ライオンニート
即興小説です。点数はいらないので感想をください。
○月×日
今日も俺様の素晴らしいたてがみは風に揺れている。
いつか猛獣キングとかいうゲームが出来たら、間違いなく最強になる。
俺様の強さはそれこそどこぞのカードゲームみたいな規制の入るもので、それでも残存するどのカードよりもカッコイイため、オークションでは高値で取引されるだろう。
さて、今日も俺様はメスの持ってきた肉を食べている。
何? 自分で狩りをしないのかって? HAHAHAHAHA、これだからトーシロは困る。
能あるワシはハゲ隠すって言うだろ?
俺が出るのはそれこそ、シマウマとかウサギとかそんなもんじゃなく、そうだな……ドラゴンが出たときくらいだな。
それまでは二軍で充分なん……
「うおおおおっ!」
……あっぶねー。突然バッファローが駆け抜けてったぜ……。
△月□日
最近、俺のメスが妊娠したらしい。
満足に動くことが出来ないらしいので、俺のえさを持ってくるやつがいない。
くそ、妊娠なんて面倒な過程がなきゃガキが作れないなんて、神は哺乳類に変な宿命を科したもんだな。
虫みたいに俺たちも産卵できれば放置して楽なのに。
ほら、タマゴ状態だと別に守らなくても罪悪感ないだろ?
それに子供がいるとメスが世話しているとき、俺は何を食えばいいんだよ?
まったく……困ったやつだ。
×月○日
子供が生まれやがった。
俺様のたてがみを持った子供はいないようだ。
……あ、生えてないだけか。
メスはようやく俺様のメシを取りにいくらしい。
さっさと持ってこいよなー。俺様はここ数日、ハイエナの残飯漁ってたんだからな〜。
王者の風格漂う俺様が残飯漁りなんて、格好悪いことこの上ないぜ。
え? だったら自分でバッファローでも狩ればいいって?
馬鹿言うなよ。あいつら、めちゃくちゃつえーんだぞ。
ドラゴンより強い。
□月×日
ガキどもがきゃんきゃん喚きながら走り回っている。
「パパー、遊んでよ」
「ママ狩りに行っちゃってさー」
休日くらい休ませろガキども。
日頃俺様がお前たちを守ってやってるんだからな。
そう、俗に言う自宅警備ってやつだな。
俺様の自宅警備レベルは、もう自宅警備員って言うか自宅警備特殊戦闘員デルタフォースとか、そんな名前がついていてもいいくらいのレベルだ。
俺様がいればどんなやつも襲ってきたりはしな……
「うおおおおおお!」
……あっぶねー。ゾウが駆け込んできやがった。
□月□日
ガキどもが俺様より先にメスの持ってきたメシを喰ってやがる!
しかもバッファローじゃねえか! バカヤロウ! 俺様に食わせろ!
「わっ、ひどいよパパ!」
「割り込みだー!」
うっせー! 自然の掟を教えてやってるんだよ! 弱肉強食! 強くなきゃ生きていけないんだからな!
家族間だって食料は奪い合いだぜ!
○月□日
ガキどもにエサを奪われた。
もう勝てない。
○月∀日
「なあ、そろそろ独り立ちの季節だろ」
俺はメスにそういった。
このままでは俺の食べる分が減ってしまう一方だ!
どうにかして独り立ちさせ、メスの持ってくる食料を独り占めできる環境に戻らなければならない!
「じゃあ、あなたがなさって?」
お、俺ぇ!?
ちょ、おま……お前、何いってんの? 子供くらい俺の出る幕じゃないだろ!
俺が出るのはプレデターが来るくらいデンジャラスな段階じゃないと!
……え? 別居? ちょ、それはねーよ。ないわー。
わかった。わかったよ、俺がやればいいんだろ?
……じゃ、行ってくるぜ。
(以後、日記は発見されていない)