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きつねのきょんシリーズ

ほっとけえき

作者: きょんの飼い主

あまりにも山がない気がしますが(苦笑)

とりあえずキドニーパイ企画書き上げました(^ω^)

挿絵(By みてみん)


ぶにゃあ様 企画「キドニーパイ」投稿作品


みなさま、おひさしぶりでありまする。

きょんくんとにゃん丸くんのつづきにてございまする。


しばしのおつきあい、

どうかよろしくお願いもうしあげまする。



  −◇◇◇−


「にゃん丸くん、きょうは、白竜(ぱいろん)くんと竜神(サイファ)さまに、ほっとけえきをお出しして、おもてなしするのですよ」


絢葉(ねえ)さまにおそわった美味しいほっとけえきのやき方なので、大丈夫なのですよ」


「ねえさまの主人さまが(つく)ってくれた道具もあるのですよ」


「ふわふわの、すふれというけえきにしましょうか?

いつものねえさまのほっとけえきにしましょうか?」


「にゃん丸くん、ねえさまのけえきを作るのをてつだってくださりませ」


「…くん、…ませ」


「…なのですよ」


「…」

「…」


「……できたのですよ!!」



  −◆◆◆−


「きょんちゃん?」

きょんちゃんは疲れて寝てしまったみたいだ。


そっときょんちゃんをおぶって部屋に連れてゆく。

ほんとはね、横抱きに運びたいけど、

僕の身体は小さすぎてむりなんだ。


寝床に行き、きょんちゃんを背から下ろすと、

「にゃん丸くん、もう寝る時間なのですか?

一緒に寝てくださいませ」

きょんちゃんが、そんなふうにせがんでくる。


きょんちゃんはずるい。

そうやって無意識に僕の気持ちを乱すんだから。


「きょんちゃん、まだ片づけが途中なんだ。

戻ってもいいかな?」


そうすると寝ぼけた声で、

「そうなんでありますか?

仕方がないのです。夜更かしは…ダメ…なのです……」

そんなふうにつぶやきながら、寝てしまう。

きょんちゃんは本当にずるい。


もう一度たのめば、僕はきょんちゃんと一緒に寝たのに。



下に降りてゆくと、キッチンにはコーヒーを飲んでいる白竜(ぱいろん)にぃがいた。


「きょんは寝たか?」

「うん、…もうぐっすりだよ」


「そうか…。にゃん丸、お疲れさん」

漂うコーヒーの香り。


ぱいろんにぃは、少しだけ黙っていたけど、

急につぶやいて、少し微笑んだ。

「ホットケーキ、美味かったな。狐の姉ちゃんが、子供の頃によく作ってくれたんだよ。

「にゃん丸ときょんが二人して作ってくれたみたいに、

俺の母ちゃんと姉ちゃんとで、掛け合い漫才みたいに言い合いながらな」


ぱいろんにぃは少し笑いながら、

「懐かしかったよ。

きょんはあのホットケーキ、ちゃんと作れるようになったんだな」


「ぱいろんにぃは、きょんちゃんの相方のねえさまって知ってたの?」

僕はそんな風に聞いてみた。


白竜にぃは苦笑いをしてコーヒーを一口。

「ああ、俺のもうひとりの母親だからな。

「あいつ、母ちゃんがふらって居なくなった時、狐の姉ちゃんが世話してくれたんだ。

「母ちゃんは家事は苦手…、いや出来るけどあんまりやりたがらないから、

姉ちゃんといると、母親みたいに世話してくれる姉ちゃんに任せっきりでな。

母ちゃんがぐうたらな父親みたいだったよ(笑)」

白竜にぃは、普段見せないような穏やかな顔で、思い出を語ってくれた。


「にぃ、サイファ様は?」


「今は散歩だ。

どこかで世界(ここ)を見ているんだろう」

にぃは憂いを含んだ表情をみせる。


そして、にぃに頭をなでられる。

「…きょんを頼むな。

にゃん丸、俺はまたやつのお守りだ(笑)」


「うん」

ひさしぶりの、にぃの優しい手だった。


少しにぃと出会った頃の気持ちを思い出した。



  −◇◆◇−


「…にゃん丸くん、行ってしまったのですよ」

寂しそうな顔のきょんちゃんが、僕に無意識に手を伸ばしてくる。


その手をそっと握ってあげる。

「きょんちゃん、ぱいろんにぃはまた来るよ」


僕がそう言うと、きょんちゃんは微笑んで頷いた。

きょんちゃんの手が少し熱くなる。

僕はその手を、しっかりと受けとめる。


手を繋ぎながら、にいが去っていった方角、バベルの方を眺める。


狂った街バビロン。

にぃは大丈夫なのだろうか。

少しだけ、自分を産み、棄てた街をおもう。



  −◇◇◇−


そうして世界の竜神と、その使用人、白竜くんは、じゃっくのまちへ帰っていったのでございまする。


また二人となった宇宙(そら)の港はわたくしたちだけの世界となりもうした。


そして港には、いつものように、朝日がのぼるのでございまする。



きょんとにゃん丸の日常のおはなし、これにて閉幕にございまする。

それではみなさま、しばしのお別れにてございまする。

どうか元気でおすごしくださりませ。




 −すみません、ホットケーキは出したけど、山も落ちもなしですね(¨;)−

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― 新着の感想 ―
[一言] 可愛いわ、ホットケーキ焼きたくなりましたよー おかしい何故に私はあーなるのです。同じ野外で焼いてるというのに(  ̄▽ ̄)、あれ?
[良い点] 荒廃した世界の片隅でホットケーキを焼く話 いいですねぇ この先、現実世界もこんな……場所が残るといいんですが なんていろいろ考えながら読ませてもらいました [一言] ホッコリしました、あ…
2019/04/25 13:43 退会済み
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