火刑
今日は特別な日だ。
死刑囚の処刑方法に、絞首刑と共に火刑が取り入れられた日だから。
これで放火事件が減る事だろう。
めでたい事なのかも知れない、それが俺の死刑方法でなければな。
失業してアパートを追い出された俺はただ、寒さに耐えられず火を点けただけなのに。
自転車とかバイクとかに火を点けても直ぐ消火されてしまい暖を取る事が出来ない。
だから俺は他人の家に火を点けた。
此だと消火されるまで時間が掛かるし火事場見物の野次馬に混じっていれば、俺が放火したとバレずに暖を取れるから。
30軒くらい放火しただろうか? 最後に火を点けた所で巡回中の警官に見つかり逮捕される。
30件放火した中で数人の人が亡くなっているんで、俺に死刑の判決が下された。
人が亡くなっているから死刑は仕方が無いと思うよ。
でも、でもそれだったら俺を首にした会社や、真冬に俺をアパートから追い出した大家も罪に問われるべきじゃないのか?
会社や大家だけじや無い、真冬に行き場を無くした弱者に手を差し伸べない国や自治体も罪に問われるべきだろう。
俺だけが罪に問われるなんておかしいじゃないか。
火葬場のような構造の焼却炉に筋弛緩剤を注射されて放り込まれた。
扉が閉められバーナーに火が点けられる。
「熱いー!
「助けてくれー!
おかしいだろ! 俺が放火した事により死んだ奴らは皆んな一酸化炭素中毒で亡くなったって聞いたぞ。
俺も一酸化炭素中毒で殺せー!
熱いよー!
死ぬまでどれほどかかるんだよー!
ギャアァァァァァーー!!……」
焼却炉の中が見えるように耐熱ガラスで出来た窓の外側では、放火によって亡くなった人達の遺族の中で死刑囚の最後を見届けたいと希望した人たちが、死刑囚が焼却炉の中で火に炙られのた打ち回りながら死んでいく様子を眺めていた。




