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6 コンビニ店員S

「こんちゃー。悩み事っていうか、迷ってる話なんすけどー。


 俺はコンビニで働いてて、そこに俺のこと好きな子が二人いるんすよ。

 一人が客のKちゃんって言って大人しくて笑顔が可愛いし、まぁ女子高生なんで若いしいいかなぁって思うんすけど。ただまぁ欲を言えばもうちょい胸があるほうが俺の好みかなーって。

 もう一人が同僚のHさんで、顔が凄い美人で胸が大きいんすけど、気が強いところがちょっとあるのが俺的にどうかなーって思うんすよ。

 どっちも俺のことが好きみたいで、Kちゃんは笑顔で挨拶してくれるし俺からの逆チョコ貰ってくれたし、Hさんはいつもシフトも被るし何かと話しかけてくるしで、あー俺一人しかいないのにどうしようっていうか。

 もてるのも困りもんなんすよね。

 だから俺、どっちと付き合ったらいいかアドバイス貰おうと思って手紙書いてるんすよ。


 若さでKちゃんか、顔でHさんか……。

 告白されたらどっちと付き合ったほうがいいっすかね?


 コンビニ店員S」




 * * * * * * * * * *




「コンビニ店員Sくん、こんにちは! 今日も仕事中かな?


 さて、Sくんはモッテモテだね! 羨ましいよ! 出会いのある仕事場っていいよねぇ。M先生の仕事場は魔界の果て過ぎてなかなか勇者すら来てくれないよ! 暇なんだよ!

 おっとごめんごめん、さてSくんの相談なんだけど、さっそくM先生は二人を調査サーチアイしてみたよ!

 Kちゃんは近くの女子校に通う可愛い女の子で、人見知りのしない良い子だね! かならずすれ違う人にも挨拶する礼儀正しい高校生なんてめったにいないよ!

 Hさんはとっても美人さんだね! バイトリーダーをやっている上に資格を取るための勉強もしている頑張り屋さんなんて素晴らしい! うーん二人ともステキだね!

 で、どっちがよりSくんを好きかと聞いてみたんだ! ああ、大丈夫。電話が終わったら、M先生と話した記憶は自然に消えるから心配ないさ!



『え? あ、はい。Kです。……Sさん? いえ、あのどちらのSさんですか?

 はい、コンビニ……ちょっと誰だか分からないですし、逆チョコは見知らぬ人から貰ったことないです。

 学校近くのコンビニですか? ……あ、分かりました!

 レジ横にあるチョコをお勧めですよって言ってた店員さんですか!?

 最近なんかよくじろじろ見る店員さんがいるなぁと思っていたんですよ。やだ、気持ち悪い。

 今後そのコンビニは避けるようにしますね。ご連絡ありがとうございます』



『Hです。 え? うちのアルバイトのSのことで?

 はぁ!? 好きとか何の冗談! ありえないでしょ!

 空気読めないし覚えは悪いし、すぐ女の子のバイトにちょっかい出そうとするから仕方なく私が一緒のシフトを引き受けてるの!

 何かと話しかけてる? ちゃんと商品補充しろとか、いらっしゃいませくらい大きな声で言えとかが会話だと思ってるの?

 叱ってんのよ、人の話を聞け!

 あんたSの知り合いなら、いい加減遅刻すんなって言っといて! マジで次はクビだから!』



 そんな訳でSくん。

 「告白されたら」っていう前提条件がありえないから、悩まなくても大丈夫!

 未来予知もしてみたけど、やっぱりどれだけ先を見ても告白されることは絶対ないから安心してね!

 いやーもてて困ってるっていうからどう解決しようか悩んだけど、全然誰からも好かれてなかったよ、良かった良かった!


 M先生より」



Hより「最近ずっと頭痛の種だったバイトが辞めてくれました。相談しようと思って昨日手紙を送ったんですけど、やっぱり大丈夫です!」



「見ろ、未来の相談すら解決する俺のアドバイザーっぷりを!」

 自慢げに手紙を見せてくる魔王に、手紙整理に付き合わされているミドリは「いいからさっさと手を動かして下さい」と冷たく言うのであった。


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