乱世を終える少女4
(劉備達は安喜に配置され、県尉として真面目に国境警備と民生の安定に取り組んだ)
(この日は、各地の政務を見回る督郵が安喜県に来る日・・・)
う~~~う~~~~
ひ・ま・だ!
張飛、少しは大人しくして。
でも本当に暇なんだもん!
県尉ってこんなにつまらない仕事だとは思わなかった。
はは、暇だってことはこの県の人々が平和に暮らせているってことじゃないか。
督郵様がもう少しでくるよ。みんな緊張しないの?
ふん、督郵ごときが来ても何も緊張することはないよ。
いや、督郵は群守の代わりに各地を巡察しているんだから、偉い人でしょ。
雲長、飛ちゃん、今回の巡察は甘く見ちゃだめだ。
目的は、私たちのような軍功によって地方官に任命された者が本当にその職に見合っているのかチェックすることだ。
つまり、督郵様の一言で、私たちはクビになるかもしれないということだ。
よし、じゃあ私と一緒に督郵様を迎えに行こう。
安喜県尉の劉備でございます。
ふん、お前が広宗の戦いの英雄の劉備か?
滅相もございません、手前どもは確かに広宗の戦いに参加させていただきました。
こちらは手前の義兄弟の・・・
紹介は不要だ。私は小役人の名前など興味はない。
・・・
・・・
さあさあ、中へどうぞ。
必要ない、とても忙しいのだ。
お前も私が今回ここに来た目的は分かっているだろう、時間を無駄にする必要はない。
え・・・手前は愚かなものでして分かりません。教えていただけませんか?
聞いたところによると、お前は広宗に一番乗りしたらしいな。あそこには黄巾賊の財宝がかなりあったが、お前はかなり奪ったのではないか?
どうだ、少し私に見せてくれないか?
これは・・・督郵様、手前は財宝など見ておりません。
何・・・? 実はあの名声は嘘だったのだな。
・・・!!
何か不満か?なら私の部下と勝負するか?
やるならやってやる!誰を恐れるか。
・・・
もういい、皆やめろ。
督郵様、これは引き分けでしょう?
へへ、らくちーん。
今のは無しだ、もう一度!
なぜこのようなことを・・・
くそ!このごくつぶしともめ。
劉備、今に見ていろよ!
私が安喜県を徹底的に調べれば、お前の弱みをつかむこともできるんだぞ!
どうぞお構いなく。
劉様!劉様!
何があった?
まずいです。督郵様が村人を全員捕えてしまいました。
慌てるな、どうした?
督郵様は皆に連名で劉備様を偽りの内容で告発する手紙を書かせようとしています。
みないつも劉備様からはとても良くしていただいているのに、どうして書くことができましょう。
督郵様が皆を縛り上げたので、私はまずいと思ってこっそり抜け出てきました。
そんなことをしているのか!
村の皆を助けてください!
安心して、私たちに任せてくれ。
一緒に行こう。
(この安喜県尉の仕事もこれまでだな。)
手紙を書かないというのか!この身の程しらず!
思い切り打て!
止めろ!!
くそ、劉備、お前なんで来た?
すぐにその人を放せ!
この私を脅すのか?捕まえろ!
ふん、身の程を知らないやつ。
縛り上げろ。
お前逆らうつもりか?
お前が村人を叩いた鞭をお前にも味あわせてやる!
(パン!!)
あー!
これは公然と賄賂を要求した分。
(パン!!パン!!パン!!)
あいてー!
これは人々を虐めた分だ。
(パン!!パン!!パン!!)
うわー!許してください!
これは同僚を無実の罪で陥れた分だ。
(パン!!パン!!パン!!)
助けて下さい!おみそれしました。もうしません!
この犬殺してしまおう、逃がしたところで必ずいろんな問題を起こすよ。
英雄様、助けてください!わたくしめにも老いた母と子供がいます、絶対問題を起こすことはしません。
兄さん、情けは無用だよね?
・・・行こう!
安喜を離れよう。
オッケー。
・・・
(何を間違ったのか・・・)
おかしいな、雲長は?
え?前にいるじゃない。
関羽姉さんは物を忘れたんだ、戻ってくるよ。
ん?
あはは、関羽姉さんがまだこんなに忘れっぽいとは思ってなかった。
・・・
わお、本当に涼しい夜だ、道を急ぐのにピッタリ!
教えてくれ、雲長はどこに行ったんだ?
え・・・
いいや、大体わかっている。
兄さん、待って~
何が起こったの?
雲長!
・・・
何をしているんだ?
見てのとおり、ここで督郵を待ち伏せしている。
何でそんなことを?
話があるなら話そうよ~
兄上はなんで督郵を逃がしたんだ。彼は絶対兄上を逃がさないよ。
彼を殺すのは簡単だが、そのあとは?多くの兵士がいるのにどうする?
督郵の部下にはいい人間はいない。全員殺せばいい。
彼らは過ちを犯したとは言え、その罪は殺すほどのことではない。そのように殺しては忍びない・・・
だからってそのまま立ち去るの?
・・・
督郵を逃がしたら、奴は必ず戻ってあることないこと話すよ。
そうしたら、兄上は、朝廷の役人を襲撃した罪を着せられる。
これからは官職がないだけではなく、指名手配の逃亡者にさせられてしまう。
・・・
兄上がもしこの乱世の人を救いたいのなら、ここで立ち止まるわけにはいかない。
兄上が忍びないと思うなら、私が手を下すまで。
(!!!!)
すまない・・・
私の間違いだ、私が優柔不断だった。
私がやろう。
兄貴、気にすることないぜ。一緒にやろう~
うんうん!
ありがとう・・・雲長。
うん・・・
いそげいそげ、追いかけろ、奴らを遠くまで逃がすなよ!
騎兵隊はまだ来ないか?
ああ、本当に痛い。この恨みを晴らさなければ君子じゃない!
どうやって恨みを晴らすって?
劉備!?お、お前、何をするつもりだ??
督郵様こそ何をするつもりですか?
あいつらを早く止めろ!増援はもうすぐ来るぞ!
こ、殺さないでくれ!
督郵様、私に質問があります。
殺すな、全部話すから。
私たちの間にはそもそもなんの恨みもなかったはずです。私にこのような仕打ちをしたのは、ただ賄賂を断ったという理由だけですか?
全て中常侍の張譲様が仕組んだことだ、お前を必ず排除するように私に命令したんだ。
上の命令には逆らえない。私を許してくれ。
そういうことか、安心して死ぬといい。
わお、本当に涼しい夜だ、道を急ぐのにピッタリ!
劉備兄さん、私たちはこれからどこに行くの?
北平に行って、昔の学友、公孫讃の元に身を寄せようと思う。
どう思う?
公孫讃兄さん?いいね。
おお、悪くない!
私も問題ない。
北平か、涿県を通っていってもいい?
うん、私も涿県に戻って見てみようと思っている。
いいね、しゅっぱーつ~~
お~い、戻ったぞ~
飛姉さん、本当にはしゃいでる。
今回涿県を離れてあまり日がたっていないけど、こんなに多くのことがあった後だから感慨深いな。
うん、そうだね。
劉備兄さん、私村に帰ってみたい。
うん、みな好きなようにするといい。私は劉焉様に挨拶しに行こう。
じゃあ私は桃園を見に行くね。雲長姉さんはどうするつもり?
私は涿県に知っている人がいないから、簡雍と一緒に行くよ。
いいね、しばらく戻っていないから、一人で行くのは少し怖いし。
おお、黄巾の乱の英雄が返ってきたか~
劉焉様、いきなり笑わせないでくださいよ
そんなに謙虚になるな。姉さんは本当にお前を誇りに思っているぞ。
広宗長社の戦いでのお前の英雄的な活躍は天下に響き渡っているからな。
涿県の人々は盧植殿とお前を黄巾の乱を平定した英雄だと思っているよ。
州では、まだ盧植殿が最初に塾を開講た場所に彼女の像があるよ。
盧植先生はもう名誉回復されましたか?
お、まだ知らないのか?
新しく左車騎将軍になった皇甫嵩と、右車騎将軍の朱儁が連名で黄巾の乱での一番の手柄を盧植殿に譲り、今お前の先生はすでに尚書の官職に復帰しているぞ。
盧植先生・・・それは本当によかった。
朝廷に少し安泰が訪れたようですね。
う、それはなんというか・・・
そうだ、安喜にいないでここに来ているのは、姉さんに会いたかったからか~?
それを話すと長くなります・・・
そういうことだったのか。
うーん・・・実は朝廷の中は平穏な状態ではない。
それはどういうことですか?
皇帝のご病体がよろしくなく、既に長い間政治から離れている・・・
それは・・・
皇甫嵩達は名ばかりの高い地位についているだけで、実際の権力が張譲達宦官の手に落ちてしまったのを手をこまねいてみているだけだ・・・
しかし張譲達は権力掌握の機会をうかがっているものの、直接重臣を動かそうとまではしない。
出来ることは、まず皇甫嵩達を地方に飛ばし、軍隊の中で息のかかったものが手を下すことだ。
今回はお前にあったことの背景は大体こういうことだ。
・・・
お前はこれからどうするつもりだ?
しばらく北平に行き、学友の公孫讃のところに身を寄せるつもりです。
うん、それはいい考えだな。
安喜のことは心配しなくていい、姉さんがちゃんと処理しておくから。
最近はどこにも「黄巾の残党」が出没するから、督郵殿に何かがあってもおかしいことじゃないよな~
ありがとうございます。
本当に、まだ私に遠慮しているんだな。
劉備、必ず中央から離れた場所で発展することを目指してくれ。
突然そんなこと言われましても・・・
私は先日、陛下を訪れて「廃史立牧」を提案してきた。
「廃史立牧」?
そうだ、忠誠度が高く、有能な一族の重臣を各地に派遣して州牧とし、
地方官員を監察する刺史の代わりに,地方において真の実権をもつ統治者とするのだ。
それは・・・
陛下はすでにこの案に同意された。そのうちに公布施行されるだろう。
私の本当の意図が分かるか?
皇帝に忠実な幹部の力を朝廷から離れた場所におく・・・何か事件が起きるのを事前に防ぐ策ですか?
劉焉様の意図は、朝廷にまだ何か異変が起きるということですか?
さすが私の見込んだ人物だけある。
現在の朝廷はまだ最悪な時を迎えていない・・・
最悪な時・・・?!
そうだ。陛下に残されたお時間は長くない。
・・・
一旦陛下が崩御されると、権力は更に宦官や外戚の手中に落ちることになる。
どういう結果だとしても、洛陽には必ず血の雨が降ることになるだろう。
私の目的の一つは、本当に信頼が出来る者がこの混乱の中で死んでしまうことを防ぐことだ。
もう一つの目的は中央の権力を地方に分散させ、彼らに実力を蓄える機会を与えることだ。
一旦ことが起きれば、都に戻って皇帝を助けるか、朝廷を再建する・・・
張譲達はこれを阻止しようとしていないのですか?
そうだ。彼らは政敵が中央から離れれることを待ち望んでいる。これは彼らが望んでいることでもある。
それに、彼らは中央さえ掌握しておけば、あとは何でもできると盲目的に考えている。
・・・そういうことですか。確かにそれは有効な策かもしれません。
劉焉様、直言をお許し下さい。この策は目前の危機を解決できるかもしれませんが、このような改変は、一つ間違えれば諸侯が割拠し、100年の戦乱を招くことにもなりかねません。
うむ。私もそれを考えていないわけではない、景帝年間の七国の乱はその教訓といえる。
しかし、私は他によりよい考えが思いつかないのだ・・・
・・・
今できることは、できる限り、本当に信頼ができ能力がある者を推挙することだ。
私はすでに何人かの人選を検討した、そして私も交州牧になるつもりだ。
劉備、お前は若く能力もあり、そして漢室の親戚だ。
郡守としても州牧としても理想的な人選だが、ただ足りないのは実績と機会だ。
必ず私の話を覚えておいて、そしてもし機会が訪れたら、必ずそれをものにしてくれ。
多くの地方が信頼できる人によって統治されていれば、戦乱の危険は容易にコントロールできる。
できる限り努力して・・・
私は先に陛下に替わって礼を言うぞ。
あ~眠い。今後はもしかすると美容睡眠の時間さえないかもしれない。
お前は北平に行き、私は交州に南下する。また会う機会があるか分からないな・・・
お互いに自重しような、私の弟よ。
・・・姉さんこそお体にお気をつけて。
うむ、嬉しいぞ!
私は漢室の存続の為に体には気を付けるよ。
(漢室の存続の為か・・・)
わお、前に見えるのは漁陽だ。
うん、時間はまだ早い、漁陽には入らず先を急ごう・・・ん?!
この揺れ、前から騎兵隊が来た。
わわ!すごい殺気だ。
(烏桓?)
みんな気をつけろ!
何も言わずに攻撃してきた、ひどいな。
これは異民族の軍隊か?着物が私たちと違うぞ。
私はしっているよ、あれは烏桓の衣服だよ。
おお、さすが!
劉備兄さんと一緒に8年間もの間遊学したもんね~
烏桓は現在遼東を根拠としている、我ら大漢の辺境を脅かす勢力の一つだ。
烏桓はいつも村を略奪しているとは言え、こんなに深く侵入してくることは珍しい・・・
これは普通じゃないな。先を急ごう。
しっかり片付けろ!
烏桓はいつも侵略してくるのか?
そうだ、数日おきに村や隊商等を襲いにやってくる。
この問題を根本的に解決しようとはしないのか?
へへ、いつも来てくれた方がいいじゃないか。そうすれば私はいつも軍功を挙げることが出来る。
見ろ、私はわずかに数年で今の地位までに昇進できた。
お前の能力をもってすればすぐに俺を超えることが出来るぞ。
・・・
民衆も守れないで、昇進することに何の意味があるんだ?
本当に、お前の考え方は陳腐だな。
この世の中ではお前が何をしたいとしても、まずは人に抜きんでることが最も大切なんだ。
地位が高くなって初めて、できることが多くなる。
お前のように安喜で県尉をしていて、人々を守れるか?何かを変えることが出来るか?
兄弟、お前にはその才能と理想にふさわしい舞台が必要だ。
他のことは、まずはおいておけ。
・・・
話を元に戻すと、烏桓の問題はそんなに簡単に根治できるものじゃない。
彼らは風のようにやってきて風のように去る。ハエみたいに叩こうと思っても叩けない。
私できることは、彼らが大規模行動を起こすのを阻止することだけだ。
そういえば、前に漁陽も烏桓の部隊の略奪にあったぞ。
う、漁陽か・・・烏桓は何か考えているようだ。
お前たちは一度横になって休むといい。
安心しろ、全部私がやっておくから。
兄弟が来た?!
讃、久しぶり。
兄弟!!本当にお前だ!
涿県で別れてから何年ぶりだな、会いたかったぞ!
本当に久しぶり、まだ昨日のことのように思えるよ。
はは、何も変わっていないな。
讃は結構変わったな。威風堂々として颯爽としたさま、道で会ってもお前だと分からないよ。
はははは、また冗談を。
讃、こいつは誰だかわかるか?
讃兄さん~
おお、簡雍じゃないか、何もかわっていないな。
ひどい、明らかに大人っぽくなったでしょ。
こいつらも紹介するよ。この二人は私の義妹だ。
私は関羽雲長です。
あたしは張飛翼徳、飛ちゃんと読んでね。
おお、二人とも一目ですごい英雄だとわかるな。
ははは、またまた。
行こう!中に入ってから話そう。
そういうことだったのか、黄巾の乱の後、どうしてお前の消息聞かなくなったかと思ったよ。
しかしここに来たからには安心してくれ。
嘘じゃなく、この北平は本当にいい場所だ。
どうして?
軍功が転がっている!
将軍!城外に烏桓の略奪部隊が現れました。
見ろ!いったそばからすぐ来た。
行くぞ!軍功を挙げるぞ、烏桓から挨拶に来たのだ、兄弟、お前も遠慮はいらないぞ。
寒い~
わお、辺り一面やわらかい雪だ。
この雪原での戦闘はきっとあまりなじみがないだろう。
雪の上での移動は難しい、暴風雪があれば、継続的なダメージを受ける。
だから速戦速決をするか、もしくは回復し続けることに注意することが必要だ。
兄弟、丁度いいタイミングに来た。大事件が起きた。
中山太守の張純と、泰山太守の張挙が烏桓の首領・丘力居と組んで反乱の兵を挙げた。
反乱の主力は遼東に集結している。烏桓は南下して渤海や平原等を侵略するつもりだ。
黄巾の乱が終わったばかりで、朝廷には乱の鎮圧に出兵する余力はないかもしれない・・・
うん、これこそ我々兄弟が大功を挙げる機会じゃないか。
将軍!反乱軍の大部隊がこの城に迫っています。
ふん、北平を落とそうということか。
行くぞ!あいつらに我々兄弟のすごさを見せてやろう!
侵入してきた烏桓兵はみんな片づけました、将軍万歳!
はは、烏桓のやつらもこの北平に誰がいるのか聞いていなかったみたいだな!
(数日後)
朝廷の詔書が来た。我々の軍で張純の反乱軍主力を討伐せよとのことだ。
遅くなってはいけない、私は本隊を率いて東に進み、張純の主力と決戦を狙う。
お前は一部隊を率いて南下し、烏桓人に侵略された渤海・平原等の地を取り返してくれ。
よし、任せてくれ。烏桓の暴虐を黙ってみている訳にはいかない。
これはまたとない機会だ。うまくいったら必ずお前の功を上に報告するよ。
ありがとう。
はは、兄弟の間に遠慮は不要だ!
前に見えるのが平原県城だ。
この道はそこら中に烏桓兵がいる、本当に煩わしいな。
平原を取れば、烏桓兵は拠点を失って遼東に退却せざるをえないよ。
おお、やっと奥までたどり着いた。
みんなもうひと頑張りだ。
(劉備達は順調に平原を取り戻した。この時公孫讃も張純の主力を撃滅していた)
(今回の乱の平定の成功は、北方の一大強豪としての公孫讃の名を遼東に轟かせた。)
(劉備は平原の県令に任命され、ついに自分の地盤に落ち着くことが出来た)
(しかし、これは束の間の平穏に過ぎなかった・・・)
(西暦189年、漢の霊帝が崩御し、大将軍の何進と中常侍の張譲との激しい対立が起きた。)
(何進は宦官に暗殺され、兵を率いてやってきた董卓はこの機会に洛陽を支配下におさめた・・・)
劉備兄さん、曹操様が人を送って手紙を届けに来たよ。
私に見せてくれ。
二封ある。一つ目は詔書、二つ目は劉備兄さんあての私信。
見せてくれ。
(董卓は天地を欺き、国を滅ぼし、君を殺し、禁制を破り、人々に残虐を行い暴虐の限り、その罪は重い!)
(ここに天子の密詔を送る。義兵を集め、華夏を掃除し、群凶を討伐すべし。)
(義軍を起こし、ともに天下の怒りを晴らすべし。王室を助け、民を助けるべし。檄文を読んだ後、可能な限り速やかに行動を起こすべし!)
ついに董卓を討伐か・・・
もう一つの方の手紙にはなんて書いてあるの?
(劉備、ぼおっとしてないで、すぐに手伝え!)
(追記:詔書は私が偽造したものだが、気にするな。)
はは、我々の曹操殿は本当に率直だな。
みんな準備するぞ。
おお!もう行くのか?
讃も詔書を受け取るだろう、その時に一緒に行こう。
(数日後、公孫讃は兵を率いて南下し、劉備の兵と合流、酸枣の本陣に進軍した。)
兄弟、今回諸侯連合で董卓を討伐することについて、どう思う?
兵力では優勢だ。もし諸侯が心から協力すればの話だが。
心から協力か・・・
北方の情勢もまだ穏やかとは言えないからな、あまり長くならないといいが。
うふふふ~ 可憐な子羊ちゃ~ん。
誰だ!出てこい!
あ・・・待ち伏せと言わなかった?・・・
うふふふ~ この可憐な子羊ちゃんたち見つけちゃったら、我慢することができな~い。
今回は私にやらせて。次回はあなたがやっていいから。
分かったよ・・・
こんなところになぜ伏兵が・・・?
西涼兵の衣服?董卓が送ってきた刺客か!
うふふふ~ 可憐な子羊ちゃ~ん
あなたたちの魂と肉体を捧げなさい。姉さんがかわいがってあ・げ・る~?
こいつらはやわじゃない、みんな気をつけろ!
うん~うん、あ~~~~~~
子羊ちゃんたち、もっと激しく~~~~
私の番よ~~~
いいね。
あ・・・揉みつぶしたい・・・
怖い・・・
・・・
うふふふ~~子羊ちゃんたち本当にやるわね~
残念だけど今日はもう時間がないわ、またお姉さんと遊びましょうね~
逃げるか、くらえ!
うふふふ~~本当に危ない子羊ね~
ば~い、また会いましょ~う。
逃げられた、あの変態二人、本当に強いや。
びっくりした・・・
ふん、次は逃がさないぞ。
あいつらは誰だ?
董卓の手下の猛将呂布と華雄は見たことがある。あの二人はもしかすると李傕と郭汜じゃないか?
(董卓の部下か・・・)
ついに酸枣につきそうだ。この道中楽じゃなかったな。
まだ安心するのは早いかもしれないぞ。
お・・・前方にいるのは我々を迎えに来た軍隊じゃないか?
お前は北平の太守公孫讃だろう。
いかにも、美しい将軍、あなたのお名前をうかがえますか?
私は徐栄です、董卓太師の命により、ここであなたの命を頂きます。
えい、また董卓の刺客か。
また・・・?
話しても仕方ない、準備してください!
わお、一騎打ちで雲長姉さんと互角!
ふう・・・
董卓の手下にこんな猛将がいるとは・・・
お前たちは誰だ?
私は平原の劉備。
劉備・・・?広宗の戦いの英雄か。
そういうことか。少し油断していたようだ。
それならば、この徐栄の全力の一撃を受ける準備をしてください。
くそ、まだこんな余力があるとは。
みんな持ちこたえろ、ここは酸枣から遠くない、すぐに援軍が来るだろう。
曹操も来たか・・・ここは撤退しかないか。
あなた達英雄と戦えて、この徐栄本当に光栄です。
それでは、また今度決着をつけましょう。
劉備、最近見なかったな。
またお前に助けられた、かたじけない。
徐栄というあのすごい武将、聞いたこともなかった、本当に自分は物を知らないな。
徐栄か・・・
実は私も徐栄という者がいることを知っているだけだ。
彼は董卓直属の西涼軍ではなく、董卓の命を受けた漢将だ。
董卓配下で最も名声の高いのは当然天下第一の名を持つ呂布だ。
そしてその次が勇猛で知られる西涼軍都督の華雄だ。
しかし見たところ、あの徐栄の能力は華雄よりも劣るということはない。
あんなにすごいのに名が知られていないなんて・・・
新たに帰順した漢将だから、隅に置かれているのじゃないか?
うん・・・
さあ、紹介するよ、私の学友の公孫讃だ。
遼東を震撼させた公孫将軍ですね。お名前は伺っております。
この方が曹操だ。
おお、あなたが曹操か。
どうりで劉備があなたのことをいつも話している訳だ。へへ。
私は前は劉備と同じ部屋で住んでいたから、こいつのことは誰よりも知っているから。
何か知りたいことがあったら何でも私に聞いてくれ。寝言までも聞いてんだから。
讃、このやろう・・・
はは、本当に仲がいいみたいだね。
私は先に酸枣の本営に行っているから、あなた達はゆっくりと話すといい。
お邪魔はしないよ、へへ。
面白い学友がいるね。
はは・・・
しばらくぶりだけど最近どうだ?
私は大丈夫だが、お前の方は色々起きたみたいだな。
そうだ、いろんなことが起きた・・・(眉をしかめる)
先帝が亡くなられて、皇甫将軍、盧植様の努力の結果は一瞬で水の泡となってしまった。
宦官を倒す為に、何進大将軍を投入したが、結果何進は董卓を都に呼び寄せてしまった。
お前は董卓の危険性をわざわざ警告してくれたが、私には止めることが出来なかった・・・
これは自分を責めるなよ、できる限りのことはやったんだ・・・
でも、洛陽がついにこの世の地獄になってしまった・・・
私は董卓の暗殺を試みたが、成功しなかった。
ああ、本当にお前のやり方だな。
ふん、それは馬鹿にしているのか。
はは、違うよ。
そして陳留に逃げた後、一族の力を総動員して義兵を起こした。
それからのことはお前も知っているだろう。詔書を偽造し、天下諸侯に董卓討伐の為の出兵を呼び掛けた。
多分みんな偽造だとは分かっているだろう。
しかしそれは関係ない、諸侯はただ口実と、先に言い出す者が欲しいだけだ。
だから、私が先に言い出したのだ。
なんにせよ、董卓の暴虐を見逃すわけにはいかない!
私を手伝ってくれるだろ?
だからここに来ている。
ありがとう・・・
そうだ、私もお前たちに紹介したい人がいる。
元譲!
よ!
元譲、この人が前に話したことのある劉備だ。
お~これがいつも孟徳がいつも話している劉備か~
うん・・・見たところいい男じゃない!
はは・・・
こいつは私の幼馴染の夏侯惇、字は元譲だ。
夏侯家と我々曹家は数百年来の代々付き合ってきていで、親密な仲だ。
元譲は私にとって姉さんと同じ、ずっと面倒を見てもらっていて、今回の起兵もそうだ。
劉備、うちの孟徳がいつも迷惑をかけているけどよろしくね。
はは・・・そうだ、雲長、翼徳!
兄上。
兄貴!
この二人は私の義妹の関羽、張飛だ。
みんなよろしくね。
この二人とも万人力の武勇の持ち主だ。
うん、見ればわかる。
みんな味方でよかった~
こちらこそ。
はははは!
(こいつ・・・ただものじゃない。)
(酸枣の本営での同盟結成の場、各諸侯が次々と到着する)
孟徳、お前来るの本当に早いな。
本初、今回は公開で詔書に答えてくれてありがとう。そうでなければ、多くの諸侯は見ているだけだっただろう。
本初、今後この盟主になることを辞退しないでくれ。
皆あの奸賊董卓を討伐する為にきた。孟徳、遠慮する必要はないぞ。
劉備、紹介するよ。
こちらの肩は渤海太守の袁紹、私とは昔からの友人だ。
袁家は代々高官を出している名家だ。全国に多くの官吏を輩出してきている。
今回諸侯がすんなり集まったのも、全てこの袁家の若い当主の支持があったからこそだ。
名前は伺っています。私は平原令の劉備です。
劉備は長社・広宗で私と一緒に黄巾を討伐した、当世の英雄と言われるおとこだ。
今回彼にも来てもらって、手を貸してもらうことにした。
孟徳が推薦する人物ならば、問題ないだろう。
劉備殿、堅苦しくしなくても大丈夫ですよ。
今回妹は来るのか?
袁術か、ああ、来るよ。
曹操、誰を待っているのか?早く出兵しよう!
・・・
この二人は済北相の鮑信と陳留太守の張邈、最初に応じてくれた諸侯だ。
ははは、鮑様はいつも焦りますな。
孔殿も来ましたか、今回兵を挙げて助けていただきありがとうございます。
はは、書生は役に立たないとは言いますが、今回賑やかにする為に来ました。
こちらは当代きっての大儒学者、北海相の孔融殿、孔子から19代目の子孫だ。
こちらはおそらく平原令の劉備殿ですか?
そのとおり劉備です。初めまして孔融様。
劉様の武勇伝は孔融もよく聞いております。
平原は北海から遠くありませんから、お時間があれば是非いらっしゃってください。はは。
陶様、お会いになりたいとおっしゃっていた劉備殿はこちらですよ。
あなたが劉備殿か?
そうです。あなた様は?
徐州刺史の陶謙です。
刺史様、初めまして。
挨拶は不要です、劉焉様はあなたのことを絶賛していましたよ。
(劉焉様・・・)
後将軍南陽太守の袁術様、烏程侯長沙太守孫権が来られました。
人はそろったか?
江東の孫堅おくれて、皆を待たせたな。
孫堅殿。
陽翟で分かれてから、まさかここでお二人と会うとは。感慨深いな。
孫堅、この人は誰だ?
平原令の劉備です。初めまして袁術様。
平原令?聞き間違えか?
今日は諸侯が同盟結成に集まる日ではないのか?県令ごときがなぜ混ざっているのだ?
私が来てもらったのだ。
ふん、本当に不愉快だな。
・・・
皆さま、今日はここで董卓討伐の同盟を結成するにあたり、全体を掌握する盟主が当然必要だと思います。
私は袁紹を盟主に推挙したいと思います。皆さん如何でしょうか?
どういうことだ?
袁紹、私と盟主の地位を争わないといわなかったか?
ああ、争っていないよ。
みんな適切だと思っている人を推薦するだけだ。
ふん、私をだましたな。
もし他に意見がある人がいなければ、袁紹に盟主となってもらいましょう。
異議なし、誰が盟主になろうともどうでもいい。
時間の無駄はやめて、早く出兵しよう。
(各方面の諸侯も異議なしと述べる)
そういうことであれば、私も時間を無駄にはしまい。
袁術、お前には兵糧の調達を任せる。
この私にそんな小さいことをさせるの?
兵糧調達は総督の後方の重要な仕事だ、公路、お前に任せてこそ皆安心できるというものだ。
ふん、そういうならばやりますよ。
曹操、官渡に前線基地を作ってくれないか?
分かりました。
董卓の西涼軍は非常に勇猛だ、それに配下には多くの猛将もいる。
虎牢関と汜水営はそれぞれ双角をなしている、油断できない。
各位はくれぐれも慎重に行動してください。連合軍で討伐するという大事をくれぐれも乱さないように。
(前線基地設立してから、袁紹は遅々として前進の命令を出さなかった・・・)
聞くところによると孫堅将軍は陽翟を迂回して大谷関を奇襲しにいったとか?
そうだ、行く前に袁術と喧嘩をした。
大谷関は洛陽の南大門だ、もしそこを落とせば虎牢関を避けて直接洛陽に進攻できる。
仮にそこで敵と対峙することになっても、董卓に兵を割かせることが出来る、きっと孫将軍はそう考えているんじゃ・・・
問題あると思うか?
大谷関の地形は険しい。もし力のある武将がここに待ち伏せしていたらまずいことになるだろう。
孫将軍は少し軽率だ。なにも問題が起きなければいいが。
くそ、袁紹が動かないから、各諸侯は少し焦っている。
本初のやつがこういう風に考えるとは思わなかった。こんなに勝手にやらせるなら彼女を盟主にして何の意味があるか!
兄上、陣地の近くに敵軍が少し現れたよ。
よし、四の五の言わずやるか。
曹操様。
この人は?
こいつは夏侯淵、字は妙才。姉の夏侯惇と同じく私の幼馴染だ。
淵、何が起きた?
済北相の鮑信が単独で兵を率いて汜水営を攻撃しにいって、華雄にやられて包囲されています。
!!!
また我慢できないものが出てきた。
淵、元譲に伝えろ。洪、仁、兵を集めろ。
劉備、私たちは袁紹に会いに行こう。
兵を送って鮑信を救援してくれ!
鮑信は命令を無視して手柄を立てようと勝手に進軍した。なぜ助ける必要があるのか?
本初、お前は仲間が死にそうなのを見て助けないのか?
各諸侯はまだ準備が整っていない、私は盟主として全体に責任を持たなくてはならない。
ふん! 劉備、行くぞ!
分かった。
曹操様、五千の子弟兵は全てここにいるよ。
孟徳、汜水営に駐屯している兵は数万、我々は五千人しかいない。
分かっている、しかし見捨てるわけにはいかない。
みな、何かいい案はないか?
子弟兵は士気が高く、訓練を積んでいる。血戦となれば華雄に負けるかどうかは分からない!
この馬鹿、いきなり虎の子の元手を使い果たすわけにはいかないだろう。
姉さんはお金のことばかり!これは戦争だよ!
お馬鹿さん、この子弟兵は曹家の根幹、ここで使い果たしてしまったら曹操様はどうやってこの乱世を平定するのだ?
う、う・・・
はは、玄徳殿に何か考えがあるか聞いてみよう。
うん・・・勝算がないわけではない。
華雄の目標は汜水営を守ることだ、そして我々の目標は鮑信を助けること、これが一つ目。
二つ目に華雄が直面しているのは十数万の連合軍、たった数千人で助けに来るとは思っていないだろうということ。
そういうことか、分かった。
つまり華雄に大軍が汜水営を攻めに来たと思わせるということだな。
元譲、お前と私で三千人を率いて突入し、鮑信を助けに行くぞ。
問題ない、孟徳。
洪と仁は千人を率いて、外で旗を振り声を挙げて、大軍がいるように見せかけてくれ。
任せてくれ!姉さん、ぼーっとしないでよ。
お安い御用だ、問題ないよ。
淵、お前は千人を率いて汜水関を奇襲するように見せかけてくれ。
分かった。
劉備、このような手筈でどうか?
いいだと思う、なんの問題もない。
雲長、飛ちゃん、私たちは曹操と一緒に突入する、初戦では必ず華雄の鼻をくじいてやるぞ。
はは、さすが孟徳が見込んだ男だけのことがある。
・・・
なに?汜水営で火が起きただと?
お前たち図ったな、退け!
こいつが西涼軍で呂布に次ぐ名将か。
雲長姉さん、どう思う?
徐栄に及ばない、もしかすると平原で遭遇したあの二人にも及ばない。
へへ、じゃあ関羽姉さんと比べたら?
ふん、一撃で倒せる相手だろう。
はは、関将軍の気合はすごいな。
・・・
我々も撤退するか。
曹操様、助けてもらった恩は忘れません。
今後もしこの鮑信が役に立つことがあれば、命にかけてやらせてください!
鮑様恐れ入ります。もう行くのですか?
兄弟たちはほとんどみなやられてしまった。まだここに残っていればあの袁紹のやつに笑われる。
ではさらば、また会おう!
・・・
諸侯が一人いなくなった・・・
うん、私は孫堅将軍が心配だ。
そうだ。大谷関はここから少し距離がある、何か起こってから言ったのでは間に合わない。
行って見に行ってみよう。
(彼らが陽翟に向かう時、伏兵に会って撤退してきた孫堅軍に出会った)
面目ない、もともと大谷関を奇襲しようと思ったのだが、逆に伏兵にあうとは思わなかった。
大谷関を死守するのではなく関を出て待ち伏せするなんて、柔軟で大胆な策略だな。
董卓配下には本当にいい人材がいるな。
面目ない、相手の顔も見ないまま負けてしまった。
孫堅様、董卓軍が追撃してきました。
孫将軍、まずは退いて部隊を立て直してください。ここは我々にお任せを。
孫堅がどうして一人で撤退することが出来るだろうか。曹様の好意ありがたい。
程普、お前は部隊を立て直してくれ、私はこの二人とともに董卓軍と一戦交える。
はい・・・分かりました。
攻撃止め!
徐栄!
徐栄だったのか。
またお二人に会いましたね、今回も孫堅部隊殲滅という命令を完遂出来なそうです。
徐栄、あなたは大漢の将軍で、董卓の私兵ではないでしょう。
どうしてあなたの計略・武功を董卓のような奴の為に使う必要があるのですか?
私は大漢の軍人です。陛下は太師の一切の指示に従うように私におっしゃりました。
それだけです。
陛下の指示だって?陛下はまだ10歳だぞ!
徐将軍も董卓の野心と人物がどういうものか分かっているでしょう、どうして奴の悪事を助けるのですか?
悪事を助けるか・・・もしかして間違っていないかもしれないですね。
しかし軍人には自分の判断は不要、必要なのはしっかりと命令を実行することだけです。
もしその命令が明らかに人々に災難をもたらすと分かっていたとしても?
軍人がそれぞれ自分の判断で実力行使をしていたら、それこそ天下に災難をもたらすでしょう。
当にあなた達のような独りよがりな諸侯が戦乱をもたらしているように。
・・・
止めましょう。
徐栄が受けた命令は大谷関を死守すること。
私がいる限り、一兵たりとも通しません。
全軍山谷に引け!
二人とも、もし勇気があれば追撃してくるといいでしょう。
孟徳、追わなくていいのか?
前の山谷は険しい。追撃しても無駄だ。
劉備、どう思う?
うん、我々の軍勢では正面から大谷関を落とすには足りない、危険を冒してまで追う必要はない。
よし、じゃあそうしよう。
みな、官渡の営地に戻ろう。
分かった。
徐栄・・・
彼女を説得できなくて残念だ。
本当だ。もしこの将が私に使えてくれたらどれほどいいだろうか・・・
(袁紹はついに、華雄が守る汜水営への攻撃の命令を下した・・・)
報告です!潘鳳将軍も華雄に斬られました!
あ、ありえない・・・
潘将軍は、我が冀州の大黒柱だ・・・こんなことが・・・
韓様、このたびはご愁傷様です。
我が配下の顔良・文醜がいないのは残念だ。そうでなければ華雄をのさばらせないのに。
ふん、ただ華雄一人のみじゃないですか。
この人は?
私の義妹の関羽、字は雲長です。
雲長は万人力の武勇を持っている、私は雲長に華雄との戦いに出るよう推薦するよ。
は?曹操、冗談を言っているのか?
県令の手下の一兵卒を死にに行かせるのか?なんと恥ずかしい!
もし華雄を斬れなければ、私はこの首で挨拶に来ましょう。
孟徳がそれほど推薦するならば、彼女にやらせてみよう。
ふん、勝手にしろ。お前が盟主なんだから。
誰か、熱酒を一杯、関将軍を送る為にもってこい。
必要ありません、行ってきます。
(少しの後)
報告です!関将軍がただの一撃であの華雄を斬りました。
・・・
ふん・・・
はは、雲長はやはり有言実行だな。
皆さん、この勢いにのって汜水営を落としましょう。
(汜水営を落とした後、諸侯連合軍は虎牢関に向かって進軍を開始した。)
(しかし、連合軍は無敵の名を持つ呂布と対峙することになる・・・)
この虎牢関はやはり名前通りね。こんなに多くの人がこんなに長い間攻撃しても進展がない。
うん、諸侯連合軍が多いといってもこの地形では展開できないし、ただ順番に攻撃し続けるしかない。
うん、それに呂布と西涼鉄騎がたまに出てきて突撃してくるし。
呂布は本当に怖いね。誰もが鬼みたいだと言う。
まだ出会っていないのが残念だ。
出会う必要はないよ・・・
へへ、雲長姉さんは華雄を斬ってもまだ満足していないみたい。
ふん・・・
おしゃべりは終わり、私たちの番だ。
わお、敵が多すぎ、ここは守り切れない。
友軍はもう撤退を始めた。我々も行こう。
残念、今回城壁の上まで行けたのに。
ん?下の友軍はなんで乱れているんだ?
!!!
呂布・・・
どんな状況だ?
呂布が単騎で突撃して多くの諸侯の部隊を蹴散らし、十数人の武将を斬り殺した。
単騎で?
うん、彼一人だけ!
恐ろしい・・・
来た!
やーーー!
鬼、鬼、これは鬼だ!うぇーん・・・
わお、本当に恐ろしい!
雲長、飛ちゃん、行こう。呂布にここを突破されてはいけない!
この時を首を長くしていてまっていた。
へへ、雲長姉さんの興奮した声も震えているよ。
ふん・・・
邪魔・する・者・には・死を!
鬼だ、本当に強い!
私たちも負けない!
・・・
お前ら、一、戦、するか!
気をつけろ、また来るぞ!
う!!!
ああああ!!!
あ、何か痛そうな様子。
逃げるのか?
うん、何が起きたのか分からない。
危なかった~
世の中にこんな強い人がいるとは知らなかった。
あれは人ではない、ただの戦いの心しかない鬼だ・・・
(呂布の単騎突撃は連合軍に重傷を与え、各諸侯の自信を失わせた。)
(この後、連合軍は後退し、しばらく攻城の手を緩めた。双方にらみ合いの状況に陥った・・・)
この山道はやはり人目につかないところにあるな。地元の猟師が教えてくれなければ本当に見つけられなかった。
いけ!のぼって行ってみてみろ。
孟徳、お前は本当に物好きだな。
あの諸侯たちは呂布に驚かされてから、城を攻める度胸を無くしてしまった。
暇といえば暇だし、山に登って虎牢関を見下ろしてみるのもいいだろう。
だからといって俺を連れて行かなくてもいいだろ。
山の上に猛獣がいるかもしれないじゃないか?
何だ!それとも何か文句ある?
ないです、ないです。
しっ・・・
どうした?
お前が言ったこと通りになったよ、猛獣がいる。気をつけろ。
呂布を撃退した劉備様がいるのに、何も恐れることはないだろう。
・・・
やっと山頂についた、見晴らしはやっぱりいいな。
そうでしょ!それにこの山風も気持ちいい~
下の虎牢関も見てみると大して大きくないね。
ん・・・?
本当に来たのは無駄じゃなかったようだ・・・
虎牢関の陣地が空になってる!?
うん、ほとんどが空だ。
もぬけの殻だ。西涼軍の主力はすでに虎牢関から退却している。
くそ、きっと呂布の突撃は連合軍を怖がらせる為だったんだ。
しかし、西涼軍はなぜこの虎牢関の防御線を放棄したのだろうか・・・
きっと洛陽に異変があったに違いない。
洛陽は守りに弱い。虎牢関を放棄するということは、洛陽を放棄するということだ。
まずい!董卓のやつ無傷で帝都を明け渡すつもりはないぞ!
董卓のやつ何をしようというんだ!洛陽には数十万の人々がすんでいるんだぞ!
くそ!すぐに虎牢関を落とさなくては!
うん。
や~我々が城壁一番乗り!
やはり主力がいないとかなり楽だな。
敵が反撃にきた!
みなしっかり守れ!後ろの曹操軍の為に時間を稼ぐんだ。
(夜の帳が降りる頃、連合軍はついに虎牢関を攻め落とした。)
(しかし、その時、西の空は胸騒ぎを起こすような赤色に染まっていた・・・)
董卓のやつ、なんと洛陽に火をつけて燃やしてしまった・・・
数十万の人々が・・・
くそ!大部隊を待てない。
孫将軍、私たちと先に一緒に洛陽に来ていただけませんか。
曹様、遠慮は不要だ。これは吾輩に責任があることですから。
ありがとうございます。
逆賊董卓ーー!絶対許さん!
(洛陽城内は辺り一面が火の海になっており、放火・殺人・略奪の声と、泣き叫ぶ声がそこら中に響く・・・)
・・・
ああ・・・・
逆賊董卓ーー!絶対許さん!
まずこのけだもの達を殺すぞ!
状況はどうだ?
董卓は陛下と朝廷の大臣を連れて西の函谷関の方向に向かった。
長安に行くつもりのようだな。
逆賊董卓にこれ以上天下を乱させるにはいかない。
二人は洛陽に残って民衆を助けてくれ、私は大部隊と合流して董卓を追撃する。
洛陽は私に任せてくれ。
董卓が準備をしていないわけがない。十分に注意して行動することが必要だぞ。
董卓のやつを逃がさんぞ!
孟徳・・・
劉様、では我々は手分けして行動しよう。
私は来たの皇宮の方に向かう、ここは任せた。
分かった。
怖がらなくて大丈夫です。劉備様は救援に来たんですよ。
皆さんこっちに来てください。
前の火の中にまだ民衆が何人か取り残されています。
よし、行こう。
恐れ知らずのやつらが火災救援をしているな。
郭汜、あまりちょっかいを出すな。我々の任務は完成した。
怖ければ先に行けばいい、私は彼らと遊ぶわ。
お前たちは西涼軍の李傕と郭汜か?
私たちの名前を知ってるのか、いずれにせよ死ね。
(李傕と郭汜・・・?)
(平原でのあの二人の刺客、李傕と郭汜でないとしたら、一体誰だったのか・・・?)
ちっ、どこからこんなに強い奴が出てきたんだ。
撤収だ。
ふん、次は覚えてろよ!
劉備兄さん、助けられたのはこれだけです。
ああ・・・・
兄貴、私たちはできる限りのことはしたよ。
董卓はこんな人でなしのことをしてたら、必ず天罰が下るよ!
(曹操と連合軍大部隊は董卓に追いついただろうか・・・)
よお、みんなお疲れ~
袁紹?
なぜここに?
董卓を追撃したのではないですか?
二回も連続で戦ったらみんな疲れるからな。
それにこの深夜は追撃しにくい、伏兵がいるかもしれない。
・・・
では曹操は?
えっと・・・
曹操は!
ふん、孟徳は私のいうことを聞かず、手勢を率いて追撃していったよ・・・
(孟徳・・・)
え?劉備兄さん、どこに行くの?
・・・
そこら中戦死者でいっぱいだ・・・
服の色を見るに皆曹操の部下だ、ここで伏兵にあったみたい。
遅かったか・・・
待て待て、前の林の中でまばらに戦っている音が聞こえる。
曹操と夏侯惇だ。
行くぞ!
玄徳殿か?
孟徳!
・・・
孟徳?
・・・みんな・・・死んだ・・・・・
みんな・・・死んでしまった・・・・
淵・・・洪・・・仁・・・みんな・・・死んでしまった・・・・
孟徳・・・
玄徳様、来てくれてありがとう。
何が起きたんだ?
袁紹が何度言っても出兵を拒んだので、孟徳は待ちきれずに私たちを連れて独自に董卓を追撃した。
そうしたら思いがけずここで伏兵にあって・・・
五千の子弟兵がほとんどここでやられてしまった・・・
淵たちは孟徳を守る為に残ってしんがりを務めたが、生死不明だ・・・
孟徳は状況を受け入れることが出来ず、こんな風になってしまった・・・
孟徳・・・
夏侯将軍、あなたはここで孟徳を見ていてくれ、私は人を連れて他の人を探しに行く。
玄徳殿、この夏侯惇、本当に感謝する。
夏侯淵か?
・・・
お前を助けにきたよ。
・・・
姉さんと孟徳は無事だ、後ろの方で休んでいる。
・・・
・・・ありがとう。
(変な娘だな・・・)
や~玄徳様じゃないか。
今回は死ぬかと思った、危なかった~
孟徳を見た?
孟徳と夏侯姉妹は後ろの方にいるよ。
良かった~ありがとう玄徳様~
遠慮はいらないよ。先に行ってるといい。私は曹仁将軍を探しに行く。
私も一緒に行く!
あのバカな妹が心配だから。
分かった。
あそこで誰か戦っている!
曹仁将軍!
お前たちを・・・先に行かせん!
お前たちに曹操様を傷つけさせない!
お前たちに姉さんを傷つけさせない!
曹仁はここだ!かかって来い!!
曹仁将軍!
(錯乱しているのか・・・)
お、馬鹿な妹よ・・・
仁、姉さんだよ。
姉さん・・本当に姉さん!
お馬鹿な妹・・・
姉さん、ううう・・・
敵が来たぞ!
誰も生きていないみたい・・・
こっちも。
うん、ここに長いするのはよくないな、戻って曹操達と合流しよう。
曹操様!!
孟徳、元譲、淵。
よお
孟徳、誰が来たか分かるか!
洪、仁・・・
お前たち・・・
私は・・・
うう・・・うわわわ・・・
私たちも近くに行ってみよう。
曹操様に付き添わなくて大丈夫?
彼女たちはもう少しで死ぬところだったんだ、色々話すこともあるだろう。
へへ、兄さんは本当によく気持ちをわかっている!
・・・
玄徳殿、今回は本当にあなた達に助けられた。
今後はどうするつもりだ?
孟徳はまだ体調が良くないし、子弟兵もいなくなってしまった、先に陳留に戻ってから考える。
この辺りは治安も悪い、送っていこうか?
まさににそのことをを話そうと思って・・・
玄徳様、本当に恩に着る。
じゃあ早くいこう。
将軍、このように彼らを逃がすのですか?
うん、退くぞ。
こ・・・これは罪に問われませんか?
私に与えられた命令は連合軍の追撃を阻止することだ、確かに任務は遂行した。
はい。
(劉備と曹操・・・)
(今回私がしたことが間違いじゃないといいな・・・)
曹操がこんなにやられてしまうなんて思いもしなかった・・・
袁紹はどうやら董卓討伐に関心がないようだ。諸侯連盟もあまり意味がなくなったかもしれない。
董卓を残していた方が袁紹にとってはむしろ都合がいいのかもしれない。
あいつの野心は大きい、讃、今後注意が必要だぞ。
安心しろ、分かっている。
これからどうするつもりだ?
先に曹操を陳留に送る、少ししたら平原に戻るつもりだ。
それはいい、じゃあ私も北平に引き上げる。また今度会おう!
うん、気を付けて。
(劉備達はついに曹操の根拠地陳留に戻った)
玄徳殿、今回は本当にお世話になった。
遠慮は不要だ。
はは、そうか。
玄徳殿、陳留に何日か滞在するといい、孟徳は回復したらあなたに会いたいと思うだろうから。
分かった。もし私が手伝えることがあったら何でも言ってくれ。
ありがとう、玄徳殿。
玄徳殿、時間はあるか?
何か手伝えることがあるのか?
正直なところ、お金がなくなった。
部隊の再建、見舞金、城壁の修繕、色々お金がかかって。
なので私は実家に帰って資金の募集をしようと思っている。
最近は道中も物騒なので、玄徳殿一緒に来てくれないか?
問題ない、私たちも暇といえば暇だから。
ありがとう。
(数日後、譙県にて)
そういえば、夏侯家と曹家の関係は本当に親しいんだな。
ははは、それは当然だ。
曹家の祖先は曹参、夏侯家の祖先は夏侯嬰、高祖が起兵したときからの友人だ。
両家は代々よく付き合ってきて、お互いに姻戚関係にもなってるし、この四百年でもう同じ家族といえるような状態になった。
そういうことなのか。
よし、これが最後の一台だ。
見たところあまり多くないようだけど。
そうだ。両家の財産はすでに底を尽きた。これが最後のお金だ。
高官の家もそれほど豊かじゃないんだね。
ははは、孟徳の祖父の曹騰様の時には裕福な一族だったんだが。
四代の皇帝に使え、擁立の功績のある大宦官の曹騰のこと?
まさに。
え、曹操様のおじいさんって宦官だったの?
そうだ、それだから孟徳は特にあのような勝手に悪事を働く宦官を憎んでいるんだ。
しかし・・・宦官が子供を産めるの?
ははは、当然それはできない。
だから曹騰様は一族の中から曹嵩様を選んで家を継がせた。曹嵩様は孟徳の父親だ。
お・・・
霊帝年間に入り、曹嵩様は朝廷の政治を憂いて、家族に関してあまり気を払わなくなった。
聞いたところだと、曹嵩様の大尉の職は買ったものだというけど?
まさにその通り。それが両家が貧しくなった原因だ。
え?
当時国庫が尽きており、朝廷では売官によって税収を補っていた、曹嵩様はまさにそのような事務を行っていた。
その模範となるために、名前だけの職と引き換えに、国庫にお金を収めたんだ。
そういうことだったのか、国と民を思った老臣が、かえって世の人からは権威に執着する小物に見られているなんて。
ははは、曹嵩様は世の中の評判等気にする人じゃないよ。
そういえば、最初孟徳を手伝って官職を買う資金を集めたのも私だ。運命というのは面白いな。
そして次に孟徳が起兵したとき、両家は人も力もほぼ出し切った。
だから今これだけあるのには、実は驚いている。
これで足りないわけではないが、少なくとも当面をしのぐことはできる。そうすればその後方法を考えることはできる。
両家の人は曹操を恨んでいないのか?
恨みか、恨みは必ずある。
だけど、曹操が全力でまっすぐ進む後ろ姿というのは、本当にまぶしいんだ。
「曹操様はかならず理想の未来をもたらしてくれる、みんながいい日々を過ごせるようにしてくれる。」
曹操と一緒に何かしたことがある人は少なからず、こういう風に思っていると思う。
お前も?
私か?ははは。曹操はまだ成熟していないが、とても期待しているよ。
曹操の成長を期待している。曹操がこの時代にどのような変化をもたらしてくれるのかを期待している。
こんな曹操が作り出す新しい世界に期待している。
新しい世界か・・・
(陳留郊外で、車隊は黄巾賊残党の襲撃にあう)
おっと、こんなところで相手がだれか分かっていない賊どもにあうとは。
いいだろう、玄徳殿の時間を無駄に過ごさせたわけじゃなかったな。
・・・
ははは、玄徳殿、では少し運動しましょうか!
姉貴!お帰り。
うん、黄巾の残党が陳留からあんな近い場所で跋扈しているとは。
そうだ。城の周囲に突然多くの黄巾賊の足跡が出てきた。
私たちが弱っている時を狙って陳留を占領しようと思っているのか、本当に見くびられたものだ。
姉貴!私が人を連れて掃討してくるよ。
まて、今は人でが不足している。防御施設の修復を終わらせてから準備を整えよう。
承知!
玄徳殿・・・
私も曹仁将軍に少し手をかそう。
玄徳殿は本当に人の気持ちを分かっていますね。
はは・・・
ここが修復が必要な最後の場所だ。
みんな少し急いで!賊が来たら面倒だ。
(遠くに黄巾残党が現れる・・・)
言ったそばから来た・・・
少し急がないと。
どうやって?まず施設を捨てて城内にもどって見てみては?
再建する資金がない、ここを捨てるわけにはいかない。
みな作業を続けろ、この曹仁は死んでも敵に防御線を突破させないぞ!
では私たちも曹仁将軍と一緒に守ろう。
感謝する!
ついに完成した。ありがとう劉備殿!
曹仁将軍、遠慮は不要だ。
これは遠慮じゃない。前も洛陽で劉備殿には助けてもらった。
今回もまた助けてもらった。感謝しないわけにはいかないよ。
曹仁将軍の命がけでの作戦は、本当に尊敬するよ。
なぜなら私はこうするしかないから。
私は姉貴のように多くの人を率いることはできないし、姉さんみたいにみんなに優しくはできない。
私が曹操様にできることと言ったら、こういうこと位なんだ。
曹操様は、必ずみんなが幸せに過ごせるようにしてくれる!
それらは全部この曹仁が守るんだ!
すまない、一人で話しすぎた。
はは、大丈夫、みんな曹操のことを好きみたいだね。
それは当然さ!
劉備殿は早く戻って休憩するといい。私はまた見回りに行ってくる。
曹仁将軍も無理をせず。
うーん・・・
うーん・・・
二人とも何を悩んでいるんだ?
おお、玄徳殿。
やはりお金のことなんだ。
うちの孟徳が、必ず補償金を全額払うと言ってきかないんだ。
だがどう計算してもお金が足りない。
よっと。
よっと。よっと。
よっと。よっと。よっと。
姉さん、その大きな包みは何?
へへ、驚くなよ~
こんな多くのお金が?
へへ、姉さんもすごいだろう。
みんな給料は同じなのに、洪、お前なんでこんなにため込めているんだ?
貧しい家の子供だから、当然節約して暮らしていたんだ。
お前たちみたいに無駄遣いをしていなかったからね。
それにしても多すぎだろう・・・
このかんざしはお姉さんが保管していたものじゃない?
そうよ、きれいでしょ!
これは私が10歳の時に拾ったの、キラキラしてきれいでしょ。
純金じゃないけど、売れば少しのお金にはなるはず。
この純金の杯は結構な値になるはず。
へへ、華雄の陣地にはいいものが本当に多い。
ああ、そういうことをしてたのか!
いいものを拾わないわけにはいかないでしょ。
これはなんで混ざっているの?
愛しいお馬鹿な妹が私の誕生日にくれた「金」の指輪。
・・・それを言わないで。
これは取り出した方がいいね、送ってしまうとみんな嬉しくないだろうから。
なぜなら~この「金」の指輪は黄銅でできてるから。
うう・・・
可愛そうな妹、初任給をこんな詐欺師に払うなんて。
姉さんひどい・・・
洪、これをいったい・・・?
補償金が不足しているんじゃないの?どちらにせよ私には一度に使いきれないから、貢献させて。
・・・
お金のことで悩むなんて私たちの姉貴に似合わないから。
姉さん、ついにお金が好きじゃなくなった?
お馬鹿な妹、お金はいいものよ、好きに決まっているじゃない。
・・・
洪、曹操と戦死した将兵の家族に替わって、礼をいうぞ!
姉妹の間でそんなことは不要だよ。
・・・
もう一つ、洪に頼むしかないことがある・・・
お?
今回の戦死者リストをまだ家族に通知できていない・・・洪に手伝ってもらいたい。
戦死者のリストか、確かに大変な仕事だ。
分かった、ひとっぱしりしてくる。
玄徳殿~
うん?
私と一緒に来てくれない?
おう、分かった。
玄徳殿は実は山道に慣れているんだね。
そうか、小さい時に結構多く歩いたからかな。
しかし、この一家はこんな貧しい山里深くに住んでいるんだな。
そうだ。貧しくて税を払えないから深山に隠れるしかないんだ。
曹家の支家なのに、なんでこんなに貧しいんだ?
曹家は大家族で、支家は数多く。このように戦乱の世の中で貧しい支系が出るのは仕方ないんだ。
私と妹も小さい時は本当に貧しかった。
孟徳様が助けてくれたから今のところ順調に来ている。
そうなのか・・・
だから、孟徳様が起兵したときには多くの人が応募するんだ。
みんないい生活をする機会を求めている。
曹洪将軍はどう思うの?
洪と呼んでくれればいいです。
私は、みんながまた飢えに苦しんだり、山の中に隠れたりする必要がなければいいと思っている。
贅沢じゃないでしょ?
うん・・・
よし、ついた。
玄徳殿と話しをしていたら、すぐについてしまった。
おや?
強盗だ!
こんな辺鄙な山奥に隠れているのに、それでも逃れられないのか・・・
戦闘準備だ。