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わたしの永遠の故郷をさがして 第4部 『番外編』 第2話


 ***********   ************



 『第2王女様』は、いつのまにか黒のサングラスを胸元から取り出して、お顔に掛けておりました。


 高校一年生としては、タルレジャ王国人としても、すでにかなり成熟した大きなお体ですが、それは、いやがおうにも目立ちます。


 また、そのお姿が、あまりにも美しいものですから、崖を駆け下りてくる姿は、巨大な宝石が猛烈な勢いで迫ってくる感じさえありました。


「あああ、! あれ、ナリアじゃないか?」


 一人の男の子が叫びました。


 村一番のガキ大将、ブアルです。


 体はやや小さいが、瞬発力が並ではない、しかも、かなりの美男子でした。


「ぎょわ~。たしかに、ナリアだ。」


 少しおてんば屋さん風の『カスミ』が答えました。


 なかなか運動神経の良い女子で、『タルレジャ教会立王国北島第二初等学校中等部』の最上級生です。


「うん、そうよね。3か月ぶりかなあ。」


 同級生で、ややおっとりした『ミナナ』が応じました。


「お~い。ナリア~!」


 ナリアと呼ばれた第2王女様は、手を高く振りながら、少しだけ盛り上がったマウンドに到着したのです。


「久しぶり、ナリア。あいかわらずのサングラス?」


 ミナナが先に言いました。


 カスミが首を振って、しかと同意していました。


「うん。まあね。『第1王女様』のご意向だから。」


「王宮勤めって、大変ねぇ、細かいところまで決まっていて、今日は休暇?」


「うん、まあね。半分はお仕事よ。あちこちの状況を見てまわって、『第1王女様』に報告するの。『第3王女様』のことも、あるかなあ・・・」


「それって、スパイみたいなものか?」


 ブアルは『スパイ』というものがどういうものかは、あまり知らなかったのですが、使ってみたい言葉ではあったのです。


「ちがうわ。『スパイ』じゃない。『偵察』でもない。まあ、『視察』ね。」


「よくわからん。」


「ははは。それにしても、あんた、さっきのへっぴりごしはなによ。あれじゃあ、球は取れないわ。よし!1000本ノッ~ク! ほら、あたしが打つから、守備しなさい。ひとり五本ずつね。そのあとで、紅白戦やろう。よっしゃ、いくよ~~~!」


 さすがは、その正体は、本当の『王女様』ですから、相手に有無は言わせないのです。


 『第2王女様』は、全体に耳を澄ませて、子供たちの名前を、すらすらと憶えて行きました。


「よいしょっと。」


 第2王女さまは、背中のあたりから、バットと真新しいボールを取り出しました。


 いったい、どこに隠していたのでしょうか?


 ミナナとカスミが顔を見合わせましたが、特に何かを言う子はいませんでした。


 『ナリア』は、不思議な女子であることは、みな分かっていましたから。


 ここんところ、時々現れては、いっしょに遊んで行くのです。


 半年くらい前から『野球というスポーツがあるから、やってみない?』と、言い出したのです。


 ときに、しかし、実のところ、なんでこんなことが可能なのかについては、『第2王女様』ご自身が、よくわかっては、いなかったのです。


 『第1王女様』から、『・・・こうしたことが出来るからね!』と言われてはいたのですが、その科学的理由は、まだこの時点では示されていませんでした。


 彼女は、先ほど『アニー要請、バットとボール。』と、つぶやいただけでした。


『まったく、お姉さまは、何考えたんだろう。道具も用意してあげなかったんだ、信じがたいわ。そうでしょう?』


 すると、手の中に、バットとボールが届いたというわけなのです。


 『アニー』という言葉の意味するところも、不明でした。


 しかし、『第1王女様』は、『火星の女王様』の魔力を受け継ぐ、唯一の存在であることだけは、幼少時から・・・というより、お母様から生まれ出る前から、すでに知らされてはいたのです。


 『第1王女様』は、『第2王女様』とうりふたつなのだけれど、その持っている権限や能力は、けた外れのモノだったのでした。



 それでも、『第2王女様』の運動能力は、これまた、人間としては、超人的なものだったことも、事実だったのです。


 裸足の『第2王女様』は、ノックを開始いたしました。


 ものすごいボールが、次々に、飛んでゆきました。


 もちろん、『第2王女様』は、相当に手加減してはいるのですが、子供たちは、ひ~は~と喘ぎながら、必死に球を追いかけたのです。もちろん、グローブはありませんでした。


 ただし、送られてきた球も、硬球ではなくて、小さめの、かなり柔らかい、ふかふかのボールでした。


 体に当たっても、けがはしません。 


「うぎゃあ~~~~。きつい~~! ナリア~、きつすぎる~!!」


 それでも、カスミが文句を言いました。


「あら、そうかしら。わかった、じゃあ、このくらいね!」



 球は、ますます早くなりました。



  ************   ************




















 













 ************  ************



 「第2王女様って、けっこうきついのよね~~~~~。」


 お饅頭を頬張りながら、幸子さんが言います。


 「いつも、お嬢様お嬢様しているくせに、いざとなると、強烈な事を言うんだから。」


 「まあ、そうですねぇ。そこが、道子さんのいいところですよ。」


 「大体、どっちが先に、やましんさんのお腹で、生まれてたのですかあ~~~?」


 「お腹じゃないですよ。頭の中ですよ。まあ、実のところ、そりゃあ、弘子さんと弘君が最初に生まれたのです。やましんが、小学校4年生くらいの時です。当時、道子さんは、まだいませんでした。なんか、前にも言ったような気もするけれどな。」


「ふわ~~~~! そうなんだあ。で、それまた、いつごろ?」


「さあて、中学生くらいじゃなかったかなあ、なんとなく、そのほうが面白そうだし、本人も、そう言うしなあ。」


「え、女王様が?」


「まあ、幸子さんの言う女王さまは、弘子さんだからね。そうですよ。彼女、なかなか、注文が多くてね。今もそうだけど。」


「うんうん。わかるわかる。」


 幸子さんは、次のお饅頭に行きました。


 右手は、お酒ぱっくを、もちろん、握っております。


「年末はどうするのですか?」


「まあ、なんとなあく、雰囲気、忙しいのです。」


「ふうん・・・・・・・むしょく暇なしですね・・・」


「・・・・・・・はい。」




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