#9 不機嫌な仲間
「超‼ 何か、本当みたいな話しで、こんなに感動したのはぁ~~まりなも初めて~~」
感動を口にする彼女に、どこか違和感を感じたけど。
俺は無視を決め込んだ。そんな直感なんか、俺にはどうだっていいし。聞く真似も、言われる真似なんかもされたくないし。面倒事は、ご免被るんだ。
だから、俺が今、彼女に言えばいいのは。当たり障りのない謝礼だ。
「そうですか? ありがとうございます」
「それで? それで?? 誰を紹介されたの?!」
食い迫るように、俺へと言い迫って来る彼女の目が怖い。どこか、深い闇が感じられたからだ。
漆黒、そのものをだ。
決して、踏み込んではいけない――キレイな泥沼だと感じた。
◆◇
フムクロが俺に呼んでまで紹介したのは、地球で言えば。狼か、チーターか、ピューマか。
明らかな肉食系男子だった。
「どうして。お耳が長いの?」
「音を逃さない様にする為じゃないのか?」
「どうして、お口が大きいの?」
「? 飯を食う為なんじゃねぇの?」
「どうして、お目々があんなに大きいの?」
「はぁ? 個性だろう?? お前、おかしいぞぉ? フジタぁ」
「個性じゃあねぇよ?! これは肉食だしょう!? 何?? 俺を食わせる気なのか?? あんた、散々と父親面なんかしておいて、っさぁ‼」
思わず、俺は赤ずきんちゃん的。立ち位置を感じてしまった。
しかも、彼の家も藁のような、おとぎ話の家だってこともあって。
ビビってしまったってのもあって、泣いてしまったのはしょうがないじゃないか。
裏切られたって、一瞬、思っちまったんだからさぁ。
ぎゃんぎゃん、喚いてしまった俺に、彼も長い髪を掻いてしまっていた。
どうしたものかとばかりに、フムクロを見ていた。
「悪ィなぁ。ダンマルよぉ。こいつってば、人見知りが酷くてなぁ」
バンバン! と俺の腰を叩くフムクロに、俺は痛かったが、やり返すのを我慢をした。
仕返しはいつだって出来たからな。
「……いや。私なんかに会いに来るのは、君くらいだ。どうせ、私は嫌われ者だよ。っは、はは……ははは……――はぁ~~」
「暗っっっっ‼」
それが、ダンマルとの出会いだった。
当時の彼は、俺なんかよりも小さかったが、どの種族よりも強く、同時に、滅びゆく種族と比喩されていた。理由は、伝染病だ。街から隔離されたかのような地区に、藁の家があった。
そこに俺はフムクロに連れて行かれたんだ。
全く、その事実を聞かされずに着ていたことを知ったのは、かなり、あとになってからだった。
怒りを通り越して、あっそうなの? と言った日。
ダンマルが啼いた。
身体を震わせて、大声で吠えるかのように。
「こっちの息子は。フジタっ言ってな。見て分かるように、異界人だ! だから、お前に戦闘能力を上げて欲しいんだ! 頼むよっ。ダンマル!」
俺の頭を掴むと、下げさせたフムクロ。
「いいけど。条件があるよ、いいかな?」
◇◆
「仲間にしますか? しませんか? ってテロップが見えちゃった♡」
手を組んで、宙に顔を上げる彼女の夢心地の表情に。
俺も、小さく笑ってしまう。確かに、ドラクエとかFFとか、冒険ゲームのあれなテロップが、俺だって、浮かんださ。やっぱ、どの人もそれが浮かぶものなんだな。
「それで? それで、どうなったの?? ダンマルちゃん!」
「『仲間になった』ですよ」