武装名を叫ぶのはお約束
前回の3つのあらすじ
俺ロボット
盗賊に追われる少女に出会う
決断と覚悟を聞く
俺は、目の前?と言ってはおかしいが目の前の少女の決断を待っていた、仮に、先ほどの盗賊らしき3人を皆殺しにしたいと言われても、決断として帰ってきた言葉に納得すれば協力するつもりだった、少女は数回、深呼吸を繰り返すと、俺に向けてこういった
「私は……、妹を……いえ、叶うのであれば、家族を、友人を、村を今魔物と組んだ盗賊に襲われている状況から救いたいのです、敵を殺したいわけではありません、しかし、降りかかる火の粉を払えるだけの力が欲しいのです、私はその為の力が無い事は分かっています、テツガミサマならば、その力を持っていると思い我が身も差し出すつもりでした」
一息吐いて、少女は俺にこう告げた
「しかし、テツガミサマの言葉と妹の私が死ぬのは嫌だという言葉を聞いてこう思ったのです、命を差し出すよりは、私がテツガミサマと協力して、村を守った方が、後々にテツガミサマと村との関係が良い物になるかもしれないや、困窮する村を何とか出来るかもしれない、その方がテツガミサマの言い分では喜ぶんじゃないかと……」
その言葉を聞いて、俺は喜びの笑みをきっと生身であれば浮かべていたのだろうという心境になった、間違いなく彼女はロボットモノにおける主人公のような気持ちを今持っている、だとすればそれは、俺が正義のスーパーロボットとして彼女と共に戦えるのではないか、かつて子供の時に抱いた様な気持ちで夢の続きを見れるのではないかと期待で胸が溢れそうになっている
「だから、取引をしたいと思いますテツガミサマ、私があなたの力を振るうために力を貸してください、私は、私の居場所を守りたいのです」
『その目の前に映るボタンは[E.M.E.T.H]と言ってワタシの力をほんの少しだけ引き出すものらしい、ワタシは君の覚悟と決断確かに納得して受け取った、今から、ワタシの力は君の決断の為に振るおう』
そうして[E.M.E.T.H]と呼ばれるボタンを少女が押したとき、俺の体に見えていた錆びが崩壊し、美しい金属光沢を放つと共に俺自身の感覚では筋肉がお湯の中でほぐれていく感じと、朝の目覚めがすっきりとした状態で起きれ、なおかつ全身に力がみなぎっているようなそんな感覚を感じた。
[SYSTEM_MESSAGE:システムE.M.E.T.H起動確認、本体の状態が修復並びアップデートされました現段階での使用可能武装は拳部ロケットナックル、腕部フォトンブレード、指部メーザーカノン、眼部サーチアイレーザーです、使用不可能武装多数、基本操縦法と武装使用方法、使用時のイメージを現操縦者の脳内に送り込みます]
使用可能武装とやらを確認して俺は生身なら顔が引きつりつつドン引いているだろうなと思いながら、こんなトンデモ威力の兵装を見せられた少女は大丈夫か見ると、なんというか、平常な顔過ぎてあれ、俺にしかイメージ来てない?って疑問がわいたが、その理由は少女が口を開いたことで分かった
「テツガミサマ、本当にテツガミサマの言う通り、貴方様の力は凄い物なのですね……Bランクのリザードマンの見えないほどの大軍が吹き飛ぶ光景は初めて見ましたが、今はその凄さが頼もしいです」
少女にはリザードマンとやらの大軍が吹き飛ぶ光景が見え、俺には日本列島が半分吹き飛んでクレーターになっている姿が見えた、と言う事はその人物の認識できる範囲で凄さを伝えてくれるらしい。そんな親切設計は欲しくなかったと思いつつ、少女の妹も手からコックピット内に乗せ目的の村へと出発した。あ、ついでにイメージ映像でやっと今の俺の大きさが分かった、とんでもない大きさだった。200~300mくらいある、よくヒビとか入らなかったなこの世界の大地。
『これは……酷いな、ここから家族とか確認できるかい?』
おれは小人視点であればそれなりに広いであろう田舎の様な村のあちこちから火や煙、盗賊っぽい奴らや魔物っぽい奴らが出ているのを確認しながら少女へと問いかけた。
「おねえちゃ、いえがもえてう……」
妹の言葉に少女は燃え盛る自分の家であったであろうモノを見ながら唇を噛み締めて悔しそうな顔をしながら、決意にあふれる瞳を敵に向け、今からすべきことを心の内から決める為か叫んだ。
「分かります!まだ村の守りの館は破られていません!私の祖母が張った結界が張ってます!そこに皆居ます!けど盗賊は結界を破れませんけど魔物が!今は魔物を何とかしないと!」」
その少女の言葉に並行するように俺はレーダー機能で魔物のみをマルチロックオンしていた、後は少女が声と共に武装を発射するだけだった
「ホォオオミンッグ!メェエエエエザァアアアアアカノォオオオン!」
少女が叫ぶと同時に俺の知る世界では未だ見られないであろう10本の光の柱が天へと昇った後、幾重にも別れ、魔物だけを正確に、最小限の出力で撃ち抜いていく、撃ち抜いた後は赤熱化しガラス状になってはいるが、今確認できる魔物は全て跡形もなくなっていた。その異常事態に気付いたのか盗賊の指揮官と思わしき人間が盗賊たちに大声を張り上げて指示をしていた。
「野郎ども!此処は引くぞ!ヤス、それとノッポとデブだったか?テメェらはあのデカブツが動いたことを良く伝えてくれた、魔物連中には俺が伝えとくからさっさと撤収だ急げ!」
レーダーで確認できる範囲では、もう魔物はおらず、盗賊も村人の抵抗にあった動けないほどの怪我をしたと思われる人間以外は全て撤収したようだ、ひとまずはこれで終わりでいいんじゃないかと思って少女を確認すると顔を青くしていて慌てながらこう聞いた
『お、おい、大丈夫なのか?どこかに怪我や負担が?』
「い、いえ……少し、叫び過ぎて喉が……」
と聞いて、俺はすっかり安堵しそれと同時にそこまで無理をして武装を使った事に呆れもしたが、武装の操縦マニュアル的にある程度叫ばないと使用ロックが解除されないそうなので仕方ないかと思いつつ1度端っこに体を膝折の体勢で固定し、コックピットから少女たちが守りの館とやらに入っていくのを見送るのであった。
「「なんなの?テツガミサマ~!」」
「テツガミサマの秘密解説コーナーのお時間です、助手役のメリッサです」
「今回のお題は僕が!博士役のソフィアだよ!」
『今回使用した武器、指部メーザーカノンって?』
「やっと博士らしい解説が出来る時が来たね!その名の通り指部に装備しているメーザーカノンだけど、このメーザーはぶっちゃけレーザーと思っていいよ、200m~300mの指から発射するメーザーとかそのままだったら自動車もすっぽり入る太さだろうね!けどこのメーザー、中性子とかでもなくて何で出来てるか解析不能なんだってさ!地面が赤熱化したことから熱はあるから暗黒物質じゃないだろうけど、ひょっとしたら反物質とかかもね!」
「反物質のレーザー……ですか、それはとんでもない危険物ではないのですか?少しでも制御できない状態なら地球が一瞬で崩壊すると思われるのですが」
「あくまで解析不能なものを推測しただけだから実際は何で出来ているか分からないよ!だとしてもトンデモな武器なのは間違いないね!なんで曲げて分割できるのかも分かんないしね!今回は最低出力で分割したから地表が無事で済んだけど、下手したら村ごと消し飛んでいたかも!」
「考えるだに恐ろしい話ですね、お時間がやってまいりました」
「「それじゃまた今度ー」」