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わたしの永遠の故郷をさがして 第4部 『番外編』 第9話


************  ************


 『第1王女様』は、北島において、世俗的な面で、まず、絶対的な権力を事実、握っていたのです。


 それは、『国王さま』の権力の、代理人としての力を含めての事ではありますけれど。


 『国王』は、けっして人前に出ることはなく、すべてのご意向もご指示も、『第1王女様』を通して伝えられます。


 事実上、『第1王女様』は、『国王』のすべての力を体現しているのでした。


 『教母さま』は、実際に、そのお姿をお現しになって、様々なことをお伝えになることが可能ですが、『第1の巫女様』が、常に補佐することになっており、そのご意向はけっして無視できません。


 なぜならば、『第1の巫女様』のお言葉は、神の言葉だからです。


 なので、宗教上の権威も、実際のところは『第1の巫女様』=『第1王女様』が握っておられたのです。


 ところが、『第1王女様』は、非常に世俗的な方でもありました。


 だから、こうして直に村にやって来ては、かつてなかった計画を伝えているのです。


 間もなく王国の学校は、第2期の長期休暇期に入ります。


 日本合衆国も、夏休みになります。


「かの国の夏は、非常に暑いのです。みなさん。」


 『第1王女様』はおっしゃいました。


「我が国をもしのぐほどの暑さと、深い湿気に覆われるのです。」


 それから、こうも付け加えました。

 

「まあ、みなさんには、むしろ過ごしやすいでしょう。」



   ************   ************


『第1王女様』は、選ばれた子供の名前を発表しました。 


「カスミさん! ミナミさん! 」


「おお~~!」


 どっと歓声が上がりました。


「それから、ブアルさん」


「ひぇ~~~~~~!! ブアルだって~~~~?!」


「今回は、この試みの、言ってみれば、お試しでもあります。上手く行けば、来年からは、正式な『交流』行事としたいと思っています。可能であれば、日本からも交換游学生を受け入れたく思っております。現在水面下で日本政府とは協議中で、まあ、相手は乗り気はありますが、まだ細かいところが詰まりません。実は『南島』の方では、そうした行事はすでに行われて来ました。みなさんは、不思議に思うかもしれませんが、日本の子供たちにとっては、『北島』は、謎の・・・あるいは、『おとぎの国』なのですわ。まあ、そうした側面が、非常に長い期間に渡って、事実あったことは、否めません。あたくしたちは、そこを少しずつ変化させてゆく考えでおります。日本合衆国とは、長い交流があり、また、わたくしたち二人の『故郷』でもあります。大人からではなく、対応力の大きな、子供たちから無理なく新しい世界を築いて行くのです。ぜひ、ご協力くださいな。」


「おわ~~~~~!!!」


 住民からは、大きな声があがりました。


 もっとも、北島では、こうすることが、だいたい当たり前だったのです。



  **********   **********



 それから、出発までの短い期間は、この3人にとっては、恐ろしいほど、忙しい時間となりました。


 みな、日本語は、大体話すことが出来ます。


 ただし、『漢字』は非常に難しく、ミナナ以外の二人は、まだうまく理解が出来ませんでした。


 ミナナは、非常に感が鋭く、漢字もよく覚えることができたのです。


 生活の仕方や、挨拶の仕方、日本合衆国の子供たちの生活について、お金のこと、地下鉄のこと、お約束事・・・・いろいろと学ぶべきことはあったのですが、まあ、実地にやってみる以上のお勉強はありません。


 アッと言う間に、出発の時がやってきたのです。

 

 王女様たちは、実際、信じられないくらいの忙しさで、分単位のスケジュールをこなしておりました。


 出発の時は、『第2王女様』が王国に滞在していました。


 『第1王女様』は、すでに日本合衆国の『ご自宅』に、帰国していらっしゃいます。


 『第3王女様』は、お仕事として『南島』にはしょっちゅう出入りしますが、まず国外に出ることは稀です。


 今回は、なんと、その『第3王女様』がご同行すると言う事が、急遽決まりました。


 『第3王女様』は、実は日本合衆国生まれですが、その記憶はお持ちではありません。


 日本の兄弟姉妹たちの事は、もちろんご存知ではありますが、実際にお会いになった事は、ただ1回しかありませんでした。


 今回は、『第3王女様』の強い御希望で、急に決まったのでした。


 ただし、公式訪問ではなく、『里帰り』の為の、非公式訪問とされました。


 日本のご先祖様の墓参りなども行う予定と、されました。


 もちろん、裏側に、政治的な意図があったことも、間違いはないのですが。



   ************   ************



 いよいよ、出発の日がやってきました。


 村人は、総出で見送りをしました。


 3人を乗せた『電気バス』は、『王宮』に向かいます。


 そこで、『第2王女様=第2の巫女様』から、出発の祝福を受けることに、なっていたのです。


 この先、3人は、様々な当たり前な、また不可思議な、また、大変悲劇的な経験を、することになったのでした。




  ***************  ✈ ***************             

  





















 



 








 

 

 




 

 







 





 

 



 

 







 





 

 





 

 




 










 







 






 

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