だ、これ?」


俺の顔の下に書かれている文字を読む。


「この男はストーカー規制法により、被害者の500メートル以内に近寄る事を禁じられています。


このポスターが貼られている場所は、被害者の住居から500メートル以内です。


この男を見かけたら警察に通報をお願いします。


なお、このチラシを破損した場合、1枚に付き懲役10年または、罰金500万円の罰が下されますので御注意ください。


〇〇警察署、署長」


ポスターの文字を読んでいた俺の耳にパトカーのサイレンが聞こえ、サイレンの音が消えたと思ったら俺の肩を誰かが軽く叩いた。


振り向いたら2人の警察官が立っていて、そのうちの1人が声を掛けて来る。


「直ぐにここから立ち去りなさい」


「立ち去るけど、こ、これは、な、何なんだよ?」


俺はポスターを指差しながら質問した。


立ち去るよう促した警官はポスターにチラッと目をやってから、口元を綻ばせながら説明を始める。


「それはあなたに対する罰です」


「罰?」


「そう、ストーカー規制法は20年以上前から制定されていますが、ストーカーを行う加害者は注意しても、注意してもあなたのように被害者に接近する。


そうして注意されれば注意される程狂暴化して、被害者に危害を加える者が出てくる。


その結果、我々警察官が市民やマスコミに叩かれる。


我々も忙しく一件一件のストーカー全てに対処する事が難しいのですよ、そのためストーカー規制法を少し改正しましてね、市民の皆さんにも手伝って頂く事にしたのです。


それがこのポスターなのです。


このポスターは被害者の住居や利用している駅などを中心にだいたい500メートル以内と、加害者である今回の場合はあなたですが、立ち寄りそうな場所全てに貼られています」


俺は警官の説明に耳を傾けていた。


そうしたら俺と警官のやり取りを面白そうに眺めていた野次馬たちが、俺の写真を撮っているのに気が付いたので罵声を浴びせる。


「ゴラー! 勝手に写真撮るんじゃネー殺すぞ!」


「それ脅迫ですよ」


警官が俺に注意した。


「脅迫? 俺の肖像権はどうなるんだよ?」


「その言葉そっくりあなたにお返しします。


今まであなたが被害者の方に行っていた事ではないですか」


「ウッ……」


「それでですね、このポスターを見た市民の方の中には、正義感が溢れていらっしゃる方もいらっしゃいまして。


あなたを24時間監視してくださる方もいるかも知れません。


その方たちをあなたがストーカー規制法違反だと訴えても我々は無視しますし、万が一あなたがその方たちに暴力を振るわれた場合、その時は喜んであなたを逮捕しますから」


「な、なんでだよ?」


「決まっているじゃないですか、それが今まで被害者の方が味わって来た恐怖ですし、我々もあなたのような奴はサッサと逮捕して刑務所にぶち込みたいと思っているからです。


ま、10年間被害者の方に近寄らずに生活してください。


あ、忠告しておきます。


今回は目を瞑りますが今後被害者の方に近寄った場合、伸びますからね接近禁止令の期間が。


分かりましたか?


分かったら直ぐに立ち去りなさい!」


「わ、分かったよ」


俺は睨みつけて来る警官と面白そうに眺めている野次馬たちの視線を背に浴びながら、自転車を押してその場を後にする。


警官が言っていたように、その場を離れる俺の後ろを野次馬の何人かの奴らが着いて来た。






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