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1人目

「……寒いね」


寒空の下。


彼に手を引かれて、私は何処かへ向かっている。


何処なのかは分からない。


けれど、ここは寒くて、暗くて――――


「……綺麗」


「え?」


「綺麗な場所へいくよ」


「……そうなんだ」


「うん」




彼は、私の手を引く。




少しの間歩き続けると、進むべき道は途絶えてしまった。


丘と呼ぶべきだろうか。


高い高いその場所から、私達の生きていた世界が見える。




綺麗で醜い夜の光が私達を照らした。




「……綺麗、だね」


「綺麗だね」




冬の空気が冷たかった。


ずっと冷たくて、凍えるくらい冷たくて。




……なのに……。






「……寒いね」


「冬だから」


「そうだよね」


「そうだよ」


「……ここなら、いいかもね」


「そうでしょ」


「いい場所」


「いい場所だよ」





彼と繋いだ手は、ずっと温かかった。





だから私は、彼と死ぬことにした。

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