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黒幕はロボットアニメの必須要素

前回の3つのあらすじ

少女の覚悟、決意に動かされるテツガミサマ

焼ける村、悲しき光景に怒る少女

スーパーロボットの武装名を叫ぶのはお約束!


 その頃、人間が訪れない暗黒の地では、数多くある内の小さい規模ではあるが盗賊に協力させていた魔物の大軍が消し飛ばされた結果、頭を悩ませる人物と、そのことに関して詳しそうな人物が会話をしていた。


 「いけません、いけませんぞ、我が主、これは重大な損失です、魔界金貨で言えば100万以上の税が失われたことに等しい!特に、やっと併合し、文化を覚えた若い層のリザードマンが多く失われたことを考えれば胃も頭も痛みが酷いです、申し訳ありませんが会議中に胃薬を飲ませていただきます」


 その髭の生えた老いた人型の亀の様な男性はがぶがぶと粉薬を水で流し込み、苦しそうな表情がほんの少し戻った後、また手元の計算の為の道具をバシバシと動かしながら頭を掻き毟る。


「この程度のこと、これから起こる千年の揺り返しに比べれば何と言う事はない、むしろ、その為の情報があっけなく手に入って喜ぶくらいだぞトータルンスよ」


 千年の揺り返しと言う単語を喋って周囲が驚く中、巨大な角を持つ黒髪の人物は手元にある血のように紅いワインを揺らしながら、手元の程よくあぶられたチーズを付けたパンをつまみつつ楽しげな表情を浮かべる、


「お言葉ですが閣下、千年の揺り返しが来たのであれば看過出来る事態ではないです、今は我々が優勢でありますが光と闇の力が入れ替わる時が来たのではけっして油断できる情勢ではありません」


 獅子を思わせる人型をした女性は油断なき瞳を光らせながら先ほどの男性に失礼にならないようにしながらもしっかりと忠言を放ち、意思の強さと忠誠をその場に感じさせる


「んー?ふぅ、ふむ、しかし、レオネードお前のところの、そう何といったか……そうそうルサノムーノだったか、奴の提案で、道から外れ闇に魅入られた人間と組み、必要ないところを魔物を使わせてやった結果、本来、我々が本格的に動くまでは知れるはずのない千年の揺り返しの初動を知る事が出来たのだ、であるのなら、だ!我々のやり方次第では千年の揺り返しを繰り返さず、我々の代で終わらせることが可能かもしれん」


 他の者から主と慕われ敬われる男性は、ワインをゆっくりと楽しんで流し込みながらその言葉を自信を持って発し、周囲のモノを感嘆させ、その中の一人からは感涙にあふれて涙すら流すものもいた。


「このブラコーレンコ、その言葉に涙すら流しております、誠に閣下は慧眼でいらっしゃる……」


 丸々と太った蛇の様な道化の格好をした男性は背後にサーカスの入り口の様なおいでませ、四軍最弱の魔物のお宿へと書かれた看板を本人以上に目立たせ、おちゃらけながら涙を流し称賛する


「ふむ、もう進言するようなものはおらんようだな……では、いつも通り会議を締めるとしよう、全ては、闇の血族の勝利の為に!」


「「「全ては、闇の血族の勝利の為に!」」」


 見送った少女たちを待っていると、守りの館とやらに入った少女たちが大勢の人間を引き連れて笑顔で出てくる、おそらくは村に死人や重い怪我をした人間は居なかったのだろうが、それでも念のためとして俺は少女に聞こうと思ったところ、年老いた魔女のような恰好をした老婆が俺の前に出て膝をつくと同時に祈るような動作を行い、祈りが終わった後、俺に向かって口をこう開いた


「テツガミサマ、私はヴェルヘルミナと申します、この度は我が孫、ネーヤとヴィレナをお救い下さり、誠にありがとうございますじゃ、村一同で感謝を申し上げると共に、お救い頂いた対価をお聞きしとうございます。もし生贄を欲されるのでありましたら、何卒、我が孫たちの命を取らずこの老婆の命一つでお納めくだされ……」


 老婆の声に、俺はメッセージウィンドウを老婆の目の前に見える形で出現させたいと思って行動すれば可能であったらしく、大凡イメージ通りに老婆の目の前に半透明の画面が映った


『ワタシは生贄など欲さない、孫娘の姉の方からすでに対価は頂いている、ワタシはワタシの意思で戦いたいとは思わなかった、しかし、戦うのであれば、それに足る理由を孫娘の決断と覚悟を聞いて、納得すれば、そのようにしようと思った。結果としてお前の孫娘は、ワタシから言葉と心一つでワタシを動かしたのだ、誇ると良い、お前の孫娘は輝ける黄金の様な意思を持っているぞ』


 実際には、見捨てるのは夢見が悪かった、戦う理由が欲しかった、色々あったろうが、俺は結局、俺自身の意思では今の俺の力を振るおうとは思わなかった、その俺の心を動かしたのは確かに老婆の孫娘の言葉だったのだ、ついでに、あんな幼い子供の純真な姉が死ぬかもしれないという恐怖に震える瞳に心を揺れ動かされたのもあるかもしれないが。


 喋っていると、最近、無駄に口調が芝居掛かってきている気がする、ロボットになってからだから俺の心の中のスーパーロボットのイメージにでも引っ張られているのだろうか?気をつけてもどうなるものではなさそうだが覚えておこうとは思いつつも老婆に言葉を返すのだった。


「まことに、有り難いお言葉ですじゃ……心から、お救い頂いたこと感謝いただきますぞ」


『それはそうと、どっちがネーヤでどっちがヴィレナなのか教えていただけないだろうか?』


「これは失礼いたしました、姉がネーヤで妹がヴィレナでございます……」


 その言葉と共に姉と妹は頭を下げて出てきたが、妹の方は少ししたら俺に寄りかかっておっている膝の部分を両手で抱きかかえるように広げ触りながらこう言ってきた


「たすけてくれてありあとー、テツガミサマ!」


「こ、これ、テツガミサマにそのような扱い方を……」


『ワタシは気にしない、幼子の純真な例の振る舞いを無下にする程、酷い存在じゃないさ、どうしてもと言うなら本はあるか?ワタシはこの世界をよく知らなくてな、歴史や伝説、伝承が知りたい』


 歴史や伝説、伝承を知りたいのは、この世界に関して余りにも知らない俺がいたずらに知識などを振る舞う事で悪影響を及ぼさない為にこの世界に関しての知識や、認識が欲しかったからだ、帰って来た老婆の言葉は満点の考えの帰され方では無かったが、それでも嬉しい返事が返ってきたのを俺は喜んだ


「誠に申し訳ないのですが、本は高価なため、村には殆どありませんのじゃ、代わりに始まりの神話でしたらこの婆めが喋らせていただきとうございまする」


~最初に、無があった、創生の神は無に光の神ラステと闇の神コクアンを作りたもうた、作られた光と闇の神は兄弟であったが、ある時、この世界を欲しがった、お互いがこの世界の全てを欲しがり、争いを収められず、光と闇の破片が何度も飛び散り、この大地を、海を、空を作りたもうた、長く争いあった兄弟は疲れ果て、続きすぎた争いを収める為の方法を創生の神を頼り聞き出した、創生の神は言った、光と闇の創造物を作り上げ、お互いに創造物で勝負し、勝った方がこの世界を統べよ、とそして生まれたのが光の創造物である我ら人間と、闇の創造物である魔物なのだ、そして光と闇の神はお互いに千年に1度だけ、最高傑作を作りあげ、それを投じる、それこそが千年の揺り返しと呼ばれる現象なのだ~


「と、このように神話には記されておりますじゃ、恐らく、今まで動かなかったテツガミサマが今こうして動ているのは光の神ラステの力による賜物でしょう、千年の揺り返しに選ばれるほどの器とはなんと凄まじき力なのか……ありがたや、ありがたや……」


 なるほど、と、するなら、俺はラステとやらによってこの器に入れる候補として選ばれたことになるのか?またなんで、別の世界に居る俺なんかを選んだのか等、さらに疑問も涌いたが、この世界における創世神話的なものを聞けたのでおおむね収穫はあったと判断し、話を切り上げようとしたところヴィレナによって切り上げられてしまった


「おばーちゃ、おはなしながうておなかういたー」


『だ、そうだ、ワタシは聞きたいことは聞けたから、お孫さんに美味しい物でも食べさせてあげたらどうだい?それぐらいの時間は今はあるだろうから、また後で話を聞かせてほしい』


 そうして、ヴィレナの言葉で今日のところは全員、家に帰って休むこととなった、俺は老婆以外の村人からも敬われ祈られるのをむず痒く思いながらも、耐えて、夜空を眺め待つのだった。

「「なんなの?テツガミサマ~!」」


「テツガミサマの秘密解説コーナーの時間だよ!博士役のソフィアだよ!」


「今回のお題は私が、助手役のメリッサです、ドンッとな」


『たまに出てくるSYSTEM_MESSAGE:って?』


「解説しよう!テツガミサマには未知のプログラムが数えきれないくらい今のところ存在しているみたい!けど、その機能を知らせてくれる機能みたいだね!このメッセージ機能は機能が解放されたり、修復されると動いているみたいだね!」


「いわゆる中の人、という奴ですね、その中の人は割と現地人を消耗品扱いしているような酷い提案をしてますが」


「まぁ、仮に本当にAIが居たとしたら、圧倒的に強い自分が配慮する必要はないって感じなんじゃないかな!中の人の隣人、というか憑依した人の考え方で提案を変えたみたいだけど!」


「そんなに柔軟性があるのに酷い話ですね、いつか喋ったりするのでしょうか?あ、そろそろお時間の様です」


「「それじゃまた今度ー」」

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