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0009ページ 『オリジナルメニュー』

おはようございます(*´ω`*)

 全ての調理を終えたロイが再度ダイニングルームへ足を踏み入れば、綺麗に空になった大皿を前にニグルは満足そうにお腹を擦っていた。

 完食されるのは容易に想像できた為、実際の人数とは似つかわしくない量の料理を提供した。だからその事に関しては何も驚きはしない。だが、この短時間で全ての山が無くなってしまうのは予想外過ぎてロイは言葉が出て出てこなかった。


 「…………。満足したか?」


 「風呂、よかった!!ご飯、うまかった!!!」


 幸せそうに笑い掛けてくるニグルの笑顔を見れば、ロイも笑みが零れた。


 「そうか。それはよかった。しかし、デザートを作ってきたんだが……入らないか?」


 「いる!デザート別腹!!」


 頭を椅子につけ休んでる状態から瞬時に前のめりに構えたニグルの両手にはフォークとナイフが握られており、銀の食器が上下に揺れる。それだけで心待にしているのが嫌でも伝わってくるが、瞳は先程以上にキラキラしている。

 ロイが指をパチンと鳴らせば一瞬にして大皿三枚が消えた。

 次にパチパチ手を鳴らせば甘い香りが部屋中に広がった。出てきたのは白いドラゴンの卵のようであり雲のようでもある不思議な外見をした品だった。


 「何?何!?これ何!!?」


 無邪気な反応に喜色が溢れるもロイはテーブルを叩くニグルを落ち着かせる為に試食を促した。


 「まっ、一口食べてみてくれ」


 「甘い!ふわふわ!!ウマいっ!!!」


 「美味シイノデスカ?」


 「うんっ!口に入れた瞬間、溶ける。面白いっ!ウマいっ!!」


 「綿菓子という砂糖菓子で子どもや女性に人気があるんだが、この紅茶をかけてこのデザートは完成だ」


 「変ワッタ趣向デスネ」


 「ホグゾン家オリジナルメニューだから他では味わえないと思うぞ」


 「紅茶をかける?」


 「あぁ」


 手渡された温かい紅茶をニグルは言われたまま卵形の綿菓子にかけた。

 紅茶は白雲を染め上げ消えていく。現れたのはとろとろふわふわのパンケーキにイチゴ、マスカット、ブルーベリー、オレンジ、リンゴと宝石のような輝きを放つ果物。紅茶は隠れていたバニラアイスと混じり合い香色となる。


 「すごいッ!スゴいっ!!凄いっ!!!」


 「ホグゾン家オリジナルメニュー名『ヴォルケの宝石箱』だ」


 「凄いっ!キレイっ!!」


 「味も満足してもらえるといいんだが……」


 わくわくしつつも一口食べるとニグルの目が見開かれた。


 「ん~~~~!!!」


 足をバタバタ動かし感想を身体で表現するもニグルは器用にハクの口にもソースを絡めたパンケーキを運んだ。


 「…………ナルホド。ストレートティーヲ綿菓子二掛ケルコトニヨリ砂糖入リ紅茶ト同ジモノシタンデスネ。アイスト合ワセテモホドヨイ甘サトナルヨウ計算サレタデザートトハ――――。コノヨウナ品ヲアノ男ガ出シタコトハアリマセンガ、コレハホグゾン家オリジナルメニューナンデスヨネ?」


 「あぁ、叔父さんは得意料理は肉料理でデザート系は全くできなかったからな。ホグゾン家のオリジナルメニューというのは先祖代々引き継ぎ、継ぎ足してきた書物でそのジャンルは様々で膨大なんだ。叔父さんは料理本を見るより魔導研究書を好んで読む性格だからそもそも中身に興味なかったと思うし一族の者でも全てのレシピを把握していた人っていなかったと思うぞ。自分が開発したのを足していくので精一杯だろうしな」


 「全テヲ知ラズニ自分ノレシピヲ追加シタラ同ジヨウナ品ガダブリソウデスネ」


 「ダブってないとは言いきれるぞ。ダブったレシピを継ぎ足した場合、そのレシピは一瞬にして燃えて塵と化すからな。これも初代当主の残した品らしいが詳しい仕組みは不明だから質問されても答えられないからな」


 「…………」


 「ちなみに俺も知っているレシピは数品しかないからな」 


 「……ソウデスカ」


 残念そうに聞こえたのは聞き間違いではないはずだが、問えども素直には答えないだろうことはもうわかっている。

 そうこう話している間にもニグルはまたも新たな皿を空にしていた。


 「さて、それでは話をしようか」

お読み頂きありがとうございました(*´ω`*)

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