第七話 古竜
俺は久しぶりに冥府に帰って来ていた。ミズキは家族との時間も大切だろうと思って家に帰している。
「やぁクレア、久しぶり」
「よぅ!久しぶりだなアモン!最近調子はどうだ?」
「うん、いい感じだよ」
「お前、零等級冒険者になったんだって?」
「うん、まぁただの通過点だけどね」
「まぁお前は終焉級すら凌駕する実力だもんな」
「まぁね、コツコツと頑張っていくよ」
「あ、そうだ!俺の眷属の一人に最近強くなったからって調子に乗ってる奴がいるからちょっかい出されるかもだぜ」
「そん時は殺すまでだよ」
「フッ…お前は心まですっかり悪魔だな、転生したての頃は正義感の強い人間だったのにな」
「正義感だけじゃ人は救えないからね、それに邪魔をする奴を殺して何が悪いのさ?」
「いや、別に悪かねぇよ」
「おい!そこの黒い奴!俺と勝負しろ!」
「噂をすれば…」
「いいよ!」
「フンッ威勢だけは良いようだな、外に出るぞ!」
「楽しみだね」
「他人事みたいに言うんじゃねぇよ」
「戦闘不能もしくはどちらかが死ぬまで終われねぇぜ」
「あぁそれでも構わないよ」
「では、始め!」
「ハァァァ!」
眷属の悪魔は拳に魔力を集め、アモンの顔目掛けて突き出すが、難なく避けられてしまう。
「ふむ、魔法を試してみるか」
終焉魔法〈終焉〉
そう唱えると太陽の様な白い炎がアモンの周りに複数浮かんでいた。
「な、なんだ?」
「覚悟してくださいね?」
「おいおい、冗談だ……」
その後眷属の悪魔は跡形もなく山と共に無惨に散っていった。
「相変わらずお前のオリジナル魔法はすげぇな」
「そうかな?まだまだ思うよ」
「これ以上強化してどうするんだよ…」
「ん?なんか言った?」
「いや、なんでもねぇよ」
「ふ〜ん、じゃあそろそろ戻るねまた今度」
「あぁまたな」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「どうだ?家族との時間は過ごせたか?」
「うん!とても楽しかったよ!」
「それはよかった、そろそろランクも上げたいですし依頼を受けに行きますか」
「ランクどこまで上げるつもりなの?」
「もちろん終焉級までだよ」
「えぇ!?」
「さぁ行こ!」
「えぇ…」
「古竜の討伐…これにしようか」
「うん、そうだね」
アモン達は古竜の住む竜の谷へと向かった。
「ここか、竜の谷は」
「そのようだね、やっぱり気配が物凄く強いね」
「そうかな、雑魚しかいないけど」
「ごめん、やっぱ聞かなかった事にして」
「え?なんで?」
「いいから!」
「は、はい」
「じゃあ行くよ!」
「おー!」
アモン達が入って数分後、そこには竜の死体が積み重なっていた。
「下位の竜しかいないじゃん、本当に古竜なんているのかな?」
「そりゃ下位の竜もいるけど、このほとんどが竜王種だからね?!」
「やっぱ下位じゃん」
「じゃあアモンが思う上位の竜は?」
「う〜ん、古竜は中位くらいか、上位となると龍神辺りとか?」
「いや、もうそれ上位どころか終焉級だから!?」
「まっそんな事はどうでもいいよ、早く古竜を倒しに行こう」
「そうだね、行こうか」
「我は古竜のグラデウスである」
「うん、それで?」
「え?何かもっと反応ないの?」
「わぁー(棒)」
「うん、めちゃくちゃ棒読み!」
「なんなんだこいつは…掴みどころがないな」
「そろそろ倒していいかな」
「フンッやってみるが良い」
軽めにジャンプして頬に殴りかかった。すると衝撃的な痛みだったらしく本気でブレスを放ってきた。
しかし、アモンが着ている服には物理無効、魔法無効、状態異常無効などがついている為無傷だ。焦っているのか近接戦に変えて来たので攻撃をかわしていく。
「少し期待はずれですね」
終焉魔法〈黒雷の滅光〉
威力を調整して丸焦げにする程度に収めた。
「こ、この我が敗れる…と…は…」
「さてと帰りますか」
「な、なななな!何?!今の魔法!見たこともないし凄い威力だったよ?!」
「オリジナル魔法です、今回は本来の威力の千分の一もつかってないよ」
「えぇ〜!!」